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GNSS測量
読み:じーえぬえすえすそくりょう
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人工衛星からの信号を用いて位置を決定する衛星測位システムを利用した測量をいう。GNSSは、英語のGlobal Navigation Satellite Systemsの略語で、和訳は「全地球衛星測位システム」である。

衛星測位システムは、人工衛星からの電波を専用アンテナで受信することによって高精度な経度緯度や座標を求めることのできるしくみであるが、複数の方式がある。日本の基準点測量では、測量法に基づく作業規定の準則において、GPS、準天頂衛星システムおよびGLONASSを採用することとされ、「GNSS測量」と総称している。

本文のリンク用語の解説

GPS

Global Positioning Systemの頭文字を取ったもの。「地球測位システム」と訳される。 人工衛星から電波を発信し、電波を発信した時刻とその電波を受信した時刻との差を計算することによって、受信者と人工衛星との距離を割り出し、さらに複数の人工衛星について同様に距離を割り出すことにより、受信者の現在位置を知ることができるという位置測定技術。もともとは冷戦時代に米国国防総省が開発した軍事技術である。そのため民生用に使用されている人工衛星の電波は精度が低く、位置測定において最大100mの誤差が生じるといわれている。 こうしたGPSの精度の問題点を克服するため、1997年12月にわが国の科学技術庁(現・文部科学省)航空科学研究所では「リアルタイム・キネマティック」方式という新しいGPS技術を開発した。この方式は頭文字を取って、RTK-GPSとも呼ばれている。 RTK-GPSでは、あらかじめ位置が正確にわかっている位置基準点と、移動可能な受信機が、ともにGPS衛星からの電波を受信する。それと同時に、位置基準点から受信機へと無線により補正用のデータが送信される。こうして、受信機側では位置のずれを自動的に修正し、受信機の正確な位置を高精度で測定することができる。その誤差はわずか数cmで、精度は通常のGPSのおよそ1,000倍に達する。 そのため、土木・建築の測量においても、RTK-GPS受信機を使用することにより、カーナビのような感覚での精密測量が可能となる。また、RTK-GPSはリアルタイムで高精度の位置情報が得られることから、高度道路交通システム(ITS)への応用が期待されている。 こうしたRTK-GPSを活用するには、RTK-GPS用の受信機が普及すると同時に、あらかじめ位置が正確に分かっている位置基準点が多数整備されることが必要である。この点について、国土交通省国土地理院は2002年度から3年計画で、RTK-GPSに対応する「電子基準点」の整備を進めている。電子基準点は高さ約5mのステンレス製の塔で、アンテナ、受信機および通信用機器で構成される。電子基準点の位置は毎日精密に測定され、地殻変動によるずれが補正されている。このような電子基準点の位置情報をリアルタイムで提供するサービス(「GPS民間活用基盤」という)も、一部地域ですでに稼動している。 こうしたRTK-GPSの実用化に伴って、95年から各省庁が連携して検討を進めてきたGIS(Geographic Information Systems:地理情報システム)の推進にも拍車がかかるものと予想される。 GISでは「世界測地系」に準拠した地図情報の集積が必要となるが、RTK-GPSは「世界測地系」に準拠したデータシステムである。しかも、RTK-GPSでは前述のように高精度の測量が可能となるので、これまで困難とされてきた各種の地図情報を統合するデータベースの構築が進展するものと期待されている。