次のような高さの規制のことである。
1.自分の敷地の北側に隣の敷地がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、その部分から隣地境界線までの距離が長いほど高くすることができる。
2.自分の敷地の北側に道路がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、北側道路と向かいの敷地との道路境界線からその部分までの距離が長いほど高くすることができる。
北側高さ制限は住居系の4つの用途地域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域)に適用される。
北側高さ制限は建築基準法56条と同法別表第3で詳しく規定されているが、その具体的な内容は、次の1)・2)の通りである。
1)第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+5m
2)第一種中高層住居専用地域および第二種中高層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+10m
※自分の敷地の北側に道路がある場合は、上記1)・2)の「隣地境界線」を「北側道路と向かいの敷地との道路境界線」と読み替えること。
本文のリンク用語の解説
敷地
建築物のある土地のことを「敷地」という。
なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。 例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。
ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。
1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可) 2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。 3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。 4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。
建築
「建築物を新築し、増築し、改築し、または移転すること」と定義されている(建築基準法第2条第13号)。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
北側高さ制限
「北側斜線制限」を参照。
用途地域
建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。
用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率、建ぺい率などの建築規制が定められている。
・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」
・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域」
・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」
用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。
なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。
第一種低層住居専用地域
都市計画法(第9条)で「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。 この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。 また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」と言う。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。 この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。
(建築できるもの) 1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館 2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホームなど (建築できないもの) 1.大学、専修学校、病院 2.店舗 3.事務所 4.工場 5.ホテル・旅館 6.遊戯施設・風俗施設 7.自動車教習所 8.倉庫業の倉庫など
第二種低層住居専用地域
都市計画法(9条)で「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。 この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。 また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」という。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。 この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。
(建築できるもの) 1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館 2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホーム 3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店等のみ) 4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場 (建築できないもの) 1.大学、専修学校、病院 2.上記に挙げたもの以外の店舗 3.事務所 4.上記に挙げたもの以外の工場 5.ホテル・旅館 6.遊戯施設・風俗施設 7.自動車教習所 8.倉庫業の倉庫 など
第一種中高層住居専用地域
都市計画法(第9条)で「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。 この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で用途地域で指定され、容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。 この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。
(建築できるもの) 1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館 2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム 3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店、物品販売店舗、飲食店、銀行など) 4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場 など (建築できないもの) 1.上記に挙げたもの以外の店舗 2.事務所 3.上記に挙げたもの以外の工場 4.ホテル・旅館 5.遊戯施設・風俗施設 6.自動車教習所 7.倉庫業の倉庫 など
第二種中高層住居専用地域
都市計画法(第9条)で「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。 この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。 この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。
(建築できるもの) 1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館 2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム 3.店舗(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る。すべての業種が可能) 4.事務所(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る) 5.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場 (建築できないもの) 1.上記に挙げたもの以外の店舗 2.上記に挙げたもの以外の事務所 3.上記に挙げたもの以外の工場 4.ホテル・旅館 5.遊戯施設・風俗施設 6.自動車教習所 7.倉庫業の倉庫
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。