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底地・借地の法律Q&A

底地・借地の法律Q&A

底地・借地の法律
Q&A

弁護士
田宮合同法律事務所

底地・借地の法律で悩んでいる方、これから定期借地権等で土地を貸そうと検討している方、借りようとしている方に知っていただきたい底地・借地に関する法律のポイントをまとめています。

※底地・借地の問題については、個別性(契約の内容等)があり総合的に判断しなければなりません。弁護士等に早めにご相談のうえ判断していただくようお願いいたします。また、本コンテンツの内容は、平成26年12月1日現在の法律に基づき作成されております。
底地・借地の法律に関する法律をQ&A形式で解説します

借地契約の期間・更新・解約

Q
借地契約の期間について、どのようなルールがありますか。
A
1.平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の場合

 借地契約を締結する場合、土地を賃貸する期間は完全に自由に決められるわけではなく、やや複雑なルールが定められています。
 平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の期間については、借地法という法律が適用されます。借地法は、借地上の建物が堅固な建物かどうかによって区別したルールを定めています。
 まず、借地上の建物が煉瓦造、鉄筋コンクリート造(RC造)などの堅固な建物の場合、借地契約の期間は原則として60年となります。ただし、当事者の合意により30年以上の期間を定めた場合には、合意した期間となります。
 また、更新後の期間は30年となるのが原則ですが、当事者の合意により30年よりも長い期間を定めた場合には、合意した期間となります。
 他方、木造などその他の建物(非堅固な建物)の場合、借地契約の期間は原則として30年となります。ただし、当事者の合意により20年以上の期間を定めた場合には、合意した期間となります。
 また、更新後の期間は20年となるのが原則ですが、当事者の合意により20年よりも長い期間を定めた場合には、合意した期間となります。(なお、以上のルールよりも短い期間を合意した場合については【Q借地契約の期間を10年として住宅の敷地を賃貸しており、何度か契約を更新していますが、10年の借地契約は許されないと聞きました。借地契約の期間はどうなりますか。】参照)

2.平成4年8月1日以降に締結された借地契約の場合

 平成4年8月1日以降に締結された借地契約の期間については、借地借家法という法律が適用されます。
 借地借家法は、建物の構造が堅固か非堅固かにかかわらず、借地契約の期間を原則として30年としています。ただし、当事者の合意により30年よりも長い期間を定めた場合には、合意した期間となります。
 また、更新後の期間は、最初の更新後は20年、2回目以降の更新後は10年となるのが原則ですが、当事者の合意によりこれよりも長い期間を定めた場合には、合意した期間となります。(なお、以上のルールよりも短い期間を合意した場合については【Q借地契約の期間を10年として住宅の敷地を賃貸しており、何度か契約を更新していますが、10年の借地契約は許されないと聞きました。借地契約の期間はどうなりますか。】参照)

3.期間の短い借地契約を締結する方法

 以上のように、借地契約の期間は、借地人が長期間建物を所有できるようにという配慮から、かなり長くなっています。
 しかしながら、以上のルールよりも短い期間を定めて土地を活用したいというニーズも考えられます。
 そのような場合には、「事業用定期借地権」(【Q事業用定期借地権設定契約とは何ですか。】参照)や「一時使用目的の借地権」(【Q土地を短期間に限って一時的に賃貸する方法はありますか。】参照)を設定することが考えられます。

Q
借地契約の期間を10年として住宅の敷地を賃貸しており、何度か契約を更新していますが、10年の借地契約は許されないと聞きました。借地契約の期間はどうなりますか。
A
1.借地契約の期間についてのルール

 平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の場合、借地上の建物が堅固な建物の場合には、当事者の合意により期間を定める場合にも30年以上としなければならず、また、非堅固な建物の場合は20年以上としなければなりません。
 また、平成4年8月1日以降に締結された借地契約の場合、借地契約の期間は原則として30年であり、当事者間の合意も30年以上とする必要があります(【Q借地契約の期間について、どのようなルールがありますか。】参照)。

