新たに計画的に建設された大規模な市街地。周囲から独立したかたちのものが多い。都市計画に基づき、新住宅市街地開発事業、土地区画整理事業などによって形成される。英語でNew town。
ニュータウンの最初の考え方は、E. ハワード(Ebenezer Howard、英国人)が1898年に『明日の田園都市』(初版の題名は『明日-真の改革にいたる平和な道』)で主張したもので、① 周囲を田園に囲まれた適正規模の市街地を新たに計画的に建設する、② 都市と農村の魅力を兼ね備えた職住近接の生活を可能とする、③ 土地所有を一元化して自立した都市経営を確保することによって、居住環境の悪化や貧困に直面していた当時のロンドンの都市問題を解決できるとする提案である。この考え方が受け入れられ、イギリスだけでなく世界各地でニュータウンの建設が進められた。
もっとも、実現したニュータウンの多くは、ハワードの提案のうち①を採用したもので、住宅供給を主目的としたもの(②を満たさない)が多いほか、③を取り入れたものは数少ない。
日本のニュータウンとしては、千里ニュータウン、多摩ニュータウン、筑波研究学園都市などがある。また、地域振興のために地方都市でもニュータウンが建設されている。
本文のリンク用語の解説
都市計画
土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。
1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)
注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。
新住宅市街地開発事業
都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、住宅に対する需要が著しく多い地域において良好な住宅市街地の開発を目的として実施される事業をいう。 宅地の造成、公共施設の整備、造成された宅地の処分などによって、住区(住宅市街地の単位で、1ha当たり80人から300人を基準として6,000人から1万人が居住することができる地区)を形成することにより、住宅地を供給する役割を担う。 事業手法は、事業区域の土地を全面的に買収し(最終的には収用できる)、造成した宅地を住宅の需要者に売却する方法であるが、売却する際に、原則として譲受人を公募すべきこと、譲受人に住宅の建築義務を課すこと、義務違反等の場合の買い戻し特約を付すことなどが必要とされていることが特徴である。 これは、最終的には収用することになる土地を別の私人に譲り渡すことになるため、宅地処分の公共性を確保する必要があるとされる。 大都市圏の近郊に大規模な住宅市街地を建設するために活用され、多摩ニュータウン、千葉ニュータウンなどはこの事業によって建設された。 なお、事業の仕組みは「新住宅市街地開発法」に規定されている。
土地区画整理事業
市街地を面的に整備するために、土地の区画形質の変更や公共施設の整備を行なう事業の一つで、土地区画整理法に従って実施されるものをいう。 この事業の実施によって、例えば、不整形な土地や袋地が解消され、道路や公園が整備されることとなる。 土地区画整理事業の特徴は、
1.権利変換による土地の交換・分合(換地)という手法を採用すること 2.新たに必要となる公共用地を土地所有者が平等に提供するという仕組み(減歩)によって生み出すこと
である。
また、事業によって宅地の評価が増価するが、その一部を事業に充てるという受益者負担の考え方が取り入れられていることも大きな特徴である。 日本においては、農地から市街地への土地利用の計画的な転換、大震災後の市街地復興、街路網の整備などの手法として多用されてきた。