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保証人
読み:ほしょうにん
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債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者をいう。保証人は、法的な行為能力があり、かつ、弁済する資力がなければならない。

債権の回収を確実にするための方法は、財産への請求権を確保する方法(物的担保)と、債務者以外の人への請求権を確保する方法(人的担保)があり、保証人は人的担保のしくみである。

保証人の責任は、保証人が債権者と書面で保証契約を結ぶことによって効力が生じる。保証契約によって負担する債務が「保証債務」である。

保証する債務は、特約のない限り、主たる債務(債務者が元々負っていた債務)のほか、利息、違約金損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含するとされている。例えば、借家人の保証人は、借家人が滞納した家賃だけでなく、明渡しに際しての原状回復などについても責任を負うことになる。

人的担保は、保証人に予期しない負担を負わせ、大きな被害を与える可能性がある。そこで、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって、保証人の保護を強化するべく、次の規定が定められた。
1)個人の保証人については、保証契約時に債務額が確定しない保証(信用保証、身元保証、賃貸借上げ保証など)の場合にはその限度額を定めなければならず、その額を限度に履行責任を負うこと(限度額を定めなければ保証契約は無効となる)
2)事業用の融資に係る経営者以外の保証人については、公証人による意思確認手続が必要であること
3)保証人に対し、主たる債務者の財産等の状況(事業用の融資に係る場合)、主たる債務の履行状況及び期限の利益の喪失に関する情報を提供すべきこと

本文のリンク用語の解説

債務

私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。 債務を負っているのが債務者である。

行為能力

自分が行なった法律行為の効果を確定的に自分に帰属させる能力のこと。 法律行為を有効に行なうには意思能力を持つことが必要とされているが、実際の契約等において意思能力を持たない者(=意思無能力者)が、契約当時に意思能力を欠いていたことを事後的に証明することは非常に困難である。 そこで民法では、正常かつ完成された精神能力を持たない者を画一的に「行為能力が制限された者」(=制限能力者(制限行為能力者))として取り扱い、こうした者を保護している。 このような制限能力者(制限行為能力者)には、法定代理人または成年後見人・保佐人・補助人が選任されている。制限能力者(制限行為能力者)が、これらの法定代理人等の同意を得ないで単独で行なった法律行為は原則として事後的に取消しが可能である。 このように法定代理人等に同意権を与えることにより、制限能力者(制限行為能力者)が不適切な法律行為により不利益を被ることがないよう監視しているのである。 制限能力者(制限行為能力者)とされているのは、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人である。

債権

私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。 財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。

保証債務

主たる債務者の債務を、別の者が保証したとき、この保証人の債務を「保証債務」という。 例えばAがBから借金をし、Aの友人であるCがその借金の保証人になったとしよう。このときAは主債務者、Bは債権者、Cは保証人、AB間の債務は「主債務(しゅさいむ)」、BC間の債務は「保証債務」と呼ばれる。 保証債務とは、正確には「主債務者Aが債務を履行しない場合に、保証人CがAの代わりに債務を履行するという保証人Cの債務」である(民法446条)。従って保証人Cは、主債務者Aが借金を返済しない場合にのみ借金返済の義務を負うことになる。 つまり、債務履行の責任はまず主債務者にあり、保証人は補充的に債務を履行するだけである。このような保証債務の性質を「補充性」と呼んでいる(ただし連帯保証には補充性がない)。保証債務の主な特徴は次のとおりである。 1.附従性にもとづく抗弁権 保証債務は主債務を保証するものであるので、主債務自体が消滅すれば、保証債務もまた消滅する。このように主債務と保証債務が連動することを「附従性(ふじゅうせい)」という(民法第448条)。 こうした保証債務の附従性により、保証人は主債務の消滅などの理由を債権者に主張することができる。例えば、主債務者Aの主債務が当初1,000万円であったが、主債務者が200万円を弁済したことにより主債務が800万円にまで縮減したとする。このとき、債権者Bが保証人Cに対して1,000万円を返済するように請求したとしても、保証人Cは債務が800万円であることを債権者Bに対して主張することができる。これを附従性にもとづく抗弁権という。 (なお債権の消滅時効と保証の関係については時効の援用、時効利益の放棄参照) 2.補充性にもとづく抗弁権 前述のように保証債務は補充性を有するので、保証人は債権者に対し、先に主債務者から弁済を受けるように主張することができる。具体的には催告の抗弁権(民法452条)、検索の抗弁権(民法第453条)が保証人に与えられている。 3.保証人の求償権 保証人は主債務者に代わって債務を弁済した場合には、その弁済した金額を保証人が主債務者に請求することができる(民法第459条)とされており、これを保証人の求償権という。 ただし、保証人が主債務者に代わって債務を弁済する際には、弁済の前と弁済の後に主債務者に通知をするべきである。これは、保証人が弁済した後で主債務者が弁済すること(二重弁済)などを避けるためである(民法第463条、第443条)。 なお、保証の特殊な形態として、保証人の責任を大幅に強化した「連帯保証」があり、実際の契約ではこの連帯保証が用いられることが多い(詳細は「連帯保証」へ)。

