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理事長(区分所有法における~)
読み:りじちょう(くぶんしょゆうほうにおける~)
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区分所有建物管理組合理事会を招集し、理事会の議長を務める役職者である。

理事長は、一般的に、理事会の理事の互選により選出される。理事長は理事会を主宰するだけでなく、共同生活の秩序を乱す行為に対して勧告を行なう権限や、専有部分の修繕に対して承認を行なう権限などを通常持っている(これらの理事長の権限は管理規約使用細則により定められている)。

また通常、理事長は、区分所有法第25条に定める「管理者」になるので、管理者として集会を招集する(同法第34条)、集会の決議を実行する(同法第26条)などの大きな権限を持っている。

本文のリンク用語の解説

区分所有建物

区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことである。 区分所有建物となるためには次の2つの要件を満たすことが必要である。 1.建物の各部分に構造上の独立性があること これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることを指している。ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では足りない。 2.建物の各部分に利用上の独立性があること これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味している。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということである。 上記1.と2.を満たすような建物の各部分について、それぞれ別個の所有権が成立しているとき、その建物は「区分所有建物」と呼ばれる。区分所有建物については、民法の特別法である区分所有法が適用される。 代表的なものとしては分譲マンションが区分所有建物である。しかし分譲マンションに限らず、オフィスビル・商業店舗・倉庫等であっても、上記1.と2.を満たし、建物の独立した各部分について別個の所有権が成立しているならば区分所有建物となる。 なお区分所有建物では、建物の独立した各部分は「専有部分」と呼ばれる。 また、この専有部分を所有する者のことを「区分所有者」という。 廊下・エレベータ・階段などのように区分所有者が共同で利用する建物の部分は「共用部分」と呼ばれ、区分所有者が共有する。 また建物の敷地も、区分所有者の共有となる(ただし土地権利が借地権である場合には「準共有」となる)。このとき区分所有者が取得している敷地の共有持分は「敷地利用権」と呼ばれる。 従って区分所有建物においては、区分所有者は、専有部分の所有権、共用部分の共有持分、敷地の共有持分という3種類の権利を持っていることになる。

管理組合

分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者が建物および敷地等の管理を行なうために区分所有法にもとづいて結成する団体のこと(ただし区分所有法上では「管理組合」という言葉を使用せず、「区分所有者の団体」と呼んでいる)。 区分所有建物においては、区分所有者は区分所有法により、当然にこの「管理組合」に加入することとされているので、区分所有者の任意で管理組合から脱退することはできない(区分所有法第3条)。 このような管理組合は、集会(いわゆる管理組合の総会)を開き、管理に関するさまざまな事項を議決し、管理規約を定める。 また管理組合の通常業務を執行するために、管理規約にもとづいて複数の理事が選出され、この理事によって構成される理事会が業務を行なう。 また管理組合は、法人になることができる。法人になった管理組合は「管理組合法人」と呼ばれる。

理事会(マンション管理組合の)

マンション管理組合において、組合の業務を執行する組織をいう。 マンションのような区分所有建物においては、その管理のために、区分所有者が組合を組織することが通例である(その組織された組合をマンション管理組合と呼ぶ)。そして、規約において、理事会を置いて、管理組合の業務を執行することが多い。 理事会は、一般的に、区分所有者の中から選出された数名の理事によって構成される。理事会の業務は、管理組合の規約や区分所有者の集会で定められるが、例えば、収支の予算や事業計画の案の作成、長期修繕計画案の策定などに当たる。 なお、通常、理事の中から選出される理事長は、規約によって建物の区分所有等に関する法律に定められた区分所有建物の管理者として選出されたこととされ、その職務に当たることとなる。また、管理組合が法人である場合には、理事の設置は法令上の義務である。

理事(区分所有法における~)

区分所有建物の区分所有者が組織する管理組合の理事会において、理事会を構成する役職者である。 理事は、管理組合の集会において区分所有者の中から選出される。理事は理事会の一員として、理事会で議決権を行使し、管理規約で定められた理事会の職務を執行する。

