三井住友トラスト不動産

宅地造成
読み:たくちぞうせい
印刷する

土地を宅地としての機能を備えたものとするために、切り土盛り土等による斜面の平坦化などの工事、擁壁の設置工事、排水施設の設置工事、地盤の改良工事などを行なうこと。こうして形成された宅地は「造成地」と呼ばれる。

宅地造成のための工事のうち一定のものは、「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」に基づき、着手前に都道府県知事の許可を得なければならない。(詳細は「宅地造成等工事規制区域」を参照)

本文のリンク用語の解説

切り土

傾斜のある土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。 宅地造成工事規制区域の中にある宅地において、高さが2mを超える崖を生じるような切り土をする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受けることが必要である(宅地造成等規制法第12条1項)。

盛り土(土壌汚染対策法の~)

汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。 土壌のある範囲を、まず、砂利その他の土壌以外のもので覆い、次に、厚さが50cm以上の基準不適合土壌以外の土壌で覆うことにより、汚染土壌の飛散を防止することである(環境省の「土壌汚染対策法ガイドライン」を参考とした)。

擁壁

崖を覆う人工の壁のこと。土圧を受け止め、土の崩壊を防止する設備である。主に、敷地と道路に高低差がある場合や、敷地の背後に崖がある場合に設置される。 擁壁は、単に崖を補強するものではなく、土砂の崩壊を防止することが重要な役割である。過大な基礎圧力、水位の上昇等が加わったときに、転倒・滑動せず、安定性を保つ性能を備えていなければならない。 擁壁の種類は、構造によって、重力式擁壁、半重力式擁壁、片持ち梁式擁壁、控え壁式擁壁、支え壁式擁壁、石積・ブロック積擁壁などに分類できる。 なお、建築基準によって、高さが2mを超える擁壁を造る場合には、建築主事の建築確認を受ける必要がある(建築基準法第88条1項・同施行令第138条1項5号)。

盛土規制法

危険な宅地造成・盛土等・土石の堆積について規制し、崖崩れや土砂の流出による災害を防止するための法律。正式な名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」で、「宅地造成等規制法」を抜本的に改正して、2022年5月に制定された。 この法律は、宅地、森林、農地等の土地の用途を問わず、危険な宅地造成・盛土等・土石の堆積を全国一律の基準で包括的に規制することを定めている。 盛土規制法が定める主な内容は次のとおりである。 (1)宅地造成等工事規制区域の指定・行為規制宅地造成・盛土等・土石の堆積に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地等の区域を「宅地造成等工事規制区域」に指定する。 この区域内で、一定の宅地造成・盛土等・土石の堆積を行なう場合には、工事に着手する前に許可を得なければならない。この場合、工事は、擁壁、排水施設等の設置、地盤の締め固めなど災害を防止するため必要な措置が講じられたものでなければならない。 (2)特定盛土等規制区域の指定・行為規制宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であって、土地の傾斜度、渓流の位置、土地利用の状況などから、盛土等・土石の堆積によって居住者等の生命身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を「特定盛土等規制区域」に指定する。 この区域内で、一定の盛土等・土石の堆積を行なう場合には、工事に着手する前に届出が必要で、一定規模を超える工事は事前に許可を得なければならない。この場合、工事は、擁壁、排水施設等の設置、地盤の締め固めなど災害を防止するため必要な措置が講じられたものでなければならない。 (3)工事の監督許可した工事について、施工状況の定期報告を求め、施工中の中間検査、工事完了時の完了検査を実施する。 (4)土地の保全両区域内の土地については、土地所有者等は、宅地造成・盛土等・土石の堆積に伴い災害が生じないよう安全な状態に維持する責務がある。また、災害防止のため必要なときは、土地所有者等のほか、原因行為者に対しても是正措置等を命令できる。

宅地造成等工事規制区域

宅地造成・盛り土等・土石の堆積に伴い災害が生ずるおそれが大きいとして指定された区域。「宅地造成及び特定盛土等規制法」に基づき、都道府県知事が指定する。 指定されるのは、市街地、市街地になろうとする土地、集落の区域(市街地等区域)であって、盛り土等が行なわれている状況、今後の盛土等が行なわれる可能性、盛り土等に伴う災害の発生状況等を踏まえ、盛り土等に伴う災害が発生する蓋然性があると判断される区域である。 宅地造成等工事規制区域内で行なう宅地造成・盛り土等・土石の堆積に対しては、次のような規制が適用される。 ア)次の行為を伴うときには、工事に着手する前に都道府県知事の許可を得なければならない。 (1)土地の形質の変更i)盛り土・切り土によって一定の高さを超える崖を生じるもの ii)盛り土・切り土する土地の面積が一定値を超えるもの iii)宅地造成以外の盛り土で、高さが一定値を超えるもの (2)土石の一時堆積(一定期間経過後に搬出することを前提とした堆積) i)堆積する土地の面積が一定値を超えるもの ii)堆積高が一定値を超えるもの イ)工事の許可を得るためには、工事が、地盤の安定性確保、盛り土等の形状、擁壁の設置、排水施設の設置、崖面等の侵食防止に関する技術基準に適合すること、工事を完成するために必要な能力があることなどの要件を満たさなければならない。  ウ)許可された工事について、施工状況を定期的に報告し、一定の工事について施工中に中間検査を受け、工事完了時に完了検査を受けなければならない。 エ)区域内の土地については、土地所有者等は、宅地造成・盛り土等・土石の堆積に伴い災害が生じないよう安全な状態に維持する責務がある。また、災害防止のため必要なときは、土地所有者等のほか、原因行為者に対しても是正措置等が命じられる。

関連用語

宅地造成工事規制区域

宅地造成に伴い災害が生ずる恐れの著しい区域として、都道府県知事が指定した区域。 2022年に改正される前の「宅地造成等規制法」に基づく制度で、改正後の「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」によって、「宅地造成等工事規制区域」に移行した。 区域内で一定の宅地造成工事に着手する前には許可が必要なことは改正前と同じである。また、区域指定の基準なども、おおむね従前どおりである(詳細は「宅地造成等工事規制区域」を参照)。

宅地造成工事の許可

宅地造成工事規制区域内で一定の宅地造成工事に着手する前に必要な都道府県知事の許可。2022年に改正される前の「宅地造成等規制法」に基づく制度で、改正後の「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」によって、宅地造成等工事規制区域内での宅地造成工事に対する許可制度に移行した。 改正後の許可の基準等は、おおむね改正前と同じである(詳細は「宅地造成等工事規制区域」を参照)。