高齢者を地域単位で包括的に支援する仕組みをいう。要介護状態等になっても可能な限り住み慣れた地域や自宅で生活し続けるように、おおむね30分以内に駆けつけられる圏域で、個々人のニーズに応じて、医療・介護等のさまざまなサービスが適切に提供できるように地域の体制を構築するというものである。
提供が必要なサービスとして、介護保険サービス(介護予防、訪問介護など)のほか、高齢者向け住宅、生活支援(見守り、配食、送迎など)、医療系サービス(在宅診療、訪問看護など)、福祉・権利擁護サービス(法的後見、生活保護など)がある。これらを日常生活圏内でニーズに即して複合的に供給しなければならないが、コミュニティビジネスによってこれを担うなど、住宅居住と結びついたケアサービスの拡大・充実が必要だと考えられている。
本文のリンク用語の解説
介護保険
介護サービスを提供する保険制度をいう。
2000年4月に公的な制度として導入された。
介護保険への加入は強制的であり、満40歳以上の者が被保険者となる。介護サービスを受けるには、
1.介護を要する状態であることの保険者(市町村等)による認定(要介護認定)
2.要支援・要介護の程度に応じた、ケア・マネージャーによる介護サービスのコーディネート(ケアプランの作成)
3.介護施設(介護サービス事業者)によるサービスの提供
という手順を踏まなければならない。また、介護サービスに要する費用の1割は自己負担となる(施設利用に伴う食費・居住費は別途負担)。
自己負担以外の介護保険制度を運営するための費用は、政府と被保険者が折半で負担する。被保険者が負担する保険料は、地域、所得等によって異なる他、財政の均衡を保つべく3年ごとに見直される。
提供される介護サービスの内容は、大きく介護給付と予防給付に分かれ、次のようなサービスで構成されている。
1)介護給付
・施設サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)
・居宅サービス(訪問介護、訪問看護、短期入所サービスなど)
・地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護など)
2)予防給付
・介護予防サービス(介護予防通所介護、介護予防通所リハビリなど)
・地域密着型介護予防サービス
介護予防
介護が必要な状態の発生を防止・遅延することや、要介護状態の悪化を防止・軽減することをいう。 介護予防のためには、運動機能や栄養状態を改善するだけでなく、個々人の生活機能(活動レベル)や参加(役割レベル)を充実することも必要である。そしてこれによって生活の質を維持し、向上することとなる。 住宅は、地域活動とともに介護予防の場としての役割を担うと考えてよい。
訪問介護
日常生活を支援するサービスで、自宅等の住み慣れたところで自立して生活する人に対して提供されるものをいう。狭義には、介護保険によって訪問介護員(ホームヘルパー)が提供するサービスをいう。住生活サービスのひとつと考えてよい。 訪問介護は、ア)入浴、排泄、外出介助などの身体介護サービス、イ)洗濯、掃除、調理、買い物などの生活援助サービスに大別できる。