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金物
読み:かなもの
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建築材の接合部を結合し、補強するために取り付ける部品(その多くが金属製である)を総称して「金物」という。

金物には、くぎ、ボルト、短ざく、かね折り、プレート、アンカーボルトホールダウン金物などの多様な種類がある。

特に在来工法木造建築物では、建築物の安全性・耐震性を確保するために、「筋かいプレート」などの多種多様な金物の使用が必要不可欠である。

このため、国土交通省・農林水産省が設立する「財団法人日本住宅・木材技術センター」では、在来工法の木造建築物で使用する金物について、次のような厳格な認定制度を実施している。

1.Zマーク承認制度
(公財)日本住宅・木材技術センターが開発した規格に基づく高品質な金物を製造する業者に「Zマーク(ゼットマーク)」の使用を承認する。

2.Zマーク同等認定制度
金物製造業者が開発した金物について、(公財)日本住宅・木材技術センターが同等認定試験を行ない、これに合格した高品質な金物について金物製造業者に「Zマーク同等認定」を付与する。

1.の金物は「Zマーク表示金物」、2.の金物は「Zマーク同等認定金物」と呼ばれている。
両者をまとめて「Zマーク金物」と呼ぶ。

なお、阪神・淡路大震災の教訓に基づき、建設省(現国土交通省)では平成12年に建築基準法を改正して、金物について厳しい基準を設けた。

この基準を定める「建設省告示第1460号」(2000(平成12)年6月1日施行)は、筋かいの端部の接合部などにおいては、事実上Zマーク表示金物またはZマーク同等認定金物(またはそれと同等以上の性能を有する金物)の使用を義務付けるような内容となっている。

本文のリンク用語の解説

アンカーボルト

布基礎にあらかじめ埋め込んでおく棒状の金物のこと。 布基礎と土台を緊結するための重要な金物である。

ホールダウン金物

布基礎にあらかじめ埋め込んでおく棒状の金物で、アンカーボルトよりも長い。 ホールダウン金物は、1階の床組の水平材(これを土台という)にあけておいた穴にとおして、柱の側面にボルトで締めて緊結する。つまりホールダウン金物は、柱と布基礎を緊結するものである。 特に3階建て住宅などでは、水平方向の力がかかるときに柱が土台から浮き上がることがあるが、ホールダウン金物はこの浮き上がりを防止する効果がある。

在来工法

木造建築物の工法の一つ。 「在来工法」とは、「伝統工法」を母胎としながら、第二次大戦後の技術革新で新たに生まれた木造建築物の工法である。 この「在来工法」は、「木造軸組工法」「在来軸組工法」「在来木造」「木造軸組」などのさまざまな呼び方がされるが、その内容は基本的に同じである。 「在来工法」の特徴としては次のことが挙げられる。 1.鉄筋コンクリート製の「布基礎」(連続フーチング基礎)を採用し、土台と布基礎をアンカーボルトで緊結する 2.筋かいを入れて、プレート等で止めつけることにより、軸組全体を安定させる 3.壁材に構造用合板を採用する等により、壁に強度を与える 4.その他、材の接合部(仕口)に多様な金物を用いて、軸組全体を補強する これらの工夫により、構造的に強い木造建築が初めて可能となった。 ちなみに建築基準法では、木造建築物についてさまざまなルールを設けているが、これらのルールの前提として想定されているのはこの「在来工法」である。

木造

建物の主要な部分を木材とした建築構造のこと。 木造の工法は、大きく分けて「在来工法」「伝統工法」「枠組壁工法」に分類されている。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

筋かい

軸組の垂直面において、垂直材(柱)と水平材(胴差し・土台など)を対角線に沿って斜めにつなぐ材のこと。 筋かいを入れることによって、軸組が水平方向の力に対抗できるようになり、構造強度が増す。 建築基準法施行令第45条では、筋かいの基準を設けるとともに、筋かいと柱・土台等を「金物」で緊結することを義務付けている。 なお、2000(平成12)年6月1日に施行された建設省(現国土交通省)告示第1460号により、筋かい端部における仕口(筋かいと柱・土台等との接合部のこと)の接合方法が具体的に厳しく規定された。 この結果現在では、筋かい端部の接合部においては、事実上、Zマーク金物(またはそれと同等以上の性能を有する金物)の使用が義務付けられている。

Zマーク金物

金物とは、建築材の接合部を結合し、補強するために取り付ける部品である。 Zマーク金物とは、「公益財団法人日本住宅・木材技術センター」が承認または同等認定する高品質な金物のことである。 筋かいの端部の接合部などにおいては、「建設省告示第1460号」(2000(平成12)年6月1日施行)によって、Zマーク金物(またはそれと同等以上の性能を有する金物)を使用することが事実上義務付けられている(詳しくは「金物」へ)。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。 遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。 その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。