既存住宅の売買取引において、現在の所有者である売主がまだ住宅ローンの返済中で残債がある場合には、物件に売主を債務者とする抵当権が設定されている。一方、買主側も住宅ローンを組む場合には、買主側の金融機関が当該物件に抵当権を設定しないと融資が実行されない。融資が実行され、買主から売主へ物件代金が支払われ、売主がローンを完済しなければ、先の抵当権が抹消されず、買主側の金融機関は抵当権を設定することができない。
これでは結局、ローン残債のある既存住宅は売買できないということになってしまうので、売主、買主、双方の金融機関担当者、司法書士、不動産仲介業者が一堂に会し、必要な手続きを行なうことを同時決済と呼んでいる。
同時決済されるもののうち、金銭の関わる部分は、買主への融資実行、買主から売主への売買代金の支払い、売主によるローン残債の返済であり、登記に関わる部分は、売主側の金融機関の抵当権の抹消、売主から買主への所有権移転登記、買主側の金融機関の抵当権の設定である。
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既存住宅
居住に供されているまたは供されたことのある住宅。「中古住宅」も同義。これに対して、まだ人の居住の用に供したことのない住宅(建築工事完了日から1年を経過したものを除く)が「新築住宅」である
既存住宅に関しては、その品質確保や流通の円滑化に資するため、既存住宅品質表示、既存住宅状況調査、既存住宅売買瑕疵保険などのしくみが整備されている。
売主
不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。 また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。 この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。
住宅ローン
個人に対する住宅資金の融資をいう。
主として民間の金融機関が担っているが、その円滑な実施などのため、(独)住宅金融支援機構(住宅金融公庫の廃止後、その機能の一部を引き継いだ組織)と連携することが多い。また、年金基金、共済組合などが融資する場合もある。
融資の期間、利率(固定金利か変動金利かを含めて)などの条件は、金融機関によって異なるほか、借入者の属性や状況等、金融機関との取引の状況に応じて多様である。その選択のために、借入と償還をさまざまにシュミレーションできるサービスも提供されている。
住宅ローンの実施に際しては、通常、融資対象となる住宅に担保権が設定されるほか、連帯保証人を求められることが多い。また、住宅販売会社が提携金融機関の融資を斡旋する場合もある(提携住宅ローン)。
なお、住宅ローンの負担軽減のための税制上の優遇措置(住宅ローン減税)があるほか、住宅ローン債権がSPCなどに譲渡され証券化される例も増えてきている。
抵当権
債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。
債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
買主
売買における目的物(土地、建物、商品など)の買い手。買主は、売買契約によって目的物の所有権を取得し、それを使用・収益・処分することになる。一方、目的物の売り手が「売主」である。
買主は売主に代金を支払い、売主は買主に目的物を支配する権能を移転する。この場合、売主は、買主に対して、目的物の引き渡し(動産について)、登記(不動産について)など権利移転の対抗要件を備える義務、目的物に瑕疵がある場合の担保責任などを負うことになる。
司法書士
不動産の権利に関する登記などの専門家。 不動産登記簿の「甲区」および「乙区」に登記すべき事項について、登記申請者から依頼を受けて登記申請書の作成を行ない、登記申請者の代理人として登記の申請を代理する。 また、会社の設立登記や役員変更の登記などの商業登記についても、不動産登記と同様に申請書を作成し、申請を代理することができる。 その他に、本人が行なう訴訟のための訴訟書類の作成援助、契約書の作成と助言も司法書士の業務とされている。また司法書士法の改正により2003年4月1日以降は、簡易裁判所における訴訟手続きの代理、裁判外での和解の代理なども司法書士の業務に加えられることになっている。
所有権移転登記
不動産の所有権を移転したときに、その旨を登記すること。法務局に申請し、登記簿の権利を表示する欄(権利部(甲区))に、登記目的が所有権移転であること、権利移転の原因・日付、移転先権利者の名義(必要に応じて持分割合)を記載する。
権利移転の原因には、売買、贈与、相続、共有物分割などがある。また、新築家屋のような新たな不動産の所有権を登記する場合は、「所有権保存登記」を行なうこととなる。
なお、土地と建物は別々に登記する。また、所有権移転登記は義務ではないが、登記がないと当該所有権について第三者に対抗することができない。