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姪浜の街並み

姪浜には、現在も宿場町の面影を残す街並みや、古くから行われている「シロウオ漁」、明治期に始まる「姪浜のり」の養殖など、歴史と伝統が残る。1983(昭和58)年に地下鉄も開通、現在は「福岡空港駅」にも乗換えなくアクセスできるなど、交通の利便性が向上した。駅周辺や湾岸部のマンションなど、新しい住宅も多く見られるようになり、現在は市内でも上位の人気を誇る住宅地となっている。


昭和前期の「姪浜 住吉神社」前の様子 MAP __

写真は1940(昭和15)年頃の「唐津街道」沿いの商店の様子。右端に写っている燈籠は「姪浜 住吉神社」のもので、神社前から西方向を撮影している。「姪浜 住吉神社」は奈良時代の744(天平16)年に北側の海岸近くに建立された小社が起源とされ、室町時代の1416(応永23)年に現在地に遷座、姪浜の産土神となり現在に至っている。【画像は1940(昭和15)年頃】

旧「唐津街道」や「魚町通り」沿いなどに歴史を感じさせる街並みが見られ、古くからの寺社や戦前からの老舗も残る。「姪浜 住吉神社」は、鳥居(写真右)などを2005(平成17)年の「福岡県西方沖地震」で損壊したが、同年宮司がクイズ番組でパーフェクトを達成し1千万円を獲得、修復費用の一部として役立てられたことから、現在では『縁起の良い開運神社』としても知られている。

姪浜周辺の西鉄福岡市内線貫線と街並み

写真は1975(昭和50)年の西鉄福岡市内線貫線「姪の浜電停」付近の街並み。この路線は同年、廃止となっている。右にスーパーマーケットの「マルショク 姪浜店」がある。 MAP __【画像は1975(昭和50)年】

現在の様子。道路は拡幅されており、当時の面影を残すものは見当たらない。「マルショク」があった場所はマンションになっている。

かつて「姪の浜電停」があった場所の南側に、近年、西鉄が分譲したマンションがあり、その敷地内に「姪の浜停留所記念碑」が設置されている。 MAP __

写真は1975(昭和50)年の西鉄福岡市内線貫線「竹の山四丁目電停」付近の街並み。左上の緑地が「愛宕山」。右に「姪浜自動車教習所」、その奥にガソリンスタンド、左に「早良病院」の看板があるが、これらは全て「早良炭鉱」を経営していた会社の関連の施設であり、1962(昭和37)年に閉山した後もこの地域の生活を支える企業となっていることが窺える。 MAP __【画像は1975(昭和50)年】

現在の様子。自動車教習所は「姪浜ドライビングスクール」に改称している。

「室見川」の春の風物詩「シロウオ漁」 MAP __

毎年2月から4月上旬にかけて「室見川」の下流では、「シロウオ漁」が行われる。シロウオは半透明のハゼ科の小型の魚で、海の浅場で育ち、春になると産卵のため群れをなして川を遡上する。この産卵期に合わせ、江戸時代からの伝統があるV字形の「やな」を仕掛け漁が行われる。写真は1965(昭和40)年頃。橋梁は国鉄筑肥線で、その手前が「やな」、河川敷にはこの時期に仮設されるシロウオ料理店が見られる。【画像は1965(昭和40)年頃】

写真は現在の漁の様子で、撮影場所は1枚目の写真の対岸付近。昭和40年代には年間2tを超える漁獲量があったが、現在は100~400kg前後と少なくなっている。

シロウオ料理店では、生きたまま食酢に入れ、そのまま飲み込む「躍り食い」などが楽しめる。

「シロウオ漁」は、かつては「博多湾」に注ぐ他の河川でも行われていたが、現在は福岡県下では「室見川」だけで行われている。写真は1983(昭和58)年のもので、筑肥線の気動車が、「やな」が仕掛けられた「室見川」の橋を渡っている。この区間の筑肥線は同年に廃止となっている。【画像は1983(昭和58)年】

筑肥線の廃線跡は道路になっており、かつての鉄橋の場所には「室見川筑肥橋」が架けられている。

筑肥線の福岡市地下鉄1号線への乗り入れ MAP __

福岡市地下鉄1号線は、1981(昭和56)年に天神~室見間が開業。1983(昭和58)年に室見~姪浜間が延伸された。国鉄筑肥線は非電化・単線で唐津方面と博多を結ぶ路線であったが、地下鉄延伸に合わせて唐津~姪浜が直流電化され、相互直通運転を開始、これに伴い筑肥線の姪浜~博多間は廃止された。写真は1983(昭和58)年、地下鉄延伸直前の試運転時の写真。国鉄の車両(103系1500番台)が地下区間を抜け、もうすぐ高架駅となる「姪浜駅」に向かっている。左の線路は間もなく廃線となる筑肥線の線路で、その先に廃止となる地上駅も見える。【画像は1983(昭和58)年】

現在、筑肥線の廃線跡は道路になっている。写真の右の自動車教習所はあまり変わっていないが、駅周辺には大きなビルやマンションが見受けられる。福岡市地下鉄1号線は、1993(平成5)年に「福岡空港駅」まで開通、福岡市地下鉄空港線と呼ばれるようになった。国鉄(1987(昭和62)年よりJR)筑肥線は、1986(昭和61)年に姪浜・下山門間、2000(平成12)年までに筑前前原まで複線化されている。


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