マンション市場の供給・価格動向と2026年の見通し
首都圏1都3県で新築・中古とも供給が減少し、価格は上昇
エリア別のマンション市場について、東京カンテイ提供の2025年までのデータを基に振り返ってみましょう。
首都圏では2025年の新築マンション供給戸数が前年比10.3%減の3万3629戸と、4年連続の減少となりました。都県別では千葉県が同24.6%減となるなど、1都3県はいずれも減少しています。平均坪単価はいずれも上昇しており、なかでも東京都(同18.4%上昇)や埼玉県(同12.5%上昇)では高い上昇率でした。
一方、中古マンションの流通事例数は首都圏全体で前年比6.8%減少し、東京都は2年連続の減少です。平均坪単価はいずれも上昇し、特に東京都は27.9%と大幅に上昇しています。
首都圏マンション市場の動向について、東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の髙橋雅之さんは以下のように分析しています。
「コロナ禍後の物価高や、円安・株高による海外投資家や国内富裕層によるニーズの高まり、土地代や建築コストの上昇などで新築マンション価格が高騰しています。価格上昇に伴い、供給サイドが買い手を富裕層などに絞っていることが、供給減の背景にあるようです。一方で中古マンションは都心部の一部の築浅物件で強気の値付けが見られ、平均坪単価を押し上げている側面があります。新築・中古の価格高騰で一般のファミリー層が東京23区から周辺エリアへ流出したり、築30〜40年の高経年物件しか選択できないといった状況が目立ってきました」
近畿2府1県も供給減少。大阪府の中古坪単価は2ケタの上昇
近畿圏2府1県では2025年の新築マンションの年間供給戸数が1万4841戸と、前年比11.1%減少しました。大阪府は4年連続で減少し、兵庫県は同26.4%減と大幅に減少しています。平均坪単価は上昇傾向が続いており、兵庫県は同11.4%上昇して320.4万円と、大阪府・京都府と同様に300万円を超えました。
中古マンションの流通事例数は2024年まで増加傾向でしたが、2025年は2府1県とも減少に転じ、全体では前年比4.1%減少しました。一方で平均坪単価は上昇しており、特に大阪府は同14.6%と2ケタの上昇となっています。
「近畿圏では新築マンションの供給減少が続いていましたが、ここへきて底打ちの動きも見られます。京都市では高さ制限が緩和された影響で、南区や隣接する向日市で戸数の多い物件の供給も出てきました。中古マンションは大阪府で坪単価が高騰していますが、梅田など中心部で築浅のタワーマンションが強気の価格で売りに出るケースが増えていることが影響しているようです。ただ、在庫物件が増えていることも事実なので、相場上昇の勢いには若干鈍化の動きも見られます」(髙橋さん)
愛知県・福岡県とも新築価格が頭打ち、中古は上昇傾向
愛知県の新築マンション供給戸数は2025年に5645戸と、前年比13.0%減少しました。平均坪単価はこのところ上昇傾向でしたが、2025年は同1.1%の下落となっています。中古マンションの流通事例数は2024年まで増加基調でしたが、2025年は同3.1%減少し、坪単価は同3.4%上昇しました。
「愛知県では名古屋市を中心に新築マンション価格が上昇したため、一戸建てにニーズが移りつつある状況です。中古マンション市場では築浅の物件を売却する動きが増えていますが、投資ニーズがそれほど強くないため高額での転売は見られず、坪単価は頭打ち気味となっています」(髙橋さん)
福岡県では2025年の新築マンション供給戸数が前年比18.6%増えて3659戸と、2年ぶりに増加しました。このところ上昇傾向だった平均坪単価は同1.4%ダウンと下落に転じています。一方、中古マンションの流通事例数は同3.8%減少し、平均坪単価は同9.1%上昇しました。
「福岡市は人口増加で居住ニーズが高まっていますが、中心部では新築・中古とも物件価格が上昇し、若いファミリー層などが周辺エリアで予算に合う物件を選ぶ傾向が強まっています。特に新築マンションは一部の高額物件をのぞいて価格が頭打ち状態となっているようです」(髙橋さん)
東京都心や大阪市中心部では中古に値下げの動きも
2025年は円安に伴う輸入物価高騰の影響もあって建築コストが上昇し、地価上昇の動きとも重なって都心部などを中心にマンション価格上昇の動きが見られました。また円安は株価上昇の要因ともなっており、保有株式の含み益が高まることでマンションへの投資が活発化する効果も生み出しているようです。こうした流れは2026年も続くことが見込まれますが、一方で変化の兆しもあると髙橋さんは指摘します。
「新築マンションは価格が下がる要因が見当たらないので、引き続き上昇トレンドが続くと考えられます。一方で中古マンションは東京都心や大阪市中心部などで強気な価格設定から在庫が増えてきており、一部では大幅に価格を値下げする動きも見られます。国際情勢は中東紛争や関税問題などで不透明感が強まっており、今後の株価次第ではマーケットの潮目が変わる可能性もあるでしょう」
国内では住宅ローン控除の拡充など住宅需要を後押しする政策も実施される一方で、住宅ローン金利の上昇が実需層の購入意欲には重石になるとの見方もあります。今後の国内外での経済情勢や金融政策がマンション市場に与える影響についても、引き続き注目していく必要がありそうです。
(データ提供:東京カンテイ)
※新築は2025年のデータに限り速報値








