ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンおよびコプラナーポリ塩化ビフェニル(PCB)をいう(ダイオキシン類対策特別措置法第2条)。
ダイオキシン類は化学物質の製造や廃棄物の燃焼などに伴って副次的に生産される物質であり、極めて毒性が強い。わが国では1999(平成11)年にダイオキシン類の規制が先進諸国に比較して非常に遅れていることが指摘され、議員立法によりダイオキシン類対策特別措置法が制定されたという経緯がある。
なお、土壌汚染対策法ではダイオキシン類を特定有害物質から除外しており、ダイオキシン類の土壌汚染に関する規制はダイオキシン類対策特別措置法に委ねられている。
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ダイオキシン類対策特別措置法
ダイオキシン類による大気汚染・水質汚染・土壌汚染に対する国民の不安の高まりに対処するため、1999(平成11)年7月に議員立法により制定された法律。2001(平成13)年1月6日から施行されている。
この法律では、ダイオキシン類の排出ガス・排出水における濃度基準(排出基準)を設定したほか、ダイオキシン類を排出する施設を特定施設と定義して、その特定施設の設置にあたって排出基準を遵守することを定め、また排出基準を超える排出に対して知事の改善命令等が定められている。
また知事によるダイオキシン類排出の常時監視と、排出者自身による年1回以上の測定を義務付けている(同法第26条から第28条)。 さらにダイオキシン類の土壌汚染を排除するため、知事がダイオキシン類土壌汚染対策地域を指定できるという制度を創設し、知事がその対策地域に関するダイオキシン類土壌汚染対策計画を策定することにより、迅速にダイオキシン類の除去事業を実行する仕組みが設けられている(同法第29条から第32条)。
土壌汚染対策法
土壌汚染の状況を把握し、その汚染による健康被害を防止するための法律。2002(平成14)年に制定された。その後、09(平成21)年にさらなる課題への対応のために、17(平成29)年に土壌汚染リスクの管理を適切に実施するために、それぞれ改正されている。
土壌汚染対策法で定められている主な内容は次のとおりである。
1)土壌汚染状況調査の実施次の3種類の調査を定め、その実施を義務付ける。i)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査ii)土壌汚染の恐れがある土地の形質の変更が行われる場合の調査iii)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査
2)区域の指定と措置の義務づけ土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合に次の2種類の区域を指定し、それぞれの区域について必要な措置を定める。(1)要措置区域土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。(2)形質変更時要届出区域土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画を届け出なければならない。
3)汚染土壌の搬出等に関する規制i)要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土壌の搬出における事前届出、計画の変更命令、運搬基準の遵守ii)汚染土壌に係る管理票の交付及び保存の義務iii)汚染土壌の処理業の許可制度
なお、土壌汚染の発生を防ぐための対策は、土壌汚染対策法のほか、水質汚濁防止法による有害物質を含む汚水等の地下浸透防止措置、廃棄物の処理および清掃に関する法律による有害物質を含む廃棄物の適正処分措置などによって対応が図られている。また、ダイオキシン類による汚染対策については、ダイオキシン類対策特別措置法によって別途の措置が定められている。
特定有害物質(土壌汚染対策法の~)
土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の物質のこと。
なお、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法において土壌汚染対策が定められているので、土壌汚染対策法の特定有害物質からは除外されている。
土壌汚染対策法では、特定有害物質を使用する特定の施設(「有害物質使用特定施設」という)の使用を廃止したとき、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
特定有害物質はその性質により次の3種類に区分されている。
1)第一種特定有害物質 トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの12種類の揮発性有機化合物2)第二種特定有害物質 鉛、砒素などの9種類の重金属等3)第三種特定有害物質 有機リン化合物などの5種類の農薬等