木造建築物の軸組について、耐力壁の設置のバランスを確認するための数値。建築構造の安全性を評価する場合に、簡便に評価する方法(4分割法)を用いるとき算定しなければならない。
壁率比は、次の手順で求める。
(1)建物の各階に、壁面から4分の1の距離までの床面(4面ある)について必要な壁量(必要壁量)を算定する
(2)それぞれの必要壁量に対する実際の壁量(存在壁量)の比(壁量充足率)を求める
(3)張り間の方向およびけた行の方向(壁面の縦横方向)ごとに、向かい合う壁面の壁面充足率の大きいほうに対する小さいほうの割合を算定する
その結果得られた(3)の値が壁率比である。
建築構造は、壁量充足率がいずれも1以上、または、壁率比が0.5以上でなければならないとしている。
なお、耐力壁とは、地震、風圧などによる水平力および建物の自重、積載・積雪の荷重などの鉛直力に耐える壁構造である。
本文のリンク用語の解説
木造
建物の主要な部分を木材とした建築構造のこと。
木造の工法は、大きく分けて「在来工法」「伝統工法」「枠組壁工法」に分類されている。
耐力壁
建築基準法第20条の規定に基づいて、地震力や風圧力による水平方向の力に対抗することができるように、筋かいを入れ、または構造用合板などを張った壁のことを「耐力壁」と呼ぶ。 建築基準法では「建築物は、自重、積載荷重、積雪、地震力、風圧力などに対して安全な構造でなければならない」として、すべての建築物が構造に関する基準を満たすことを要求している(建築基準法第20条第1項、同施行令第3章第1節から第7節の2)。 また、木造3階建てなどの建築物では、特に構造計算により安全性を確認することを義務付けている(建築基準法第20条第1項第2号)。 この建築基準法第20条により、建築物は地震力・風圧力という水平方向の外力に十分に対抗できるような構造を有することが要求されており、この必要性を満たすために筋かいを入れ、または構造用合板等を張った壁を一般に「耐力壁」と呼んでいる。 耐力壁の構造は、建築基準法施行令第46条第4項の表(一)と昭和56年建設省告示第1,100号により詳しく規定されている。 それによれば、例えば在来工法の木造建築物において、柱・梁・筋かいから構成される壁は耐力壁となる。また枠組壁工法において一定の面材(構造用合板、パーティクルボード、石膏ボードなど)を張った壁は、筋かいがなくとも、耐力壁である。 なお建築物の形状や面積により、どれだけの耐力壁を備えるべきかという基準のことを「必要壁量」といい、この必要壁量の計算方法は建築基準法施行令第46条第4項に規定されている。 この必要壁量の計算方法では、建築物の下方階ほど強度の高い耐力壁を多く備えることが要求されている。これは地震力・風圧力とも下の階にいくほど多くの力がかかり、強い対抗力が必要になるからである。 また建築物の形状については、奥行きの長い建築物ほど多くの力がかかるため、必要壁量も多くなる。このため奥行きの長い建築物では、外壁だけでなく、内部を仕切る内壁(間仕切り壁)も耐力壁にする必要性が生じやすい。
建築構造
「荷重や外力に対抗するために必要な部分の組み合わせ」のことである。
端的にいえば、建築構造とは「建物の骨組」のこと。
地震
地殻が急激にずれ動く現象。これに伴って起きる大地の揺れ(地震動)をいう場合もある。地震が発生したとき最初に地殻が動いた場所が「震源」、震源の地表面位置が「震央」、伝播する地震動が「地震波」である。
地震の大きさを示す指標には、地震の規模によるものと、地震動の大きさによるものの2種類がある。一般に、地震の規模は地震によって放出されるエネルギー量を示す「マグニチュード(M)」で、地震動の大きさは揺れの程度を客観的に段階化した「震度」で示される。震度は、マグニチュードだけでなく、震源からの距離、地震波の特性、地盤の構造や性質などによって決まる。
地震が発生しやすいのは地殻に力が加わって歪みが蓄積している場所で、地震はその歪みが解消する際に起きると考えられている。しかし、発生の場所と時点を特定するのは非常に難しい。
なお、構造物の耐震設計は、地震動によって構造物に加わる力を許容できる程度に抑えるための設計であるから、想定する地震動の大きさや性質(揺れの方向、振動数、継続時間など)が重要となる。
自重
モノそれ自体の重さ。建物構造が頑強であるほどその自重は大きくなり、地盤はそれを支えることのできる強度が必要となる。
構造物の設計においては、構造に加わる負荷(地震、風圧、備品や設備の荷重など)だけでなく、自重負荷にも耐えるようにしなければならない。