

家づくりの「心」を「かたち」に、具体例を交え心の家づくりを解説した一級建築士のアドバイスです。
住まいの快適さは収納にあり
快適な収納は快適な暮しをつくる
家をつくるにあたって、間取りは十分に考えたつもりでもいざ住んでみると「ここはこうすれば良かった」と、あとで様々な改善点が出てくるものです。
改善項目の中で必ず上位にあげられるのが「収納」です。住まいの難しいポイントは、ライフスタイルの変化によってモノが増えたり減ったりしていくことです。それに応じてモノとどういうつき合い方をしていくのか、収納のあり方はまさに生き方そのものといっても良いでしょう。
今回紹介する収納の実例はこれまで設計してきた住まいの中で、施主の要望を聞きながら採り入れたものです。そこにはその人がもつ暮らしに対する「自分サイズを表現している」と言えるでしょう。そのため、使いやすく暮らしに快適さをつくってくれていると思います。
そんな実例を10個紹介します。(設計はすべて佐川旭建築研究所)
1.キッチンカウンターの収納
キッチンカウンターの下部を利用して収納する例は多く見受けられます。ここでは中央部にガラス棚、背面にライン照明を通して趣味の陶器を飾る「小さなギャラリー」としています。収納の中に小さな余白を設けることで、想像力とワクワク感を与えてくれます。
2.キッチンパントリーの収納扉
キッチンスペースが単に作業にならないよう、パントリーの扉を奥様の好きな色にして楽しさを演出。パンチングメタルは通風としての機能も兼ねており、丸穴ではなくデザイン性のある形状としました。
3.ロボット掃除機の収納場所
ロボット掃除機は便利な家電で日常に定着しつつありますが、存在感があります。ここでは収納扉を床から15cm程度あけ、収納内にコンセントを設置。ロボット掃除機用の「基地」を設けました。家事ラクでありつつも、稼働しない際は気配を感じさせないようにしています。
4.和室の段差を利用した引き出し収納
ここではリビングの一角にあえて30cmの小上がり(段差)をつけて茶室をつくりました。その小上がりを利用し、茶室で使う茶道具入れ用の引き出し収納を設けています。
5.出窓の収納
間取りを考える際、洋服や食器等の大きな収納スペースを考えます。しかし日常の細かい収納(文具類、通帳やハンコといった貴重品、カギといった小物)スペースは「なんとかなる」と思いこみ、検討は後回しにしがちです。
リビングや玄関の一角にあれば、とても便利です。ここでは出窓の下にニッチのような凹みを設けています。リモコンやティッシュを置いたり、オブジェを置くことも可能です。
6.出窓下の物干しスペース
この住宅は敷地の周辺環境がとても賑やかな場所のため、洗濯物(主に下着)を干すスペースが制限されていました。出窓の下部を利用して採光を確保。そこに物干し用のポールを設置して小物を干せるスペースを確保しました。
7.洗面まわりをスッキリ収納
洗面室はヘアドライヤー、歯ブラシなどの不定形なものや化粧瓶等の小物類が多く使われます。正面に大きな鏡で開放感を演出し、小物はしっかりサイズを確認していかにスッキリ収納スペースをつくるかがポイントです。
8.洗面室奥行10cmの収納棚
洗面室で使う洗剤や瓶、スプレー缶等は奥行10cm程度確保すれば、殆どのものが収納できます。高さも90cm前後で十分です。
9.色を統一することでモノはスッキリ
この実例では便器の両側が収納BOXになっています。また幅も狭いため、色を統一することで窮屈感も緩和されます。水栓金具、ペーパーホルダー等は黒でまとめ、カウンターは栗の無垢材、シャープさと温かさを演出しています。
10.収納で使わない時はオブジェ?
帰宅時に上着が雨で濡れていれば、一先ず玄関近くに干しておきたいものです。使わない時は遊び心があり玄関のオブシェになるなど、ユーモアや楽しさを演出する収納もアイデアです。この実例では柱に格納式のフックを埋め込み、使う時にフックを引き出すことが可能です。上着だけでなく帽子やカバン、床に置きたくない買い物袋等、用途は多様です。
佐川 旭Akira Sagawa一級建築士
株式会社 佐川旭建築研究所 http://www.ie-o-tateru.com/
「時がつくるデザイン」を基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマに個人住宅や公共建築等の設計を手がける。また、講演や執筆などでも活躍中。著書に『間取りの教科書』(PHP研究所)他。