2.ルールよりも短い期間を定めた場合どうなるか

 以上のルールよりも短い期間を定めた場合、借地契約が締結されたのが平成4年8月1日よりも前であっても、後であっても、借地契約の期間は原則どおりの期間に修正されることになります。
 したがって、期間を10年と合意したとしても、平成4年8月1日よりも前に締結された、堅固な建物の所有を目的とする借地契約であれば、期間は60年となります。また、非堅固な建物の所有を目的とする場合には30年となります。
 他方、平成4年8月1日以降に締結された借地契約であれば、借地人が所有する建物の構造が堅固か非堅固かにかかわらず、期間は30年となります。
 設問では、10年ごとに契約を更新しているようですが、当初の契約期間は以上のように延長されていますので、延長された期間内に行われた「更新」は、法的には意味を持たず、最初に締結された借地契約が期間満了まで継続することになります。(なお、ルールよりも短い契約を締結する方法としては、「事業用定期借地権」(【Q事業用定期借地権設定契約とは何ですか。】参照)や「一時使用目的の借地権」(【Q土地を短期間に限って一時的に賃貸する方法はありますか。】参照)を設定することが考えられます。ただし、設問の場合は10年毎に更新手続を行なっているようですので、「一時使用目的の借地権」には当たらないと思われます。)

Q
土地を短期間に限って一時的に賃貸する方法はありますか。
A
1.一時使用目的の借地権

 借地契約の期間についての原則よりも短い期間、土地を賃貸する方法としては、「事業用定期借地権」を設定することが考えられます。しかしながら、「事業用定期借地権」を利用する場合にも、期間は10年以上とする必要があります(【Q事業用定期借地権設定契約とは何ですか。】参照)。
 したがって、例えば、工事現場の仮設建物を建てるために数か月間だけ土地を賃貸したい場合などには「事業用定期借地権」は適さないことになります。
 このような場合、より短い期間の借地契約として「一時使用目的の借地権」を設定することが考えられます。
 「一時使用目的の借地権」については、借地契約の期間についてのルールが適用されませんので、数か月程度の短期間の借地契約を締結することも可能になります。

2.「一時使用目的」に該当するための基準

 ただし、単に期間を短く設定するだけで「一時使用目的の借地権」となるわけではありません。
 「一時使用目的」と認められるためには、短い期間を設定する目的や契約の経緯等の事情を総合的に考慮して、契約期間を短期間に限ることの客観的かつ合理的な理由が必要です。
 例えば、借地人の都合で、工事期間中だけ仮設建物を建てたいとか、期間限定の展示場を開設したいというような事情がある場合には、契約期間を短期間に限ることが合理的といえますので、「一時使用目的」と認められやすくなります。
 他方、短期間の契約が何度も更新されているとか、借地人が長期間使用可能な建物を建てることを地主が認めているとか、借地契約の際に高額の権利金を受領しているといった事情があると、「一時使用目的」とは認められにくくなります。
 なお、地主が一定期間後に土地を利用する必要がある、という事情は、「一時使用目的」と認められやすくなるものではありますが、土地利用の計画が具体的でなく、単に「時期がきたら活用したい」という程度であると、「一時使用目的」とは認められないと思われます。

3.一時使用目的の借地権を設定することのリスク

 以上のように、一時使用目的の借地権と認められるかどうかは、様々な事情を総合的に考慮し、争いになった場合には最終的に裁判所が判断するものです。
 契約期間を短期間として借地契約を締結しても、「一時使用目的の借地権」と認められなければ、契約期間は原則どおりの期間まで延長されることになります(【Q借地契約の期間について、どのようなルールがありますか。】 【Q借地契約の期間を10年として住宅の敷地を賃貸しており、何度か契約を更新していますが、10年の借地契約は許されないと聞きました。借地契約の期間はどうなりますか。】参照)。短期間で土地を返してもらえると考えていた地主としては、予想外のリスクを負ってしまうことになります。
 したがって、「一時使用目的の借地権」を設定する場合には、契約期間を短期間に限る客観的かつ合理的な理由があるといえるかどうか、十分検討する必要があります。

