「見付」とは一般的には正面や正門の意味だが、建築基準法施行令第46条(木造建築物の「構造耐力上必要な軸組等」)第4項では「見付面積(張り間方向またはけた行方向の鉛直投影面積をいう。)」との定義があり、建築物の正面および側面の面積を表している。同条は、風圧力に対する構造上の安全性について定めたものであり、ここでは「風圧を正面から受ける部分の面積」という意味で用いられている。
同項では、風圧力に耐える耐力壁の配置の基準(壁量基準)として、「見付面積からその階の床面からの高さが1.35m以下の部分の見付面積を減じたもの」に過去の風の記録を考慮して定められた数値を乗じて得た数値により必要壁量を算定することとしており、より強い外力を受けると思われる床面から1.35mより上の部分の面積に応じて十分な耐力壁を設けた軸組(存在壁量が必要壁量を上回る軸組)を設けることを求めている。
耐力壁
建築基準法第20条の規定に基づいて、地震力や風圧力による水平方向の力に対抗することができるように、筋かいを入れ、または構造用合板などを張った壁のことを「耐力壁」と呼ぶ。 建築基準法では「建築物は、自重、積載荷重、積雪、地震力、風圧力などに対して安全な構造でなければならない」として、すべての建築物が構造に関する基準を満たすことを要求している(建築基準法第20条第1項、同施行令第3章第1節から第7節の2)。 また、木造3階建てなどの建築物では、特に構造計算により安全性を確認することを義務付けている(建築基準法第20条第1項第2号)。 この建築基準法第20条により、建築物は地震力・風圧力という水平方向の外力に十分に対抗できるような構造を有することが要求されており、この必要性を満たすために筋かいを入れ、または構造用合板等を張った壁を一般に「耐力壁」と呼んでいる。 耐力壁の構造は、建築基準法施行令第46条第4項の表(一)と昭和56年建設省告示第1,100号により詳しく規定されている。 それによれば、例えば在来工法の木造建築物において、柱・梁・筋かいから構成される壁は耐力壁となる。また枠組壁工法において一定の面材(構造用合板、パーティクルボード、石膏ボードなど)を張った壁は、筋かいがなくとも、耐力壁である。 なお建築物の形状や面積により、どれだけの耐力壁を備えるべきかという基準のことを「必要壁量」といい、この必要壁量の計算方法は建築基準法施行令第46条第4項に規定されている。 この必要壁量の計算方法では、建築物の下方階ほど強度の高い耐力壁を多く備えることが要求されている。これは地震力・風圧力とも下の階にいくほど多くの力がかかり、強い対抗力が必要になるからである。 また建築物の形状については、奥行きの長い建築物ほど多くの力がかかるため、必要壁量も多くなる。このため奥行きの長い建築物では、外壁だけでなく、内部を仕切る内壁(間仕切り壁)も耐力壁にする必要性が生じやすい。