特約

特別の条件を伴った契約をすることをいう。 原則として契約条件の定め方は自由であるから、どのような条件が特別であるかについては判断の幅があるが、一般的な条件とは異なる利益を伴うものをさすと理解されている。 ただし、強行規定(法令によって当事者の合意如何にかかわらず適用される規定)に反する条件は当事者が合意しても無効である。

違約金

不動産の売買契約では、当事者の一方が債務を履行しない場合には、債務の履行を確保するために、その債務を履行しない当事者が他方の当事者に対して、一定額の金銭を支払わなければならないと定めることがある。 このような金銭を「違約金」と呼んでいる。 「違約金」と「損害賠償額の予定」とは、債務を履行しない当事者が支払う金銭という意味ではよく似た概念である。 しかし「違約金」は、実際に損害が発生しない場合でも支払いの義務が生じるという点で、「損害賠償額の予定」とは大きく異なっている。 ただし実際の売買契約においては、「違約金」という言葉を「損害賠償額の予定」と同じ意味で使用していることも多い。 さらに民法(第420条)では、違約金という言葉の意味について、売買契約書でその意味を明示していない場合には、違約金は「損害賠償額の予定」の意味であるものと一応推定されると定めている。 このように「違約金」は、「損害賠償額の予定」と同じ意味であると解釈されるケースも実際には多いのである。 そのため売買契約書において本来の意味での「違約金」を定める場合には、その意味を明記しておくことが望ましいといえる。 なお、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が売主となる宅地建物の売買契約においては、「損害賠償額の予定」と「違約金」との合計額は売買代金の2割を超えてはならないと定めている(宅地建物取引業法第38条)。 これは売買取引に精通していない一般の買主が不利にならないように特に保護している強行規定である。 宅地建物取引業者同士の売買取引については、この宅地建物取引業法第38条は適用されない。

損害賠償

違法行為によって損害が生じた場合に、その損害を填補することをいう。 債務不履行や不法行為などの違法な事実があり、その事実と損害の発生とに因果関係があれば損害賠償義務を負うことになる。その損害は、財産的か精神的かを問わず、積極的(実際に発生した損害)か消極的(逸失利益など)かも問わず填補の対象となる。 ただし、その範囲は、通常生ずべき損害とされ、当事者に予見可能性がない損害は対象とはならない(相当因果関係、因果の連鎖は無限に続くため、予見可能性の範囲に留めるという趣旨)。 損害賠償は原則として金銭でなされる。また、損害を受けた者に過失があるときは賠償額は減額され(過失相殺)、損害と同時に利益もあれば賠償額から控除される(損益相殺)。 なお、同じように損害の填補であっても、適法な行為(公権力の行使)によって生じた不利益に対する填補は、「損失補償」といわれて区別される。

原状回復

ある事実がなかったとしたら本来存在したであろう状態に戻すことをいう。 例えば、契約が解除された場合には、一般に契約締結以前の状態に戻さなければならないとされる(原状回復義務を負う)。また、損害賠償の方法として、金銭で補償するのではなく損害が発生する以前の状態に戻す方法(原状回復による賠償)が認められる場合がある。 借家契約では、退去時の原状回復義務を特約していることが多いが、「本来存在したであろう状態」にまで戻せばよく、借りた当時の状態にする必要はないとされている。つまり、契約に定められた使用方法に従って通常の使用をしていれば、経年劣化があってもそのまま返還すればよい。 国土交通省が公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃借人が負担すべき原状回復費用は、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の範囲に限るとしている。また、東京都の「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例(賃貸住宅紛争防止条例、いわゆる東京ルール)」(2004年10月施行)では、重要事項説明の際に、借主に対して退去時の通常損耗等の復旧は貸主が行なうことが基本であること、入居期間中の必要な修繕は貸主が行なうことが基本であること、契約で借主の負担としている具体的な事項などを書面で説明しなければならないとしている。