「西大寺」は、751(天平勝宝3)年創建と伝わる古刹で、旧暦の正月に行われる天下の奇祭「会陽(えよう)」でも知られている。これは、住職が投下した「宝木(しんぎ)」を奪い合うもので、奈良時代に実忠上人が創始した「修正会」の大祈祷が起源となり、1510(永正7)年に現在のような裸祭りになったとされる。2016(平成28)年に、国の重要無形民俗文化財に指定された。図は江戸後期に作成された3枚1組の木版画で、『十四日夜陰ニ到リ、数万人之中ヘ牛王寶木を投授く、取戴もの諸災難を除き自冨貴得き事、世に知る所たり』との解説がある。
備前と備中は、「山陽道」の要衝であり、「瀬戸内海」の海上交通においても重要な場所であった。ここでは「北前船」や「御座船」が寄港した「下津井港」、物資の中継地であった天領の町・倉敷、そして天下の奇祭「会陽(えよう)」で知られる古刹「西大寺」を紹介する。