Q
借地上の建物が火災で焼失した場合、借地契約の期間はどうなりますか。
A
1.平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の場合

 建物が火災、倒壊、取壊しなどによりなくなることを「滅失」といいます。
 借地上の建物が滅失した場合の扱いについて、借地法が適用される平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約か、それ以降に締結された借地借家法が適用される借地契約かによって、適用される制度が異なっています。
 平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約について、借地上の建物が滅失した場合であっても、借地契約は終了しません。借地人は借地契約の期間中は建物を所有して借地を使用する権利をもっていますので、建物が滅失しても、再築して借地を使用することができるのです。
 なお、借地契約において再築を禁止する特約が定められているとしても、そのような特約は無効となると考えられています。
 借地人が、借地契約の残存期間(期間満了までに残っている期間)を超えて存続する建物を再築する場合、地主が遅滞なく異議を述べなければ、借地契約の期間は、建物が滅失した日から、堅固な建物については30年、非堅固な建物については20年となる、という期間延長の制度が定められています。ただし、もとの期間の方が長いときは、もとの期間は変更されません。
 これに対し、地主が遅滞なく異議を述べたときは、もとの期間がそのまま維持されることになります。

2.平成4年8月1日以降に締結された借地契約の場合

 平成4年8月1日以降に締結された借地契約の場合には、最初の更新の前か後かによって扱いが異なります。

(1)最初の更新の前の滅失・再築
 最初の更新の前に、借地人が借地契約の残存期間を超えて存続する建物を再築した場合、地主が承諾したときは、承諾または再築のいずれか早い日から20年間、借地契約の期間が延長されることになります。ただし、もとの期間の方が長いときは、もとの期間は変更されません。また、地主と借地人が20年よりも長い期間を定めたときは、合意した期間となります。
 なお、借地人から再築が通知された後2か月以内に地主が異議を述べなかった場合には、承諾があったものとみなされるため、地主が借地契約の期間延長を望まない場合には、必ず2か月以内に異議を述べることが必要です。
(2)更新後の滅失・再築
 これに対し、更新後の再築については、このような期間延長の制度は定められていません。
 借地人が地主の承諾を得ないで借地契約の残存期間を超えて存続する建物を再築した場合、地主は借地契約を終了させる申入れをすることができます。ただし、借地人は、再築にやむを得ない事情がある場合には、裁判所に対し、地主の承諾に代わる許可を求めることができます(【Q借地人との借地契約を更新した後に、借地上の建物が滅失しました。借地人は、再び建物を建てようとしています。地主として借地人に何か主張できますか。】参照)。

Q
借地上の建物が老朽化している場合、借地契約の期間はどうなりますか。
A
1.平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の場合

 建物が老朽化などにより効用を失うこと(朽ち果てること)を「朽廃(きゅうはい)」といいます。
 平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約については、借地契約の期間について法律上の定めよりも長い期間の合意がなく、法律上の期間による場合に、建物がその期間の満了前に「朽廃」したときは借地契約が終了するものとされています。(なお、借地契約の期間については【Q借地契約の期間について、どのようなルールがありますか。】参照)
 ただし、建物が「朽廃」していると認められる場合は極めて限定されており、かなり老朽化が進んでいても「朽廃」とまでは認められない傾向があります。したがって、借地上の建物が多少老朽化しているだけで借地契約が終了するわけではありません。

