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新都市基盤整備事業
読み:しんとしきばんせいびじぎょう
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都市計画に定める市街地整備事業の一つで、大都市圏の周辺に新都市を建設することを目的に実施される事業をいう。

都市の基盤となる根幹公共施設用地、開発を誘導する地区用地などを整備し、1ha当たり100人から300人を基準として5万人以上が居住できる規模の新都市の基盤を形成する役割を担う。
その背景には、大都市圏へ著しく人口が集中することに対応する必要があったとされている。

事業手法の特徴は、まず対象区域の一定割合を買収した上で、土地区画整理事業と同様の換地を行なって、根幹公共施設用地や開発を誘導する地区用地を確保・整備することである。
この場合、地権者は、所有地の一定割合を売却した上で(最終的には収用されることとなる)、残りの土地に相応する整備され土地が与えられる。つまり、土地買収と土地区画整理の手法を組み合わせる方法が用いられる。

実際に施行された事業は、一つもない。

本文のリンク用語の解説

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。 具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。 1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2) 2.都市再開発方針等(同法第7条の2) 3.区域区分(同法第7条) 4.地域地区(同法第8条) 5.促進区域(同法第10条の2) 6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3) 7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4) 8.都市施設(同法第11条) 9.市街地開発事業(同法第12条) 10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2) 11.地区計画等(同法第12条の4) 注: ・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。 ・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。 ・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

市街地開発事業

市街地を開発または整備する事業のこと。 具体的には、都市計画法第12条に掲げられた次の6種類の事業を「市街地開発事業」と呼ぶ。 1.都市再開発法 による「市街地再開発事業」 2.大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法による「住宅街区整備事業」 3.土地区画整理法による「土地区画整理事業」 4.新住宅市街地開発法による「新住宅市街地開発事業」 5.首都圏の近郊整備地帯および都市開発区域の整備に関する法律による「工業団地造成事業」または近畿圏の近郊整備区域および都市開発区域の整備及び開発に関する法律による「工業団地造成事業」 6.新都市基盤整備法 による「新都市基盤整備事業」 1)市街地開発事業の決定主体 市街地開発事業は、市街地を開発・整備する事業であり、原則として都道府県知事が主体となって都市計画として決定する(ただし比較的小規模な「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」「土地区画整理事業」については市町村が決定する(都市計画法施行令第10条)。 2)市街地開発事業を定めることができる土地 市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)においてのみ定めることができる(都市計画法第13条第1項第13号)。 3)建築等の制限 市街地開発事業が都市計画として決定されると、その市街地開発事業が実行される土地(これを「市街地開発事業の施行区域」という)では、その事業の妨げになるような建築物の建築等が厳しく制限される(詳しくは市街地開発事業の施行区域内の制限へ)。 4)施行予定者を定めたとき 上記4.5.6.の市街地開発事業については、都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第12条第5項)。 「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。 また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第12条第6項)。

土地区画整理事業

市街地を面的に整備するために、土地の区画形質の変更や公共施設の整備を行なう事業の一つで、土地区画整理法に従って実施されるものをいう。 この事業の実施によって、例えば、不整形な土地や袋地が解消され、道路や公園が整備されることとなる。 土地区画整理事業の特徴は、 1.権利変換による土地の交換・分合(換地)という手法を採用すること 2.新たに必要となる公共用地を土地所有者が平等に提供するという仕組み(減歩)によって生み出すこと である。 また、事業によって宅地の評価が増価するが、その一部を事業に充てるという受益者負担の考え方が取り入れられていることも大きな特徴である。 日本においては、農地から市街地への土地利用の計画的な転換、大震災後の市街地復興、街路網の整備などの手法として多用されてきた。

換地

土地区画整理事業によって行なう土地の所有権の変更をいう。 土地区画整理事業においては、土地の区画についてその位置等を変更する必要があるが、そのために行なわれる、区画を変更する前の宅地(従前の宅地)から区画を変更した後の宅地(新しい宅地)への土地の所有権の変更手続が「換地」である。 宅地所有者から見れば、いったん従来の宅地を失い、それと同時に新しい宅地を与えられるということである。また、こうして宅地所有者に与えられる新しい宅地そのものを「換地」と呼ぶこともある。