日本の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(海域の景観地を含む)であって、環境大臣が区域を定めて指定したものをいう。その管理は、原則として環境大臣が担う。
国立公園の区域内で次の行為をしようとする場合には、30日以上前に環境大臣に届けなければならない。
一定規模以上の工作物の新築・改築・増築、土地の形状変更、水面の埋立等、鉱物や土石の採取、特別地域内の河川・湖沼の水位・水量の増減、広告物の設置等、一定区域での海底の形状変更
この場合、環境大臣は、風景を保護するために必要な限度において、届出のあった行為の禁止・制限、必要な措置の実施を命ずることができる。
また、環境大臣が公園の風致を維持するため国立公園区域内に指定した「特別地域」においては、次の行為について許可が必要である。
工作物の新築・改築・増築、木竹の伐採、土地の形状変更、水面の埋立等、鉱物・土石の採取、物の集積・貯蔵、河川・湖沼の水位・水量の増減、湖沼への汚水等の排出、広告物の設置等、屋根・壁面等の色彩の変更、指定地域での車馬等の乗り入れ、高山植物等の採取・損傷、植物の植栽・播種、動物の捕獲・殺傷、動物の卵の採取・損傷、動物の放出(家畜の放牧を除く)
そのほか、特別地域内に指定された「特別保護地区」、国立公園区域内に指定された「海域公園地区」においては、それぞれの景観を保全するために一定行為について環境大臣の許可が必要である。また、特別地域または海域公園地区内に指定された「利用調整地区」においては、風致または景観の維持とその適正な利用を図るため、原則として地区内への立ち入りが禁止されている。
本文のリンク用語の解説
工作物
土地に定着する人工物のすべてを指す。従って、建物だけでなく、広告塔なども「工作物」である。
工作物のうち、建築物は当然建築基準法の対象になる。 広告塔などは、本来建築基準法の対象外のはずだが、一定以上の規模のものは、建築確認の申請が必要であり、建築物と同じように扱われる。
具体的には次の工作物である(建築基準法第88条・施行令第138条)。
1.高さが2mを超える擁壁(ようへき) 2.高さが4mを超える広告塔 3.高さが6mを超える煙突 4.高さが8mを超える高架水槽 5.高さが15mを超える鉄柱 など
新築
建物を新たに建築することをいう。これに対して、従来の建物を建て直すことを「改築」という。両者を併せて「新改築」ということもある。 法令上は、一般的に、新築と改築とで取扱いが異なることはないが、新築の場合は敷地の整備を伴うことが通例であるのに対して、改築の場合は敷地整備を行わないことが多い。
なお、広告で新築と表示できるものは建築後1年未満で未入居の建物とされている。
改築
建築物の全部もしくは一部を除却すると同時に、これと同様の規模・構造の建築物を建てることをいう。
建築基準法では、改築も「建築」の一種とされており(建築基準法第2条第13号)、改築についても建築確認を申請する必要がある(建築基準法第6条)。
増築
建物の床面積を増す建築工事。一般に、1棟の建物についてその床面積を追加する工事をいうが、敷地内に別棟の建物を追加する工事も増築ということがある。
なお、建物に追加する工事は「増築」であるが、建物を建て直す工事は「改築」になる。
屋根
建物の上部に設ける覆い。屋根は、雨露、風雪、寒暑を防ぐために設けられ、建築構造の一部となる。
屋根の形には、二つの面が棟で山型に合わさる「切妻屋根」、山型の二面とその両端を斜めに切る二面で構成する「寄棟屋根」、傾斜した四つの面が頂点で合わさる「方形屋根(ほうぎょうやね)」、一つの傾斜面の「片流れ屋根」、水平面の「陸屋根(ろくやね)」、切妻屋根の両端に傾斜面を付加した「入母屋屋根(いりもややね)」などがある。
屋根材としては、粘土瓦、セメント瓦(プレスセメント瓦、コンクリート瓦)、スレート(化粧スレート、天然スレート)、金属(銅、トタン、ガルバリウム鋼板等)が用いられるほか、陸屋根の屋根材には、アスファルト、モルタル、防水シート等の防水材が使用される。また、古民家のなかには茅や藁を用いるものもある。
なお、屋根を仕上げることを「葺く」といい、屋根を「瓦葺」「スレート葺」「茅葺」などに分ける場合もある。
海域公園地区
国立公園または国定公園の中の海面・海中で指定される地区(自然公園法第22 条)。 海中公園地区では、建築物の建築、工作物の建築、宅地造成、海底の形状変更、土石採取、環境大臣が指定する熱帯魚・珊瑚等の捕獲、物の係留、広告物の掲出について、環境大臣または都道府県知事の許可が必要である。
2009年の自然公園法改正に伴い、海中公園地区から海域公園地区と改称された。
関連用語
国定公園
国立公園に準ずる優れた自然の風景地であって、環境大臣が区域を定めて指定したものをいう。その管理は、原則として都道府県知事が担う。 国定公園の区域内で次の行為をしようとする場合には、30日以上前に都道府県知事に届けなければならない。 一定規模以上の工作物の新築・改築・増築、土地の形状変更、水面の埋立等、鉱物や土石の採取、特別地域内の河川・湖沼の水位・水量の増減、広告物の設置等、一定区域での海底の形状変更 この場合、都道府県知事は、風景を保護するために必要な限度において、届出のあった行為の禁止・制限、必要な措置の実施を命ずることができる。 また、公園の風致を維持するため都道府県知事が国定公園区域内に指定した「特別地域」においては、次の行為について許可が必要である。 工作物の新築・改築・増築、木竹の伐採、土地の形状変更、水面の埋立等、鉱物・土石の採取、物の集積・貯蔵、河川・湖沼の水位・水量の増減、湖沼への汚水等の排出、広告物の設置等、屋根・壁面等の色彩の変更、指定地域での車馬等の乗り入れ、高山植物等の採取・損傷、植物の植栽・播種、動物の捕獲・殺傷、動物の卵の採取・損傷、動物の放出(家畜の放牧を除く) そのほか、特別地域内に指定された「特別保護地区」、国定公園区域内に指定された「海域公園地区」においては、それぞれの景観を保全するために一定行為について都道府県知事の許可が必要である。また、特別地域または海域公園地区内に指定された「利用調整地区」においては、風致または景観の維持とその適正な利用を図るため、原則として地区内への立ち入りが禁止されている。
都道府県立自然公園
都道府県は、傑出した自然の風景地(海中を含む)を「都道府県立自然公園」に指定することができる(自然公園法第72条)。 「都道府県立自然公園」に指定されると、建築物の建築、工作物の建築、宅地造成、海底の形状変更、土石採取、特別地区内の河川湖沼の水位・水量に影響を及ぼすような行為をする場合には、30日以上前に知事へ届出をすることが必要となる。