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不動産売買とインボイス
(1)インボイスとは
インボイス制度とは、売り手が買い手に対して発行する請求者や領収書等の書面に記載すべき要件を定めたもので、この要件を満たした書面のみが「インボイス」として認められるという制度です。インボイスとして認められない場合、買い手は消費税の計算上不利になるため、売り手は要件を満たした書面の作成が要求されることになります。
(2)インボイスの記載要件
下記の全てを記載します。
- ①
- 発行事業者の氏名・名称
- ②
- 登録番号
- ③
- 取引年月日
- ④
- 取引内容(軽減税率対象の場合はその旨)
- ⑤
- 税抜又は税込取引金額を税率ごとに区分した合計額
- ⑥
- ⑤に対する消費税額及び適用税率
- ⑦
- 受領者の氏名・名称
(3)不動産売買との接点
インボイスが論点になるのは売り手と買い手が両方とも「事業として取引」する場合です。従って、個人が自分のマイホームを売るときには気にする必要はありません。なお、売り手が法人のときは全て「事業として取引」と見做されます。(宗教法人等の特殊な法人は除く)
売り手が事業として不動産を売った場合は下記の状況に応じて判断します。
- ①
- 買い手が消費税の免税事業者又は非事業者
インボイス対応の必要なし - ②
- 買い手が消費税の課税事業者
- ㋑
- 売り手が消費税の課税事業者
上記の記載要件を満たした書面を作成します。
※事前に税務署にインボイス発行事業者の登録をする必要があります。 - ㋺
- 売り手が消費税の免税事業者
インボイスを発行することは出来ません。買い手との交渉により下記のパターンが考えられます。- ・
- 消費税分値引きする。
- ・
- 消費税分の負担を買い手に了承してもらう。
- ・
- 消費税の課税事業者を選択してインボイスを発行する。(買い手が継続的な取引先であるパターン)
コラム
高額特定資産(居住用賃貸建物)を購入した事業者
一定の課税事業者が平成28年4月1日以後に高額特定資産(居住用賃貸建物)を購入して消費税の還付を受ける場合、購入した年から3年間は免税事業者には戻れない、あるいは、簡易課税制度へ変更ができません。しかしながら、令和2年度税制改正により、令和2年10月1日以降に購入した高額特定資産(居住用賃貸建物)について、その課税仕入れについては、仕入税額控除が適用できなくなりました。
ただし居住用賃貸建物のうち住宅の貸付の用に供しないことが明らかな部分は、引き続き仕入れ税額控除の対象となります。