住宅確保要配慮者の入居を拒まないとして登録した賃貸住宅。住宅セーフティネット法に基づく制度である。
登録するのは賃貸住宅の賃貸人で、都道府県等に対して行ない、その登録住宅の情報は住宅確保要配慮者等に広く提供される。
登録に当たっては、住宅確保要配慮者の入居を拒まないことのほか、耐震性を有すること、住戸の床面積が原則25平方メートル以上であること、家賃の額が近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないことなどの要件を満たさなければならない。
セーフティネット登録住宅については、改修費の補助を受けることができ、また、入居者の居住支援の対象となる。
なお、住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、ひとり親世帯、子育て世帯、外国人等である。
本文のリンク用語の解説
住宅確保要配慮者
高齢者、低額所得者、ひとり親世帯、子育て世帯、障がい者、被災者等の住宅の確保に特に配慮を要する者をいう。外国人やドメスティック・バイオレンス被害者等も住宅確保要配慮者である。 住居の確保は生活の基盤であるだけでなく、人権を維持する上で必須の条件でもある。住宅確保要配慮者はその条件を満たすのに困難な場合が多いことから、住宅確保のための環境を整備するべく、住宅セーフティネットを構築する政策が展開されている。 例えば、その一環として、住宅確保要配慮者に対する民間賃貸住宅の供給を促進するため、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」が制定され、住宅確保要配慮者の入居を受け入れる賃貸住宅の登録、登録した住宅の情報公開、登録住宅の改修等への支援などが推進されている。なお、2024(令和6)年に法改正があり(25(令和7)年7月からの準備期間を経た後、同年10月より施行)、(1)大家が賃貸住宅を提供しやすく、住宅確保要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備、(2)居住支援法人等が入居中サポートを行なう賃貸住宅の供給促進、(3)住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化、が図られることとなった。
住宅セーフティネット法
住宅の確保について特に配慮を必要とする人(住宅確保要配慮者)に対して、賃貸住宅を円滑に供給することを目的として2007(平成19)年に制定された。制定当初の主な内容は、次の通りである。
1.国土交通大臣による基本方針の策定2.空き家等の活用による賃貸住宅の供給促進3.地方公共団体、宅地建物取引業者や賃貸住宅管理業者の団体、居住に係る支援を行なうNPOなどで構成する「居住支援協議会」を設立し、その活動によって支援の実効性を高める取り組みを進めること
なお、住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、ひとり親世帯、子育て世帯、外国人等である。
しかし、住宅確保要配慮者は引き続き増加傾向にあり、公的賃貸住宅等による受容には一定の限界がある。このことから、民間賃貸住宅の活用が一層求められる中で、民間賃貸住宅においては、(1)バリアフリー化および耐震化が遅れている、(2)住宅確保要配慮者の入居に対して賃貸人側が消極的であるという問題が一層明確になったことを踏まえて、2017(平成29)年に改正。
5.地方自治体による住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画の策定6.住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅を都道府県において登録する制度(セーフティネット登録住宅)を創設し、住宅の情報の開示、改修、入居を支援7.都道府県による居住支援法人の指定等円滑な入居の支援8.家賃債務保証業者について、(独)住宅金融支援機構による保険の引受け等の施策のほか、国・地方自治体による賃貸住宅の改修費補助、家賃・家賃債務保証料の低廉化のための補助などの施策が追加された。
さらに、2024(令和6)年の住宅セーフティネット法、高齢者住まい法、住宅金融支援機構法の改正により、
1.基本方針を策定する大臣に厚生労働大臣を追加し、福祉サービスの提供体制の確保を拡充2.要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備(終身建物賃貸借の認可手続の簡素化、居住支援法人による残置物処理、家賃債務保証業者の国土交通大臣認定等)3.「居住サポート住宅」の認定(居住支援法人による安否確認、生活保護実施機関による家賃の代理納付の原則化等)住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化が措置された(2025(令和7)年10月施行)。
床面積
建築物の各階において、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積をいう(建築基準法施行令第2条1項3号)。 なお具体的な床面積の判定の方法については、建設省(現国土交通省)が、通達(昭和61年4月30日付建設省住指発第115号)によって詳しい基準を設けている。