一般的には「耕作の目的に供されている土地」を「農地」と呼ぶ(農地法第2条第1項)。
実際には、ある土地が「農地」であるかどうかをめぐって争いがあることが少なくない。ちなみ、過去の裁判例では次の1.2.のような基準が設けられている。
1.「農地」であるかどうかは、登記簿上の地目とは関係がない。たとえ地目が「原野」であっても、現状が「耕作目的の土地」であれば「農地」となる。
2.「農地」とは継続的に耕作する目的の土地である。住宅を建てるまでの間、一時的に野菜を栽培しているような家庭菜園などは「農地」ではない。その反面、たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のものは「農地」である。
実務的には、宅地であるのか農地であるのか判断が分かれるような土地について取引を行なう場合には、市町村の農業委員会において確認を受けることが最も安全である。
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農地法
農地の権利移動や転用の制限、利用関係の調整、遊休農地に関する措置などを定めた法律。1952(昭和27)年に制定された。 耕作者の地位の安定と農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的としている。 2009(平成21)年の法改正によって、農地の賃貸借に関して大幅に制限が緩和され、農業生産法人だけでなく、一般の法人、NPO等が、農地を借りて営農できるようになった。 一方、農地について所有権、賃借権等を有する者は、その適正で効率的な利用を確保する責務を負う旨の規定も追加された。
登記簿
登記記録が記録される帳簿のこと。
従来は、登記簿とはバインダーに閉じられた登記用紙の帳簿を指していたが、新しい不動産登記法(2005(平成17)年3月7日施行)では、磁気ディスクなどをもって調製される帳簿を、登記簿と呼ぶことが原則になった。
地目
登記所の登記官が決定した土地の主な用途のこと。
土地登記簿の最初の部分(表題部という)には、土地の所在、地番、地目、地積(土地面積)が記載されている。
地目は、現況と利用状況によって決められることになっており、次の23種類に限定されている。
田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、
墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、
堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
家庭菜園
農地ではない場所で軽易・小規模に野菜や果物を栽培する場合の栽培場所または栽培活動をいう。自宅の庭、ベランダなどで栽培する場合のほか、市民農園(主として都市住民のレクリエーション等の用に供するために設置・運営される農地)での栽培を含む。
一般の農地での耕作・栽培と違って、家庭菜園での栽培は、通常はレクレーションや趣味として行なわれ、栽培した野菜や果物は主として自家消費に充てられる。
住宅の販売・賃貸に当たって、家庭菜園の提供を付加価値とする場合もある。
農業委員会
市町村に設置される独立の行政委員会で、農業者の代表機能を持つ合議体組織。公選された委員と推薦された委員とで構成される。 農地の権利移動許可、転用許可などに関して専属的な行政権限を持つ他、耕作放棄地の解消などの実施機能も担っている。 また、市街化区域内の農地転用に際しては、農業委員会に届け出ることが必要である。