不動産投資ファンドの運用実績を示す指数で、(一社)不動産証券化協会が公表しているもの。ARES Japan Fund Indexの略(ARESは、Association for Real Estate Securitizationの略称)。
不動産インデックスは、一般的には実物不動産の平均的な価格動向を示す指数であるが、AJFIは不動産投資ファンドの平均的な収益動向を示す指数で、ファンドの運用成績を表している。
AJFIの算定は、主に賃貸収益を目的に運用される不動産投資ファンド(コア型不動産ファンドという)の当期利益(インカムゲイン)と、そのファンドが投資した不動産の純資産額の増減(キャピタルゲイン)とを加重平均する方法で行なわれ、2001年12月31日を1,000とする指数のかたちで月次に公表される。この場合、インカムゲインにはファンドが投資のために借り入れた資金の割合やコストなどが反映されているので、実物不動産の収益とは異なる動きを示す。
なお、算定の対象となるファンドは、JREITと私募ファンド(私募REITを含む)である。
本文のリンク用語の解説
不動産
不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
インカムゲイン
資産の保有によって得る利益。英語のincome gain。不動産の賃料、株式の配当、預金の利子などがこれに該当する。
不動産のインカムゲインは、賃料収入から保有・管理費用を減じた価額である。
インカムゲインに対して、資産価額の変動によって得る利益を「キャピタルゲイン」と言い、例えば、不動産の売却益がこれに該当する。
投資
金銭を金融商品等に変換し、あるいは事業に充当して利益を得る行為。株式、債券、不動産などを取得して配当等を受け取る方法、それらを売買して差額を得る方法、事業に出資する方法などがある。
例えば、「株式投資」または「不動産投資」は株式または不動産を金銭運用の対象とする投資、「投資信託」は投資利益を証券化した金融商品で信託のしくみを使うもの、「投資ファンド」は共同で投資するために集めた資金のことである。
投資は、費用とリスクを伴う。不動産投資を例にすれば、取引に伴って税(取引の内容に応じて、不動産取得税、印紙税、譲渡所得税、固定資産税など)や手数料を負担する必要があるほか、不動産価格の変動などによって賃貸料の減少や売却損が生じる恐れがある。
なお、経済学でも「投資」という用語を使うが、その意味は、一般的な意味とはまったく違うので注意が必要である。経済学でいう「投資」は、「消費」と対比した用語で、一定期間における実物資産の増加分(使われないで次の期に積み上がる資産)をいう。この場合、「投資」は事後的に「貯蓄」と等しくなる。
キャピタルゲイン(Capital Gain)
資産の価格変動に伴って得る利益をいう。
株式や不動産などの売買差益はこれに当たる。 資産から得られる利益の種類で、その保有により得る利益をインカムゲイン、その価格変動に伴って得る利益をキャピタルゲイン(損失はキャピタルロス)という。株式の配当、不動産の賃料、預金の利子などはインカムゲイン、株式や不動産などの売買差益はキャピタルゲイン(譲渡益、資本利得ともいう)である。 両者は税務上の取扱いなどが異なるため、投資に当たっても両者の性格の違いを十分に認識しておくことが重要である。 もっとも、両者は無関係ではなく、資産の価格はそれから得ることのできる利益を現在価格に還元したものの総額に等しいとされているため、例えばインカムゲインが増大すれば資産価格が上昇して、キャピタルゲインを得る機会となる。ただし、資産価格は期待や予想に左右されやすいことに注意が必要である。
JREIT
不動産投資信託のことで、アメリカのREIT(Real Estate Investment Trust)の日本版であることから、JREITと呼ばれる。
不動産を買収、賃貸して収益を得る専門の会社(投資法人)または同様の機能を担う信託会社が証券を発行し、金融商品として取引される。その発行主体がJREITであり、それぞれが運用する不動産の種類やその構成は異なる。証券は発行主体ごとに流通するが、証券取引所に上場されているものも多い。需給に応じて、その取引価格も日々変動する。
株式会社の利益の源泉は事業による収益であるが、JREITの利益は、不動産の賃貸や売買による収益から得られる。その収益は、課税されることなくほぼそのまま投資家に分配されることが特徴である。株式投資とJREIT投資とを比較すれば、株式会社、株券、株価、配当金に当たるのが、それぞれ、投資法人(または信託)、投資証券、投資口価格、分配金と考えてよい。
不動産の証券化の手法として中心的な役割を果たしており、2001(平成12)年9月に初めて上場されたがその後急速に拡大し、金融市場において一角を占めるに至っている。
私募ファンド
投資家から資金を募って運用する事業のなかで、資金を募る対象者が狭く限定されているものをいう。
また「プライベートファンド」ということもある。通常、募集対象が50人未満のものを指すが、特に対象を適格機関投資家に限った「プロ私募」による事業も私募ファンドの一つである。また、募集対象者を選別するような私募ファンドもある。
一般的に、ハイリスク・ハイリターンの運用をめざすことが多く、通常、不動産投資が組み込まれる。オポチュニティファンドと似た性格を帯び、運用者の裁量の範囲が大きい。