2.平成4年8月1日以降に締結された借地契約の場合

 平成4年8月1日以降に締結された借地契約については、建物の「朽廃」によって借地契約が終了するものとはされていません。
 したがって、建物が老朽化しているだけで借地契約が終了するわけではありません。(なお、老朽化が進み建物が取壊し等により滅失した場合については【Q借地上の建物が火災で焼失した場合、借地契約の期間はどうなりますか。】参照)

Q
借地契約の更新手続を行うのを忘れていた場合、借地契約の期間はどうなりますか。
A
1.平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の場合

 平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の期間については、借地法という法律が適用されますが、借地契約の期間についてのルールの他に、契約を更新した後の契約期間についてのルールも定められています(【Q借地契約の期間について、どのようなルールがありますか。】参照)。
 借地契約の中に、自動更新についての特約があり、その特約が適用されるときも、更新後の契約期間についてのルールに従う必要があります。
 では、契約を更新する合意も、自動更新の特約もなく、そのまま借地人が借地を使用し続けている場合はどうなるのでしょうか。
 借地人が期間満了後も借地の使用を継続する場合、地主が遅滞なく異議を述べなければ、借地契約が更新されたものとみなされます。これを「法定更新」といいます。この場合、借地契約の期間は、堅固な建物であれば30年、非堅固な建物については20年となります。
 なお、借地上に建物が存在する場合は、地主は、自ら土地を使用する必要がある場合など、正当事由がなければ、異議を述べることができません。したがって、地主が遅滞なく異議を述べても、正当事由がなければ、借地契約は更新されたものとみなされることになります(【Q借地契約の期間が満了するので、更新せず、土地を返してほしいのですが、借地人は土地を使い続けたいと言っています。土地を返してもらうことはできますか。】参照)。

2.平成4年8月1日以降に締結された借地契約の場合

 平成4年8月1日以降に締結された借地契約の期間については、借地借家法という法律が適用されますが、借地契約の期間についてのルールの他に、契約を更新した後の契約期間についてのルールも定められています(【Q借地契約の期間について、どのようなルールがありますか。】参照)。
 借地借家法にも、借地法と同じく「法定更新」の制度が定められています。
 ただし、「法定更新」の後の期間は、最初の更新後は20年、2回目以降の更新後は10年となります。
 また、借地法の場合と異なり、借地借家法においては、借地上に建物がある場合でなければ「法定更新」は認められません。

Q
借地契約を更新する際、借地人に対して更新料を請求できますか。
A

 地主と借地人との間で更新料についての合意があれば、更新料を請求できます。
 借地契約が更新される際に「更新料」の名目で一定の金額が借地人から地主に対して支払われることが多い地域があります。
 しかしながら、法律上は、借地契約が更新される際に更新料の支払いが必要とされているわけではありません。したがって、地主としては、法律を根拠として更新料を請求することができるわけではありません。
 また、法律と同一視できる程度に成熟した慣習がある場合には、慣習に基づいて請求することが考えられます。しかしながら、借地契約の更新料については、そのような慣習の存在を認めない裁判例が複数あります。
 したがって、地主が更新料を請求するためには、更新の際に借地人との間で更新料の支払いについて合意する必要があります。なお、地主と借地人との間で更新料を支払う旨の契約(合意)が成立した場合には、金額が暴利に当たるような高額なものでなければ、有効であると考えられています。
 また、借地契約において予め更新料についての特約を設けておくことも考えられます。(ただし、借地契約に更新料についての特約があるにもかかわらず、借地契約の期間が満了した際に更新の合意がなされず、法定更新が成立した場合について、借地契約の特約に基づき更新料を請求できるかどうかについては見解が分かれています。なお、法定更新については【Q借地契約の更新手続を行うのを忘れていた場合、借地契約の期間はどうなりますか。】参照)

