マンションの管理委託契約を締結する際の指針となる標準的な契約書の様式をいう。
1982(昭和57)年に、住宅宅地審議会(当時)の答申にもとづき建設省(現国土交通省)が策定した。
その後、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が施行されるなどの情況の変化を踏まえて、2003(平成15)年に大きく改定され、現在は名称を変更して「マンション標準管理委託契約書」として活用されている。
本文のリンク用語の解説
管理委託契約
分譲マンションの管理組合または賃貸住宅の賃貸人が、管理会社に対して、マンションまたは賃貸住宅の管理を委託する契約。
管理会社は、マンション管理適正化法に定める「マンション管理業者」または賃貸住宅管理業法に定める「賃貸住宅管理業者」として登録しなければならず、管理契約の締結に当たっては、次の義務がある。
1.管理会社は、管理委託契約の締結前に一定の重要事項を説明しなければならない。2.管理会社は、管理委託契約を締結するときに、一定の事項を記載した書面(管理委託契約書)を遅滞なく交付しなければならない。なお、書面の交付は紙の書面交付または政令で定めるところにより電磁的交付を行なうこともできることになっている(マンション管理適正化法第73条)。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
略称は「マンション管理適正化法」。マンションの管理を適正に行なうための仕組みを規定している法律。2001(平成13)年に公布・施行された。
この法律で規定されているのは、
1.管理組合の運営などマンションの管理に関して、管理組合の管理者やマンションの区分所有者等に対して助言、指導その他の援助を行なう専門家の資格を定めること(マンション管理士制度)
2.マンションの管理業務を受託する者の登録を義務づけること(マンション管理業の登録制度)
3.マンション管理業務を行なうに際して、一定の資格者を置くことを義務付けること(管理業務主任者制度)
などである。
原則的に、マンションの管理はその所有者が責任を負うのであるが、1.によって所有者に対して直接に支援する仕組みを、2.および3.によってマンション管理業務を受託する者が適正に業務を実施する仕組みを、それぞれ整えることにより、良好なマンション居住環境を確保することをめざしている。
マンション標準管理委託契約書
マンションの管理委託契約について、その標準的な契約指針として策定された契約書の雛形をいう。2003(平成15)年4月に公表された。
従来用いられてきた「中高層共同住宅標準管理委託契約書」(1982(昭和57)年策定)に代えて策定されたもので、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(2000(平成12)年施行)などに照らして消費者保護の充実、管理業務の範囲・内容の明確化などが図られている。
主な内容として、善管注意義務、守秘義務、契約更新の手続き、事務管理業務区分、出納業務における財産の分別管理(収納口座、保管口座、収納・保管口座による分別)、修繕積立金の保証契約、免責事項などについて定められている。また、長期修繕計画案の作成業務等は、管理委託業務から除外することとされている。