宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。
この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。
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免許
「宅建免許」を参照。
宅地建物取引士
宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。 一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。 宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。
1.重要事項説明 2.重要事項説明書への記名・押印 3.37条書面への記名・押印 宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。
1)宅地建物取引士資格試験に合格すること 宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。 2)都道府県知事に登録を申請すること この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。 3)都道府県知事の登録を受けること 登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。 4)宅地建物取引士証の交付を申請すること 宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。 5)宅地建物取引士証の交付を受けること 氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる(氏名において旧姓が併記された宅地建物取引士証の交付を受けた日以降は、書面への記名等の業務において旧姓を使用してよいこととされている)。
宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。
営業保証金
宅地建物取引業者が営業を開始するにあたって、供託所に供託しなければならない金銭。この保証金は、宅地建物取引業者との取引によって生じた債権の履行を担保する機能を果たす。
営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。
なお、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならないとされている。分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。
宅地(宅地建物取引業法における~)
宅地建物取引業法では、宅地の定義を次のように定めている(宅地建物取引業法第2条第1号、施行令第1条)。
1.用途地域内の土地について
都市計画法で定める12種類の用途地域内に存在する土地は、どのような目的で取引する場合であろうと、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば用途地域内に存在する農地を、農地として利用する目的で売却する場合であっても、宅地建物取引業法では「宅地」として取り扱う。
2.用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地について
用途地域内の土地のうちで、5種類の公共施設の用に供されている土地については、「宅地」から除外する。具体的には、道路・公園・河川・広場・水路という5種類の公共施設の用地は「宅地」から除外される(ただし下記の補足1を参照のこと)。
3.建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地について
建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地は、土地の原状の用途に関係なく、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば土地登記簿上の地目が「田」「畑」「池沼」「山林」「原野」である土地であっても、その土地を、建物の敷地に供する目的で取引するならば、宅地建物取引業法上はすべて「宅地」として取り扱われる。
これについては、土地の所在がどこであろうと適用される判断基準である。従って、都市計画区域外の山林や原野を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、その山林や原野は「宅地」として取り扱われる。
(補足1)用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地を、建物の敷地に供する目的で取引の対象とする場合について:
例えば、用途地域内の道路用地である土地を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、上記3.の基準が適用される。従って、この場合は、用途地域内の道路用地が、宅地建物取引業法上の「宅地」に該当することになる。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
宅地建物取引業
宅地建物取引業とは「宅地建物の取引」を「業として行なう」ことである(法第2条第2号)。 ここで「宅地建物の取引」と「業として行なう」とは具体的には次の意味である。 1.「宅地建物の取引」とは次の1)および2)を指している。 1)宅地建物の売買・交換 2)宅地建物の売買・交換・貸借の媒介・代理 上記1.の1)では「宅地建物の貸借」が除外されている。このため、自ら貸主として賃貸ビル・賃貸マンション・アパート・土地・駐車場を不特定多数の者に反復継続的に貸す行為は、宅地建物取引業から除外されているので、宅地建物取引業の免許を取得する必要がない。 またここでいう「宅地」とは、宅地建物取引業法上の宅地を指す(詳しくは「宅地(宅地建物取引業法における~)」を参照のこと)。 2.「業として行なう」とは、宅地建物の取引を「社会通念上事業の遂行と見ることができる程度に行なう状態」を指す。具体的な判断基準は宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の「第2条第2号関係」に記載されているが、主な考え方は次のとおりである。 1)取引の対象者 広く一般の者を対象に取引を行なおうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。 2)取引の反復継続性 反復継続的に取引を行なおうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行なおうとするものは事業性が低い。