三井住友トラスト不動産

採光補正係数
読み:さいこうほせいけいすう
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採光について、建築基準法は、開口部の採光に有効な面積(「有効採光面積」)を、居室床面積に対して一定以上の割合(居室の種類に応じて5分の1(学校等)から10分の1)とすることを求めている。有効採光面積は、採光関係比率(隣地境界線からの距離を、窓などの中心部から直上の建築物の部分までの高さで除した数値)に応じて定められている採光補正係数を開口部面積に乗じることによって算定される(窓等開口部の面積×採光補正係数)。

採光補正係数は、光の取り込みやすさを表すものとして、その算定式は同法施行令第20条により、用途地域ごとに定められている(例えば第一種低層住居専用地域等の住居系地域では、「6.0×採光関係比率-1.4」など)。採光補正係数が大きければ、当該建築物の有効採光面積は大きくなり、規制を満たしやすくなる。

採光補正係数は、計算式で得られるが、採光補正係数が大きくなることにより必要とされる開口部の面積が小さくなり過ぎることのないよう、3を上限としている。また、道路に面している場合などは、計算の結果1を下回る場合でも1として扱う等の例外がある。

 

本文のリンク用語の解説

採光

建築基準法によれば、住宅の居室においては、採光のために、窓その他の開口部を設けなければならない(建築基準法第28条1項)。 この住宅の採光のための開口部の面積は、居室の床面積の7分の1以上(照明設備の設置や有効な採光方法を確保する措置がなされている場合は、その居室の床面積の10分の1までの範囲内)でなければならないとされている(有効採光面積を参照)。 襖、障子などの常時開放できるもので仕切られた2つ以上の居室は、1つの居室とみなすこととされている(建築基準法第28条4項)。従って、1つの居室には必ず1つの窓が必要というわけではなく、障子で仕切られた2つの居室について1つの窓でもよいということになる。 住宅の販売広告等では、窓のない部屋はこの採光の規定(建築基準法第28条)を満たしていないため、「居室」と表示することはできない。その代わりに、「納戸(なんど)」「サービスルーム(納戸)」などと表示することは可能とされている。 また、地階に設けた居室についてはこの限りではないとされているので、居室として使用される地下室では採光のための開口部を設ける必要はない(建築基準法第28条1項但し書き)。 ただし、こうした地下室では衛生上の要請から「ドライエリア(からぼり)」等の設備を設ける必要がある(建築基準法第29条)。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。 遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。 その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

採光や換気のために建物の外壁などに設ける開口部。 一般に、ガラス板、ガラス板を固定する框(かまち)、窓枠、鍵・開閉器具等によって構成されている。開口面に、ガラス板ではなく、障子紙などを用いる窓もある。 窓の種類は、開閉の方法や設置のかたちによって分類される。開閉の方法には、屋外に向かって開く「開き窓」、横方向にスライドする「引き違い窓」、縦方向にスライドする「上げ下げ窓」、上端または下端を倒す「倒し窓」などがあるほか、固定し開閉しない「はめ殺し窓(FIX窓)」もある。設置のかたちとしては、屋根面から突出し垂直に設置する「屋根窓 (ドーマーウインドー)」、壁から外に突き出た「出窓」、床に接し大きく開く「掃き出し窓」などがある。 なお、建築基準は、居室には、採光及び換気のため、一定面積以上の窓等の開口部を設置しなければならないとしている。

開口部

壁・床・屋根に設けられた開口部分のこと。窓、出入口、天窓などを指す。

有効採光面積

建築基準法第28条第1項においては、住宅等の居室には採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な面積は、居室の床面積に対して、住宅にあっては7分の1以上、その他の建築物にあっては建築物の種類に応じて5分の1から10分の1以上としなければならないと定められている(ただし、地階等は例外)。 「採光に有効な面積」(有効採光面積)の算定方法は同法施行令第20条および平成15年国土交通省告示第303号に定められており、開口部の面積(一般的には窓の面積)に採光補正係数を開け合わせた数値となる。採光補正係数は、隣地境界線からの距離、窓の位置、用途地域によって変わる。 この有効採光面積が確保できない部屋が建築基準法上「居室」として扱われないこととなり、不動産広告やその間取図などで、「納戸」「サービスルーム」と表記されることとなる。  

居室

居室とは「居住、作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する室のこと」である(建築基準法第2条4号)。 この定義に従えば、一般の住宅の場合、居室とは「居間」「寝室」「台所」である。 その反対に、「玄関」「便所」「浴室」「脱衣室」「洗面所」「押入れ」「納戸」「廊下」は居室ではない。 なお建築基準法では、居住の目的のための居室については、採光に関する基準(建築基準法第28条第1項)と換気に関する基準(建築基準法第28条第2項)をクリアすることを必要としている。 ただし、居室として使用する地下室については採光の基準が適用されず、その代わりに衛生上必要な防湿の措置等を行なうことが必要とされている(建築基準法第29条)。

床面積

建築物の各階において、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積をいう(建築基準法施行令第2条1項3号)。 なお具体的な床面積の判定の方法については、建設省(現国土交通省)が、通達(昭和61年4月30日付建設省住指発第115号)によって詳しい基準を設けている。

用途地域

建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。 用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率、建ぺい率などの建築規制が定められている。 ・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」 ・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域」 ・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」 用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。 なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。

第一種低層住居専用地域

都市計画法(第9条)で「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。 この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。 また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」と言う。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。 この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。 (建築できるもの) 1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館 2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホームなど (建築できないもの) 1.大学、専修学校、病院 2.店舗 3.事務所 4.工場 5.ホテル・旅館 6.遊戯施設・風俗施設 7.自動車教習所 8.倉庫業の倉庫など