安藤百福氏【画像は1957(昭和32)年】
安藤百福(ももふく)氏は「日清食品」の創業者であり、インスタントラーメンの発明者として世界的にも知られている。1910(明治43)年、百福氏は日本統治下の台湾で生まれ、台北で莫大小(めりやす)を輸入する繊維商社「東洋莫大小」を経営して成功した。1933(昭和8)年、日本に移り「日東商会」の設立や、製塩事業を始めたり、「日清食品」の母体となる「中交総社」を設立したりと、次々と新規事業を起こし成功を収めた。
しかし、1957(昭和32)年、理事長を務めていた大阪の信用組合が破綻し、すべての財産を失うことになった。そこで、百福氏は池田市の自宅裏庭の小屋で、ひとりインスタントラーメンの開発に励んだ。自宅での孤独な試行錯誤の末、1958(昭和33)年、天ぷらの原理を応用した瞬間油熱乾燥法という技法により世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」が完成した。
発売開始当初の「チキンラーメン」
【画像は1958(昭和33)年】
その後、米国に視察に出掛けた百福氏は「チキンラーメン」を小分けにして紙コップに入れフォークで食べる現地の人々の姿を見て、カップ麺を発想。これが1971(昭和46)年の「カップヌードル」発売につながった。その功績が称えられ「勲二等瑞宝章」「大阪府池田市名誉市民賞」「勲二等旭日重光章」などを受賞した。2007(平成19)年1月5日、生涯現役だった百福氏は仕事始めの訓示を行った翌日、96歳で没した。