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土壌汚染リスクの防止
読み:どじょうおせんりすくのぼうし
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土壌汚染によるリスクを防止する措置で、リスクには、地下水の摂取等によるものと、直接摂取によるものとがある。

土壌汚染対策法ガイドライン」(環境省)に示されているリスク防止の方法は、次のとおりである。

(1)地下水経由の観点からの土壌汚染がある場合
・地下水の摂取等によるリスクを防止する方法
ア 暴露管理(土壌汚染により汚染された地下水の摂取等を抑制)
イ 暴露経路遮断(基準不適合土壌に含まれる特定有害物質が周辺の地下水を汚染することの抑制)
ウ 土壌汚染の除去(基準不適合土壌中に含まれる特定有害物質の抽出・分解又は当該区域からの搬出)
・具体的な措置
1)地下水の水質の測定
2)原位置封じ込め
3)遮水工封じ込め
4)地下水汚染の拡大の防止(揚水施設、透過性地下水浄化壁)
5)基準不適合土壌の掘削による除去・原位置での浄化による除去
6)遮断工封じ込め
7)不溶化(原位置不溶化、不溶化埋め戻し)

(2)直接摂取の観点からの土壌汚染がある場合
・基準不適合土壌を直接摂取することによるリスクを防止する方法
ア 暴露管理(基準不適合土壌と人が接触する機会の抑制)
イ 暴露経路遮断(基準不適合土壌又は基準不適合土壌中に含まれる特定有害物質の移動の抑制)
ウ 土壌汚染の除去(基準不適合土壌中に含まれる特定有害物質の抽出若しくは分解又は当該土地からの搬出)
・具体的な措置
1)舗装
2)立入禁止
3)土壌入換え(区域外土壌入換え、区域内土壌入換え)
4)盛土
5)基準不適合土壌の掘削による除去・原位置での浄化による除去

本文のリンク用語の解説

土壌汚染対策法ガイドライン

土壌汚染対策法に基づく実務を実施する際の参考となる手引きとして環境省が作成・公表している文書。 次の4つの種類がある。 第1編:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン第2編:汚染土壌の運搬に関するガイドライン第3編:汚染土壌の処理業に関するガイドライン第4編:指定調査機関に関するガイドライン 土壌汚染対策法ガイドラインは、土壌対策基本法による措置を実施する場合の考え方、手法、基準などについて記述されていて、地方公共団体の行政実務や事業者が措置を講じる場合の参考文書として広く利用されている。  

環境省

中央省庁のひとつで、地球環境の保全、公害の防止、自然環境の保護などを任務とする組織。廃棄物処理や原子力の安全確保に関する行政も所管している。 前身は、1971年に公害防止行政を一体的に担うために設置された環境庁である。その後、2001年に廃棄物行政を加えて環境省が発足した。さらに、地球環境問題への対応や原子力災害の防止のための業務を加えて現在に至っている。 省エネルギーの推進、循環型社会の形成などのための事業に対する支援も行なっていて、たとえばエコハウスモデル事業への補助金交付もそのひとつである。

特定有害物質(土壌汚染対策法の~)

土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の物質のこと。 なお、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法において土壌汚染対策が定められているので、土壌汚染対策法の特定有害物質からは除外されている。 土壌汚染対策法では、特定有害物質を使用する特定の施設(「有害物質使用特定施設」という)の使用を廃止したとき、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。 特定有害物質はその性質により次の3種類に区分されている。 1)第一種特定有害物質 トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの12種類の揮発性有機化合物2)第二種特定有害物質 鉛、砒素などの9種類の重金属等3)第三種特定有害物質 有機リン化合物などの5種類の農薬等

盛り土

傾斜のある土地を平らな土地にするために、土砂を盛ること。宅地造成のための工法として広く使われている。これに対し、土砂を切り取ることを「切り土」という。 盛り土は、土砂を積み上げただけでは、地盤沈下、地震時の滑動崩落(地滑り的変動)や液状化、大雨による崩落や土砂流出などが起きやすい。転圧や地盤改良工事によって、これらを防ぐ必要がある。特に、大規模盛土造成地については、変動予測調査を実施し、危険箇所の滑動崩落防止工事を進めていくことが重要である。 宅地造成工事規制区域内の土地において、i)高さ1mを超える崖を生じる盛り土、ii)高さ2mを超える崖を生じる切り土、iii)盛り土と切り土をあわせて高さ2mを超える崖を生じる造成工事、iv)面積500平方メートルを超える盛り土・切り土を同時にする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受ける必要がある(宅地造成等規制法第12条1項・同施行令5条)。ただし、都市計画法による開発許可を受けて工事する場合は、改めて宅地造成等規制法の許可を得る必要はない。