管理規約(区分所有法による~)

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)に基づいて定める規約。区分所有法では単に「規約」と表記しているが、一般的に「管理規約」と呼ばれている。 建物、敷地、附属施設の管理・使用に関する区分所有者相互間の事項が規定されている。また、区分所有者全員の利害に関係しない一部共用部に関する事項については、共用する区分所有者の規約で定めることもできる。 管理規約を定める場合には、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならないとされる。また、規約によって区分所有者以外の者の権利を害することはできない。 管理規約の設定、変更、廃止は、区分所有者の集会において、区分所有者の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の決議(特別決議)によって決する。 管理規約に定める事項については特に定めはないが、国土交通省はマンション標準管理規約を公表し、参考に供している。マンション標準管理規約は、単棟型、団地型、複合用途型に分けて示されており、管理規約に定めるべきとされる主要な事項は次のとおりである。 1.敷地、建物、付属施設の範囲2.共用部分の範囲3.敷地・付属施設・共用部分に関する各区分所有者の持つ共有持分の割合4.専用使用権の範囲5.敷地利用権と専有部分の分離処分の可否6.使用細則(使用に関する詳細な規則)の設定7.集会、管理組合、理事会、会計等に関する事項 なお、管理規約は集会で設定されるべきものであるが、マンション分譲業者が最初にマンションの全部を所有している場合には、次の事項に限っては、公正証書で定めることによって、集会を経ずに管理規約を設定することができるとされている。 1.規約共用部分 2.規約敷地 3.専有部分と敷地利用権の分離処分の可否 4.敷地利用権の共有持分の割合

使用細則

分譲マンションのような区分所有建物において、管理規約に基づいて設定される共同生活上の詳細なルールのことを「使用細則」という。 この使用細則は、区分所有者の集会において管理規約とは別途に作成される規則であり、共同生活において遵守すべきルールを詳細に定めるものである。 その内容は分譲マンションごとにさまざまであるが、一般的にはおおむね次のような事項が「使用細則」に規定されている。 1.禁止される事項(物の放置・共用部分に係る工事など) 2.管理組合に届出を必要とする事項(入居者の変更・専有部分の賃貸など) 3.駐車場・駐輪場・専用庭の使用に関する事項 4.ゴミ処理 5.違反者に対する措置 なお、上記の事項の全部を一つの使用細則で定める必要はなく、目的ごとに複数の使用細則を作ることも可能である(例えば全般的なルールについては「使用細則」、駐車場については「駐車場使用細則」を設けるなど)。 また、使用細則で規定されている事項は、多くの場合、共同生活のルールに関する事柄であるので、原則的には、集会の普通決議によって変更することが可能である(すなわち集会の特別決議を経る必要がない)。 ただし使用細則の変更が、管理規約の内容の変更に該当する場合や、建物・敷地の管理・使用に関する基本的事項の変更に該当する場合には、管理規約そのものの変更の手続きを踏む必要がある。 従ってこうした場合には、集会の特別決議(区分所有者の4分の3以上の出席かつ議決権の4分の3以上の賛成)が必要となる。 このように使用細則中の変更しようとする部分の性質によって、変更手続きが大きく異なるので注意したい。

区分所有法

分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律。正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」。「マンション法」と呼ばれることもある。 区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高い。 このため、1962(昭和37)年に民法の特別法として区分所有法が制定された。これにより、専有部分・共用部分・建物の敷地に関する権利関係の明確化が図られ、規約・集会に関する法制度が整備された。 その後、分譲マンションが急速に普及したことに伴って、分譲マンションの管理運営に関するトラブルが生じたり、不動産登記事務が煩雑になるなどの問題点が生じたので、1983(昭和58)年に区分所有法が大幅に改正された。このときに、区分所有者が当然に管理組合を構成すること、集会での多数決主義、建替え制度、敷地利用権と専有部分の一体化などが定められた。 また、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災において被災マンションの建て替えが課題となったこと、老朽化したマンションの建て替えや大規模修繕を円滑に行なう必要が生じたことから、2002(平成14)年には、復旧決議における買取り請求規定の整備、建替え決議要件の緩和、団地内建物の建替え承認決議の創設などが措置された。 なお、マンションの建て替え等に関しては、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(略称「マンション建替え円滑化法」)」において、合意形成や権利調整についての特別の規定が定められている。