Q
借地人が更新料の支払いを約束したにもかかわらず支払わない場合、借地契約を解除できますか。
A

 更新料の支払いが合意された経緯等によっては、借地契約を解除できる場合もあります。
 借地契約が更新される際、地主は当然に更新料を請求できるわけではありませんが、借地人との間で更新料の支払いについての合意があれば、更新料の支払いを請求することができます(【Q借地契約を更新する際、借地人に対して更新料を請求できますか。】参照)。
 しかしながら、借地契約については、契約違反があったとしても、信頼関係が破壊される程度に至っていない場合には解除することができないと考えられています(信頼関係破壊の理論【Q地代を確実に払ってもらいたいので、1か月でも支払いが遅れたら即解除できるようにしたいのですが、可能ですか。】参照)。したがって、更新料を支払わないことによって、地主と借地人との信頼関係が破壊される程度に至っているかどうかが問題となります。
 裁判例の中には、更新料の支払いが合意された経緯などから、更新料の支払いが借地契約の重要な要素として組み込まれており、信頼関係を維持する基盤をなしているものと認め、更新料を支払わないことを理由とする借地契約の解除を認めたものがあります。
 更新料の支払いが合意された経緯等から、借地人が更新料を支払わないことによって信頼関係が破壊される程度に至っていると認められる場合には、借地契約を解除することができることになります。

Q
借地契約の期間が満了するので、更新せず、土地を返してほしいのですが、借地人は土地を使い続けたいと言っています。土地を返してもらうことはできますか。
A

 地主と借地人が土地の使用を必要とする事情などによっては、借地契約を更新せず土地を返してもらえることもあり得ます。

1.正当事由の必要性

 契約期間が満了したときは契約が終了するのが通常の契約です。
 しかしながら、借地契約については、借地上に建物がある場合には、借地人は期間満了に際して借地契約の更新を請求することができるものとされています。
 また、借地人が更新を請求しない場合であっても、期間満了後も借地の使用を継続する場合には、原則として契約が更新されたものとみなされます(法定更新。なお、平成4年8月1日以降に締結された借地契約の場合は、借地上に建物がある場合に限ります。【Q借地契約の更新手続を行うのを忘れていた場合、借地契約の期間はどうなりますか。】参照)。
 地主としては、借地人による更新の請求や法定更新を拒絶するためには、遅滞なく異議を述べなければなりません。そして、地主は無条件に異議を述べられるわけではなく、異議を述べるためには正当事由が必要とされています。(なお、平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の場合に、借地上に建物がない場合には、法定更新を妨げるための異議に正当事由は必要とされていません。)

2.正当事由の要素

 正当事由の主たる判断要素は、地主と借地人が土地の使用を必要とする事情です。その他の補強要素として、借地に関する経緯や土地の利用状況があり、さらに、地主が立退料の提供を申し出た場合には、立退料も考慮されます。
 設問の場合には、地主が土地を返してほしいと考える理由や切実さと、借地人が土地を使い続けたいと考える理由や切実さの比較が基本的な判断要素であり、これに加えて、地主が提供する立退料等も考慮して、地主が更新を拒絶することに正当事由があるかどうかが判断されることになります。

Q
借地契約を更新せず、土地上にマンションを建てて有効利用したいのですが、借地人からは更新請求がなされました。更新を拒絶することはできますか。
A

 地主と借地人が土地の使用を必要とする事情などによっては、更新拒絶が認められることもあり得ます。
 借地契約の更新拒絶のためには、正当事由が必要であり、その主たる判断要素は、地主と借地人が土地の使用を必要とする事情です(【Q借地契約の期間が満了するので、更新せず、土地を返してほしいのですが、借地人は土地を使い続けたいと言っています。土地を返してもらうことはできますか。】参照)。
 土地の使用を必要とする事情の判断については、土地上の建物に居住して生活する利益の方が、土地上の建物で店舗を営んだり建物を賃貸することなどによる営業上の利益よりも、より必要性が高いと考えられる傾向があります。
 しかしながら、地主が土地に居住する場合でなく、土地を他の方法で有効利用したいと考える場合であっても、借地人の土地使用の必要性や立退料の提供などを総合考慮して更新拒絶の正当事由が認められる場合もあります。
 設問の場合にも、借地人が借地上の建物に居住していないとか、他に使用可能な土地を所有していて土地を使用する必要性が高くない、など、事情によっては更新拒絶が認められることもあり得ます。

