売買の仲介人をいう。
一般に、株式や不動産の取引を仲介する者をさす。
仲介とは、取引当事者の間に立って、両当事者の取引について、その成立のために斡旋・助言等の活動をすることであり、自らが取引当事者の立場に立つことはない。いったん物件を買って他者に転売する活動(自己売買)をする者は、「ディーラー(Dealer)」と呼ばれて区別される。
仲介人が、その仲介活動の過程で取引当事者になる(自分が買主または売主になる)ことは、取引の公正を阻害する恐れがあり、金融商品取引法はそのような行為を禁止している(向かい呑みの禁止)。不動産取引については、法令の明文で禁止されているわけではないが、信義則(信義誠実の原則)に照らせば同様に避けるべき行為である。
本文のリンク用語の解説
不動産
不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
仲介
不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つ。
「媒介」と同意。
売主
不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。 また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。 この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。
金融商品取引法
有価証券をはじめとする広範な金融商品の取引等について包括的なルールを定めた法律で、証券取引法を全面的に改正するなどにより、2007(平成19)年9月に施行された。
この法律の目的は、金融商品に関する公正な取引、円滑な流通、公正な価格形成等を確保することである。そのために、企業内容等の開示制度、金融商品取引業者等に対する業務規制、金融取引所の開設・運営についての規制などを規定している。
その特徴は、
1.幅広い金融商品の取引業務を投資サービスとして捉え、そのような行為に対して横断的にルールを適用すること
2.投資家の保護と投資市場の自由な発達との均衡を図るため、プロの投資家への法の適用の特例を定めるなど、制度的な工夫がなされていること
3.規制の枠組みを、公正な価格形成などの市場機能に着目して構成していること
である。
この法律は、不動産の証券化した商品の発行や取引についてだけでなく、不動産の流動化によって生み出されたすべての金融商品の取引等に対しても適用される。ただし、不動産特定共同事業法の対象となる商品(不動産特定共同化事業契約に基づく権利の証券化商品)については、同法の特例事業(倒産隔離されたSPC方式の事業)の出資持分以外は、保険契約、共済契約等に基づく権利の証券化商品と同様に、金融商品取引法の適用対象から除外されている。
なお、金融商品取引法が定める損失補塡等の禁止及び適合性の原則の規定については、不動産特定共同事業法の対象となる商品についても準用によって適用される。
信義則(信義誠実の原則)
権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行なわなければならないとする原則をいう。
この原則は、契約の趣旨を解釈する基準にもなるとされ、当事者相互が、相手方が持つであろう正当な期待に沿うように行動することを要請しているのである。
どのような場合に信義誠実の原則を適用するかは、具体的な事情に応じて決定するほかない。例えば、不動産仲介業会社は、直接の委託関係はなくとも、業者の介入に信頼して取引を成すに至った第三者一般に対しても信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務があるとする判例もある。判断に当たって、置かれた立場や社会的な信頼などが考慮されるということである。
なお、民事訴訟法は、当事者の訴訟行為について信義誠実義務を課しているが、これは一般的な信義誠実の原則とは別のより厳密な義務であると考えてよい。