隣地の所有する土地を利用するために、一定範囲で隣地を使用できるとするルール。民法の相隣関係の一つとして認められている権利で、「隣地使用権」という。
隣地の使用ができるのは、土地境界またはその付近において、i)障壁・建物等を築造・収去・修繕するため、ii)境界標の調査・境界に関する測量のため、iii)越境した枝の切取りのために必要な場合である。使用は、原則としてあらかじめ目的、日時、場所及び方法を通知して行ない、また、承諾がなければ隣人の住家に立ち入ることはできない。
なお、隣地の使用によって損害を受けたときには、隣人は賠償請求できる。
また、民法の改正(2023年4月1日施行)によって、隣地等におけるライフラインの設備設置権が明文化された。
本文のリンク用語の解説
ライフライン
都市機能を維持し日常生活を営むために必須の設備をいう。
電気・ガス・水道等、通信設備、人の移動・物流手段などがこれに当たる。大きな自然災害が発生した場合に、被災者の生活を支えるために最優先で確保すべき設備であるとされ、阪神・淡路大震災以降、よく使用されるようになった言葉である。
ライフラインの設備設置権
電気、ガス、水道水等(ライフライン)の継続的給付を受けるため、他の土地にそのための設備を設置する権利。民法の相隣関係規定の類推によって認められている権利であるが、民法の改正によって明文化された(2023年4月1日施行)。
ライフラインの設備を設置できるのは、合理的に必要な範囲であって、他の土地の損害が最も少ない場所・方法によらなければならない。また、設置によって他の土地に損害が生じたときは、償金を支払わなければならない。
なお、ライフラインの継続的給付を受けるために他人が所有する設備を使用する必要がある場合については、「設備使用権」が認められている。