Q
借地契約の期間満了に際して、借地人から更新請求がなされていますが、更新を拒絶したいと考えています。立退料は必ず提供しなければなりませんか。
A

 地主と借地人が土地の使用を必要とする程度などによっては、立退料を提供しなくとも更新拒絶が認められることもあり得ます。
 借地契約の更新拒絶のためには、正当事由が必要であり、その主たる判断要素は、地主と借地人が土地の使用を必要とする事情ですが、借地に関する経緯、土地の利用状況、及び、地主が立退料の提供を申し出た場合には立退料も、補強要素として考慮されます。(【Q借地契約の期間が満了するので、更新せず、土地を返してほしいのですが、借地人は土地を使い続けたいと言っています。土地を返してもらうことはできますか。】参照)。
 立退料の提供は、あくまでも正当事由についての補強要素ですので、地主が土地の使用を必要とする程度や、借地人が土地の使用を必要とする程度によっては、地主が立退料を提供せずとも更新拒絶の正当事由が認められている例もあります。
 逆に、地主が土地を使用する必要性が借地人の必要性と比べて大きく下回る場合には、たとえ多額の立退料の提供を申し出たとしても、更新拒絶の正当事由は認められないことになります。

Q
借地契約の期間が満了するため借地を明け渡すよう求めたところ、借地人から、借地上の建物を買い取るよう請求されました。建物を買い取る義務はあるのですか。
A

 建物を買い取る義務があります。
 借地契約の期間が満了した場合に、借地契約の更新がないときは、借地権者は地主に対して建物の買取りを請求することができるとされています。これを「建物買取請求権」といいます。
 通常の建物売買であれば、売主には売るか売らないかを決める自由があり、買主にも買うか買わないかを決める自由があります。しかしながら、借地人が建物買取請求権を行使した場合には、当然に地主と借地人との間で建物の売買契約が成立したのと同じ効果が発生することとされているため、地主は、建物の買取りを拒否することはできません。
 なお、この場合の建物の買取代金は、建物の時価とされています。建物の時価を算定する際には、建物の所在地の利便性など場所的利益は考慮されますが、借地権価格は含まれません。
 建物買取請求権が行使されると、借地人は、地主が建物の時価相当の代金を支払うまで建物を引き渡さず土地を占有することができます。地主としては、借地人に対して地代相当額は請求できますが、土地の明渡しを受けるためには建物の代金を支払う必要があります。

Q
借地人が地代を滞納したため借地契約を解除したところ、借地人から、借地上の建物を買い取るよう請求されました。建物を買い取る義務はあるのですか。
A

 建物を買い取る義務はありません。
 借地契約の期間が満了した場合に、借地契約の更新がないときは、借地権者は地主に対して建物の買取りを請求することができる「建物買取請求権」が認められています(【Q借地契約の期間が満了するため借地を明け渡すよう求めたところ、借地人から、借地上の建物を買い取るよう請求されました。建物を買い取る義務はあるのですか。】参照)。
 しかしながら、建物買取請求権は誠実な借地人を保護する規定であることを理由に、借地人が地代を支払わない等の理由により契約が解除された場合には建物買取請求はできないとした判例があります。
 なお、借地契約について契約違反があったとしても、信頼関係が破壊される程度に至っていない場合には解除することができないと考えられています(信頼関係破壊の理論【Q地代を確実に払ってもらいたいので、1か月でも支払いが遅れたら即解除できるようにしたいのですが、可能ですか。】参照)。したがって、地代の支払いがなされなかったとしても、信頼関係が破壊される程度に至っていない場合には、そもそも借地契約を解除することができないという点に注意が必要です。

