浸水の拡大を抑制する効用があると認められる区域として水防管理者が指定した地区。水防法に基づいて指定される。
浸水被害軽減地区は、洪水氾濫の際に浸水拡大を抑制する施設として活用するため、その保全を図る地区で、指定されるのは、次の両方を満たす区域である。
1)洪水浸水想定区域(想定し得る最大規模の降雨により河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域)内の区域
2)帯状の盛土構造物が存する土地の区域(たとえば輪中堤防)
浸水被害軽減地区においては、土地の掘削、盛土または切り土その他土地の形状を変更する一定の行為をしようとする者は、行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施工方法、着手予定日等を水防管理者に届け出なければならない。届出があった場合に、水防管理者は、当該浸水被害軽減地区が有する浸水の拡大を抑制する効用を保全するため必要があると認めるときは、届出をした者に対して、必要な助言又は勧告をすることができる。
また、浸水被害軽減地区における行為の制限は、宅地建物取引業法における重要説明事項の対象である。
本文のリンク用語の解説
盛り土
傾斜のある土地を平らな土地にするために、土砂を盛ること。宅地造成のための工法として広く使われている。これに対し、土砂を切り取ることを「切り土」という。 盛り土は、土砂を積み上げただけでは、地盤沈下、地震時の滑動崩落(地滑り的変動)や液状化、大雨による崩落や土砂流出などが起きやすい。転圧や地盤改良工事によって、これらを防ぐ必要がある。特に、大規模盛土造成地については、変動予測調査を実施し、危険箇所の滑動崩落防止工事を進めていくことが重要である。 宅地造成工事規制区域内の土地において、i)高さ1mを超える崖を生じる盛り土、ii)高さ2mを超える崖を生じる切り土、iii)盛り土と切り土をあわせて高さ2mを超える崖を生じる造成工事、iv)面積500平方メートルを超える盛り土・切り土を同時にする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受ける必要がある(宅地造成等規制法第12条1項・同施行令5条)。ただし、都市計画法による開発許可を受けて工事する場合は、改めて宅地造成等規制法の許可を得る必要はない。
切り土
傾斜のある土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。 宅地造成工事規制区域の中にある宅地において、高さが2mを超える崖を生じるような切り土をする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受けることが必要である(宅地造成等規制法第12条1項)。
宅地建物取引業法
宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。
この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。