私人の財産の売却等自由な処分を国の機関等が強制力をもって禁止し、その財産や所有物等を確保すること。契約を強制的に実現するために行なう競売手続の民事執行上の差押えのほか、国税や社会保険料等が滞納された場合に処分として行なわれる公売手続における差押え、刑事事件等における立件・証拠保全のための差押えがある。
民事執行手続においては、抵当権等を実行するために競売に至る前に、債権者の差押えの申立に基づき裁判所が命令を発し、対象物の処分を禁止する。一方、国税・地方税の滞納等の場合には、換価する公売手続の場合に、差押えを行なう。
本文のリンク用語の解説
競売
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、その売却代金によって債務の弁済を受けるという制度のこと。
公売
納税者が国税・地方税を納税しない場合に、国または地方公共団体が納税者の財産を差し押さえたうえで自ら売却し、その売却代金から税金の支払いを受けるという制度のこと。
抵当権
債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。
債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
関連用語
差押の登記
不動産に対する差押が行なわれた際に、不動産登記簿に記載される登記のこと。
競売または公売の手続きが正式に開始されたことを公示する登記である。
差押の登記に書かれる「原因」には、次の3種類の文言がある。
1.抵当権等を実行するための任意競売が開始されたとき
→原因「競売開始決定」
2.裁判所の判決等に基づく強制競売が開始されたとき
→原因「強制競売開始決定」
3.税金の滞納に基づく公売が行なわれるとき
→原因「税務署差押」
債権差押
債務者が有する金銭債権から、債権者が満足を得る手続きのこと。債務者の財産に対する強制執行の一つである。
債権差押では、債務者が保有する金銭債権が対象になる。例えば、債務者が銀行に預けている預金(預金債権)、債務者が取引先に請求できる売掛金(売掛金債権)、債務者が勤務先に請求できる給与(給与債権)など、いろいろな金銭債権が差押え可能である。
債権を実際に差し押さえる手続きは次のとおりである。
仮に、債務者Aが債権者Bから金銭を借りており、債権者Bが債務者AのC銀行の預金口座を差し押さえると想定する。債権者Bは、まず債務者Aの住所地を管轄する地方裁判所に、債権差押命令の申立てを行なう。これを受けた裁判所では、債務者Aが預金債権を有している相手方であるC銀行(これを「第三債務者」と表現する)に対して、債権差押命令を郵送する。
この命令が送達されてから1週間が経過すると、債権者Bは、C銀行に対して預金を自己(B)に支払うように請求することが可能となる。このようにして債権者Bは満足を得ることができる。
なお、債権差押に類似した手続きとして「転付命令(てんぷめいれい)」がある。