大気の汚染に関して、国民の健康保護、生活環境の保全などのために必要な対策を定めた法律。1968(昭和43)年に制定され、その後、問題の発生に応じて改正が重ねられている。
大気汚染防止法による対策の基本的な仕組みは、(1)有害な大気汚染物質を指定し、(2)汚染物質の種類ごと、排出施設等の種類や規模ごとに排出の基準等を定めてその順守を求め、(3)必要に応じて基準適合命令、使用停止命令などの措置を講じることである。また、(4)健康被害物質の大気中への排出により人の生命又は身体を害したときは、当該排出に係る事業者はこれによって生じた損害を賠償する責めに任ずること(無過失賠償責任)を定めている。
汚染物質として指定されているのは、煤煙(硫黄酸化物、煤塵、窒素酸化物など)、揮発性有機化合物(一定のVOC)、粉塵(石綿等)、水銀等、自動車排出ガスである。
石綿(アスベスト)も大気汚染防止法による規制対象物質である。吹付け石綿等が使用されている建築物などの解体・改造・補修作業について、作業基準などが定められ、事業者はその基準を守らなければならない。また、建築物の解体・改修工事を行なうときには、資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による事前調査の実施が義務付けられている。
本文のリンク用語の解説
揮発性有機化合物
常温で揮発する有機化合物のこと。
代表的なものとして、ホルムアルデヒド、クロルピリホス、トルエン、キシレン、ベンゼン、スチレンなどがあり、いずれも人体への有害性が指摘されている(詳しくはVOCへ)。
VOC
常温で揮発する有機化合物(揮発性有機化合物)。英語のVolatile Organic Compoundsの略語。その種類は100種類以上あるが、代表的なVOCは、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メタノール、ジクロロメタンなどである。塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤などに使用されていて、「有機溶剤」の多くはVOCである。
NOXとともに光化学大気汚染をもたらす主要な原因物質であり、発がん性など人体に有害な影響を及ぼすものやシックハウス症候群の原因となるものもある。また、ごく微量であっても臭気、目・鼻・喉への刺激、めまい、頭痛などを引き起こすことがあり、化学物質過敏症の原因になるとも考えられている。
VOCのうちベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンについては環境基準が定められている。また、大気汚染防止法に基づきVOC(排出口から大気中に排出され、また飛散したときに気体である有機化合物、ただし、メタンなど光化学反応性が極微の8種類の物質を除く)について、施設の類型(塗装、接着、洗浄など)ごとに排出基準値が定められ、排出できる濃度が規制されている。
石綿
蛇紋石・角閃石など繊維状ケイ酸塩鉱物の総称。英名アスベスト(Asbestos)。
繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。
しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されている)。
建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。
アスベスト
石綿(せきめん・いしわた)のこと。
繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。
しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化 されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されてい る)。
建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。