1927(昭和2)年、小田急線開通と同時に開園した「向ヶ丘遊園」。「多摩丘陵」の緑豊かな自然を生かした「花と緑の遊園地」として親しまれたが、2002(平成14)年に惜しまれつつ閉園した。遊園地の名前は現在も駅名などに残るほか、「ばら苑」は川崎市の施設として年に2回公開されている。
「向ヶ丘遊園」の歴史と現在
「向ヶ丘遊園」の開園から閉園まで MAP __
「稲田登戸駅」寄りの門があった場所は、現在の「稲生橋交差点」付近となる。かつて桜が植えられていた道は、現在も住宅地の道路(写真中央付近)として残る。 MAP __(稲生橋交差点)
現在も残る「ばら苑」 MAP __
「豆電車」と「空中ケーブルカー」
「向ヶ丘遊園」開園の年の6月より、最寄り駅の「稲田登戸駅」から「豆汽車」が運行された。正式な鉄道ではなく遊園地の遊戯物という扱いであった。戦時中に一度撤去されるが、1950(昭和25)年に「豆電車」として復活した。写真は1963(昭和38)年頃の様子。この後、「府中街道」のバイパスができることになり、平面交差を避けるため1965(昭和40)年に廃止となった。その後、車両は「フラワートレイン」として遊園地内で活躍した。
「向ヶ丘遊園モノレール」と沿線風景
1966(昭和41)年に「向ヶ丘遊園駅」と「向ヶ丘遊園正門駅」を結ぶ「小田急電鉄」の「向ヶ丘遊園モノレール」が開業した。「豆電車」の役割を引き継ぐもので、「豆電車」の敷地の上に、遊戯物ではなく正式な鉄道として作られた。遊園地へのアクセス手段として活躍したが、2000(平成12)年に運行を休止、翌年廃止となった。写真は1966(昭和41)年、「二ヶ領用水」の「新開橋」から南東方向を撮影。 MAP __
写真は1974(昭和49)年、「向ヶ丘ショッパーズプラザ」(のちの「ダイエー 向ヶ丘店」)の前からの撮影。高架の奥にモノレールの「向ヶ丘遊園駅」が見える。「向ヶ丘ショッパーズプラザ」は、百貨店「岡田屋」系列の「サンコー」が1970(昭和45)年に「サンコー向ヶ丘ショッピングワールド」として開業。同年「サンコー」が「ダイエー」傘下となり、翌年に改称された。 MAP __