管理者

管理者とは、分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者全員の代表者として、建物および敷地等の管理を実行する者のことである。 通常の場合、管理組合の理事長がこの「管理者」である。マンション管理会社はここでいう「管理者」ではない(ただし管理者は必ずしも管理組合の理事長である必要はなく、区分所有者以外の第三者でもよい)。 管理者は、通常の場合、管理規約の定めに従って、管理組合の理事会において、理事の互選により選ばれる(ただし区分所有法(第25条)上は別の選任方法でもよい)。 管理者は、区分所有者全員の代表者として、集会で決議された事項を実行し、また管理規約において与えられた職務権限を行使することができる(区分所有法第26条)。 管理者の職務としては次のものを挙げることができる。 1.集会(管理組合の総会)の招集・議事運営・議事録作成 (区分所有法第34条・第41条・第42条) 2.管理規約の保管と閲覧への対応(区分所有法第33条) 3.義務違反者に対する訴訟の提起(区分所有法第57条から第60条) 4.そのほか管理規約・使用細則で管理者の職務とされた事項(理事会の運営・日常的な業務の執行など)

集会(区分所有法における~)

分譲マンションのような区分所有建物において、建物および敷地の管理に関する事項を決定するために、少なくとも年に1回以上開催される区分所有者の集会のこと。 区分所有建物では、区分所有者は管理組合の構成員となる。この区分所有者の全員が参加する意思決定機関が「集会」である。一般的には「管理組合総会」「管理組合集会」「総会」とも呼ばれるが、区分所有法では「集会」という名称を使用している。 区分所有法では、「管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない」と定めている(区分所有法第34条第1項・第2項)。ここでいう管理者とは通常は、管理組合の理事長のことである。また年に1回以上定期的に開催される集会は、一般的には「通常総会」と呼ばれている。 このほかに、特定の議案を審議するために区分所有者の一定数以上の請求により臨時的に集会を開催することも可能であり、こうした集会は「臨時総会」と呼ばれている(区分所有法第34条第3項から第5項)。 集会を開催する場合、管理者(理事長)は、開催日より1週間以上前に、開催日時・開催場所・議案の概要を各区分所有者に通知する必要がある(区分所有法第35条)。ただし区分所有者全員が同意した場合に限り、こうした招集手続きを省略することも可能である(区分所有法第36条)。 集会が開催されると、原則として管理者(理事長)が議長となり、あらかじめ通知された議案が審議される。議案を議決する方法としては、普通決議と特別決議がある。 区分所有者は集会に自ら出席して、議案を審議するのが原則であるが、出席できない場合には、書面によって議決を行なうことができ、また代理人を選任して代理人を出席させることも可能である(区分所有法第39条第2項)。 書面による場合には、あらかじめ各議案についての賛成・反対の意見を表明した書面(議決権行使書という)を、管理者(理事長)に提出しておく。また代理人を選任する場合には、その代理人を選任したことを証明するための書面(委任状)を管理者(理事長)に提出する。 集会の議事の内容については、議長が議事録を作成しなければならない(区分所有法第42条)。この議事録は管理者(理事長)が保管し、関係者の請求があったとき、管理者はいつでもこの議事録を閲覧させる必要がある(区分所有法第42条・第33条)。 このように集会は、区分所有者の最高の意思決定機関であるが、日常的な管理組合の運営については集会の下部機関として管理規約にもとづき「理事会」が組織されており、さまざまな業務を執行している。