家屋に対してバリアフリー改修工事を行なった場合に課税を軽減する特例。特例は、所得税および固定資産税について適用される。
1 所得税の特例
自己が居住している家屋(貸家住宅を除く)に対して、
1)50才以上の者、要介護の認定を受けているなど一定の者が、2)通路の拡幅、手すりの取付け、段差の解消などの一定のバリアフリー改修工事を行なった場合(工事費50万円超に限る)には、そのための借入金残高の一定割合(バリアフリー改修工事費については2%、合わせて行なったそれ以外の部分の改修費については1%、それぞれ限度額あり)について、5年間にわたって税額が控除される。
この制度は、一般の住宅リフォーム減税との間で選択的に適用される。
さらにバリアフリー改修工事に要した費用の10%を工事実施年度の所得税額から控除するという特別措置が適用されている(居住年に応じて工事額および控除額に限度がある)。
2 固定資産税の特例
所得税の特例の場合と同様の者が、同様のバリアフリー改修工事を行なった場合に、その家屋(貸家住宅を除く)に対する翌年度の固定資産税額(100平方メートル相当分までに限る)を、3分の1減額する。
対象となる家屋は、床面積が280平方メートル以下、築後10年以上経過した住宅である。
ただし、これらの特例の適用については期限が定められているので、具体的な期限について確認が必要である。
本文のリンク用語の解説
バリアフリー
高齢者や身体障害者など、体の不自由な人々の行動を妨げる物的・心理的障害を取り除くという意味。
バリアフリーデザインはその障害となる物を除去し、生活しやすいよう設計されたものである。段差をできる限りつくらずにスロープ等を用いることも一つの手法である。
固定資産税
毎年1月1日現在において、土地・家屋等を所有している者に対し、市町村が課税する地方税のこと。 不動産の所在地の市町村が課税の主体となるので、実際の徴収事務は市町村の税務担当部署が行なう。 固定資産税の納付方法については、年度初めに市町村から土地・家屋の所有者に対して、固定資産税の「納税通知書」が送付されてくるので、それに従って年度内に通常4回に分割して納付することとされている(ただし1年分をまとめて先に支払うことも可能である)。 固定資産税の税額は原則的に「固定資産税課税標準額の1.4%」とされている。 ただし、一定の新築住宅については固定資産税額の軽減措置が実施されている。また、住宅用地については固定資産税課税標準額そのものが6分の1または3分の1に圧縮されている。 固定資産税は毎年1月1日において、固定資産課台帳に所有者として登録されている者に課税される。 従って、年の途中で不動産の売買が行なわれて、所有者が変わった場合であっても、納税義務者は元の所有者となる。こうした場合には不動産売買契約書において、その年度分の固定資産税額の一部を新所有者が負担するという特約を設けることが多い。
住宅リフォーム減税
特定の目的で住宅の改修をした場合に、課税が軽減される制度をいう。 減税の対象となるのは、省エネ・バリアフリー・耐震の各目的で行なった住宅改修工事であり、減税の方法としては、
1.工事費の一定割合を所得税額から控除する方法 2.工事のための借入金残高の一定割合を所得税額から控除する方法(ローン控除、省エネ・バリアフリー、三世代同居、長期優良住宅化についてのみ適用)
がある。また、改修後の住宅に課する固定資産税が一定期間減額される。 それぞれについて、減税対象となる工事の内容、控除額の算定方法や上限、適用期間などが定められている。詳細は、「省エネ改修促進税制(住宅の~)」「バリアフリー改修促進税制(住宅の~)」「耐震改修促進税制(住宅の~)」を参照。 なお、一般の住宅ローン減税においても、一定の改修工事費がその対象とされている。この場合には、改修目的は限定されないが、居住を目的とした住宅リフォームであること、リフォーム後の床面積が50平方メートル以上(合計所得金額が1,000万円以下で2024(令和6)年までに建築確認:40平方メートル)であることなどの要件を満たさなければならない。
床面積
建築物の各階において、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積をいう(建築基準法施行令第2条1項3号)。 なお具体的な床面積の判定の方法については、建設省(現国土交通省)が、通達(昭和61年4月30日付建設省住指発第115号)によって詳しい基準を設けている。