汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。
当該土地から掘削した汚染土壌を特定有害物質が水に溶出しないように性状を変更し、当該土地に埋め戻すことである。
不溶化埋め戻しは、汚染土壌がその場所にある状態で不溶化により法定基準以下の土壌とするものであるが、法定基準に適合する状態となっただけであって特定有害物質が除去されているわけではない。従って「汚染土壌の掘削による土壌汚染の除去」には該当しない。
また、シートによる覆い、覆土、舗装等、地表面からの飛散等の防止のため何らかの措置が必要となる。
なお、不溶化埋め戻しを行なう際には、掘削した汚染土壌を一旦指定区域(土壌汚染対策法の~)の近傍の土地に仮置きし、仮置きした場所で不溶化を施してそれを埋め戻すこととなる(環境省の「土壌汚染対策法ガイドライン」を参考とした)。
本文のリンク用語の解説
土壌汚染の除去等の措置
土壌汚染対策法に基づき指定された要措置区域において講じなければならない措置。特定有害物質による汚染の除去、汚染の拡散の防止その他の措置であって、汚染による人の健康に係る被害を防止するために実施する
土壌汚染の除去等の措置には、都道府県知事が指示する「指示措置」および土地所有者等が独自に実施する「指示措置と同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置」がある。
これらの措置は、汚染物質の種類および基準適合の状況に応じてその方法を選択することとなる。「土壌汚染対策法ガイドライン」(環境省)によれば、その概要は図のとおりである。
(注)環境省「土壌汚染対策法ガイドライン」第1編412頁より
特定有害物質(土壌汚染対策法の~)
土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の物質のこと。
なお、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法において土壌汚染対策が定められているので、土壌汚染対策法の特定有害物質からは除外されている。
土壌汚染対策法では、特定有害物質を使用する特定の施設(「有害物質使用特定施設」という)の使用を廃止したとき、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
特定有害物質はその性質により次の3種類に区分されている。
1)第一種特定有害物質 トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの12種類の揮発性有機化合物2)第二種特定有害物質 鉛、砒素などの9種類の重金属等3)第三種特定有害物質 有機リン化合物などの5種類の農薬等
汚染土壌の掘削による土壌汚染の除去
汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合、または土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。
汚染土壌を掘削し、その場所に掘削した汚染土壌以外の汚染されていない土壌を埋め戻す。また、掘削した汚染土壌から特定有害物質を除去した土壌を埋め戻してもよい(環境省の「土壌汚染対策法ガイドライン」を参考とした)。
指定区域(土壌汚染対策法の~)
土壌の汚染状態が基準に適合していない土地として指定された区域。土壌汚染対策法に基づいて、土壌汚染状況調査の結果によって都道府県知事が指定する
指定区域は、次の2種類がある。
(1)要措置区域土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。
(2)形質変更時要届出区域土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行なわれた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画の届け出が必要である。
指定区域は公示され、台帳に記載して公衆の閲覧に供される。
土壌汚染対策法ガイドライン
土壌汚染対策法に基づく実務を実施する際の参考となる手引きとして環境省が作成・公表している文書。
次の4つの種類がある。
第1編:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン第2編:汚染土壌の運搬に関するガイドライン第3編:汚染土壌の処理業に関するガイドライン第4編:指定調査機関に関するガイドライン
土壌汚染対策法ガイドラインは、土壌対策基本法による措置を実施する場合の考え方、手法、基準などについて記述されていて、地方公共団体の行政実務や事業者が措置を講じる場合の参考文書として広く利用されている。