2022(令和4)年にオープンした「シマノ自転車博物館」。
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江戸時代、「鉄砲鍛冶」や「タバコ包丁」といった、金属加工産業が発達した堺では、明治以降もその伝統と技術を生かした工業が盛んになった。
1921(大正10)年に堺で創業した「島野鉄工所」(現「株式会社シマノ」)は、自転車部品のシングルフリーホイールの生産を開始し、現在では、世界に認められる自転車パーツメーカーに成長した。1992(平成4)年には日本で唯一の自転車博物館「自転車博物館サイクルセンター」をオープン、2022(令和4)年には新築移転し「シマノ自転車博物館」としてリニューアルされた。また、もう一つの柱である釣り具の製造においても、国際的に有名。
16世紀に発展した「タバコ包丁」作りから続く「堺打刃物」は、1982(昭和57)年に国の「伝統的工芸品」に指定されている。また、2007(平成19)年には「堺刃物」と「堺打刃物」が地域団体商標(地域ブランド)に登録された。現在、堺の伝統産業として「水野鍛錬所」などが技術を受け継いでいる。
鉄道車両メーカー「梅鉢鉄工所」は、堺の鍛冶業の家に生まれた梅鉢安太郎氏が明治中期に創設した。堺市内に工場を設けて鉄道・路面電車の車両製造を手掛け、南海鉄道や京都電気鉄道(後に京都市が買収)などに車両を提供した。現在、愛知県にある「博物館明治村」に保存されている、京都市電1号・2号はこの「梅鉢鉄工所」製であった。この会社は、「梅鉢車輌」と会社名を変更した後に「京成電気軌道」(現「京成電鉄」)の傘下となり「帝国車輌工業」となった。1968(昭和43)年に「東急車両製造」と合併し、現在はJR東日本の子会社、「総合車両製作所」などに引き継がれている。