Q
地主の承諾なく、借地人が借地権(賃借権)と借地上の建物を第三者に譲渡したため、借地契約を解除したところ、その第三者から、借地上の建物を買い取るよう請求されました。建物を買い取る義務はあるのですか。
A

 建物を買い取る義務があります。
 借地権が賃貸借契約に基づく賃借権である場合、借地権を譲渡したり転貸したりするには地主の承諾が必要です。なお、借地権者が借地上の建物を譲渡するときには、原則として、建物の譲渡に伴って借地権も譲渡または転貸されたことになりますので、同じように地主の承諾が必要です。(これに対し、借地権が地上権である場合には、借地権の譲渡や転貸は自由に行うことができます。【Q借地人が借地上に所有する建物を第三者に「譲渡」することは、借地権の譲渡や転貸に当たるのですか。地主の承諾は必要になるのですか。】参照)
 そして、借地人が借地上の建物を譲渡して借地権を無断で譲渡または転貸したことが、地主との信頼関係を破壊するような背信的行為に当たる場合には、地主は借地契約を解除することができます(【Q借地権(賃借権)の無断譲渡や無断転貸があった場合、地主は借地契約を解除することはできますか。】参照)。
 このように、地主の承諾なく借地上の建物を譲渡して借地権の無断譲渡・転貸を行なったことについて、地主が借地権の譲渡・転貸を承諾しないときは、借地上の建物を譲り受けた第三者は、地主に対して建物を時価で買い取るよう請求することができます(第三者の建物買取請求権)。
 第三者が建物買取請求権を行使すると、当然に地主と第三者との間で建物の売買契約が成立したのと同じ効果が発生するとされているため、地主は、建物の買取りを拒否することはできません。これは、借地契約の期間が満了し借地契約の更新がないときに借地権者が建物買取請求権を行使した場合と同じです(【Q借地契約の期間が満了するため借地を明け渡すよう求めたところ、借地人から、借地上の建物を買い取るよう請求されました。建物を買い取る義務はあるのですか。】参照)。

Q
借地契約の期間の途中に、借地人から解約を申し入れられましたが、応じる義務はあるのですか。逆に、地主の方から解約を申し入れることはできますか。
A
1.借地人による解約申入れ

 借地人は、借地契約において中途解約ができる特約を定めていない限り、期間の途中に借地契約を解約することはできません。
 借地契約の期間は、借地権者が借地を利用する権利を保護するという意味があるだけでなく、地主にとっても、期間中の地代を得られる権利を保証するという意味もありますので、借地人から一方的に契約を終了させることはできません。
 ただし、借地契約において、借地人が中途解約をできる特約を定めている場合には、その特約に基づき、借地人は解約申入れを行なって借地契約を終了させることができます。この場合、解約申入れから契約が終了するまでの期間が借地契約において定められていない場合には、解約を申し入れてから1年後に借地契約が終了することになります。

2.地主による解約申入れ

 地主は、借地契約において中途解約ができる特約を定めていたとしても、期間の途中に借地契約を解約することはできません。
 借地人が期間満了まで借地を使用する権利は法律上保護されており、これを借地人に不利に変更するような契約は無効となります。
 したがって、借地契約において、地主が中途解約できるという特約を定めていたとしても、そのような特約は無効であり、地主の解約申入れによって一方的に借地契約を終了させることはできません。

3.地主と借地人の合意による解約

 地主と借地人の双方が合意して借地契約を解約する場合には、借地契約の内容にかかわらず、借地契約を終了させることができます(合意解約)。
 したがって、地主が何らかの事情で借地契約を期間の途中で終了させたい場合には、借地人に対して「合意解約」に応じるよう要請することは可能です。ただし、あくまでも借地人が解約に応じた場合に合意解約が成立するのであって、借地人が解約に応じてくれない場合には、期間の途中で一方的に借地契約を解約することはできません。