三井住友トラスト不動産

申告分離課税
読み:しんこくぶんりかぜい
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上場株式・店頭株式・上場不動産投資信託の売却益(譲渡所得)に対して、個人投資家が給与所得などのほかの所得と分離して、独自に税額を計算し、確定申告を行なって納税すること。

上場株式等の売却益は、給与所得・事業所得・不動産所得とは別に、独自の「譲渡所得」として課税される仕組みになっており、これを「分離課税」という。

分離課税の場合には、給与所得等の額にかかわらず、税率は原則20.315%(所得税および復興特別所得税(※)15.315%、住民税5%)である。また、源泉徴収口座(後述)を選択した場合以外は、必ず確定申告を行なわなければならない。

※2013(平成25)年から2037(令和19)年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を申告・納付しなければならない。

また、申告分離課税において、個人投資家が自ら確定申告を行なうという手続き負担を軽減するために「特定口座」の制度(金融商品取引業者等が年間の譲渡損益を計算する制度)が設けられている。特定口座には、証券会社が納税まで代行する「源泉徴収口座」と、証券会社が売却益の計算だけを行なう「簡易申告口座」がある。

なお、申告分離課税制度は、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、一定の先物取引による雑所得等についても適用されている。

本文のリンク用語の解説

不動産投資信託

投資信託のうち、不動産を運用の対象とするものをいう。 アメリカではREIT(Real Estate Investment Trust)、日本ではその日本版という意味でJREITと称される。 不動産投資信託は、不動産の証券化手法の一つであり、その仕組みとして、 1.資金を信託したうえでその資金を不動産投資として運用する方法(契約型) 2.投資家が特定の法人を設立して不動産投資を行なう方法(会社型) とがある。実際に日本で行なわれている不動産投資信託の大部分は会社型であり、その担い手を投資法人と呼ぶ。 投資信託によって得る利益の原資は、投資対象となる不動産の賃料等から得られる収益である。また、不動産の証券化に当たっては、倒産隔離、導管体機能などを確保することが必要となるが、投資信託は、制度的にこれらの要請を満たしている。 不動産投資信託は、日本では2000(平成12)年に解禁された。また、会社型の不動産投資信託は証券取引所に上場することができるとされ(銘柄は投資法人、上場して取引されるのは投資口である)、初めて上場したのは2001(平成13)年9月10日である。

譲渡所得

資産を譲渡したことにより得た所得をいう。 譲渡収入と資産取得や譲渡に当たって要した費用の差が譲渡所得である(課税される譲渡所得額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除)。 譲渡所得は、その他の所得と合算して課税されるのが原則であるが、土地や建物の譲渡所得については、株式等の譲渡所得と同様に、他の所得と分離して課税される。その課税に当たっては、土地や建物の保有期間に応じて、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの(長期譲渡所得)と5年以下のもの(短期譲渡所得)とに分けられ、税率などが異なる。

給与所得

給与によって得る所得をいい、所得税課税の対象となる所得の種類の一つである。給与とされるのは、俸給、給料、賃金、歳費、賞与や、これらの性質を有する給付である。 給与所得額は、原則として、給与収入額から給与所得控除額を控除した残額であり、所得税はこれに対して課税される。 つまり、原則として、 「給与所得課税額=(給与収入額−給与所得控除額)×税率」 である。 なお、給与所得額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄に記載されている。

給与所得

給与によって得る所得をいい、所得税課税の対象となる所得の種類の一つである。給与とされるのは、俸給、給料、賃金、歳費、賞与や、これらの性質を有する給付である。 給与所得額は、原則として、給与収入額から給与所得控除額を控除した残額であり、所得税はこれに対して課税される。 つまり、原則として、 「給与所得課税額=(給与収入額−給与所得控除額)×税率」 である。 なお、給与所得額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄に記載されている。

不動産所得

不動産の貸し付けなどによる不動産収入がある場合において、次の計算式で求めた金額のことを「不動産所得」と呼ぶ。 「 不動産収入-不動産所得の必要経費=不動産所得 」 このような不動産所得がある場合には、必ず確定申告を行なう必要がある。 なお不動産所得で赤字が生じた場合には、その赤字の全部または一部は、給与所得など他の黒字と相殺することができる(詳しくは「損益通算の特例」)。

分離課税

他の所得と合算しないで課税することをいう。 源泉分離課税(源泉徴収によって納税が完了)と申告分離課税(確定申告において分離して税額を計算)とがある。 所得税についてみれば、それぞれ次のような所得が分離課税の対象とされている。 1.源泉分離課税 退職所得、利子所得(総合課税の対象となるものを除く)、特定目的信託のうち社債的受益権の収益の分配に係る配当、私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当、懸賞金付預貯金等の懸賞金等、一定の金融類似商品の補てん金等、一定の割引債の償還差益 2.申告分離課税 山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等および一定の先物取引による雑所得等、上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択した場合)

特定口座

上場株式・店頭株式・上場不動産投資信託の売却益に関しては、個人投資家が確定申告を行なって納税しなければならない。そこで、個人投資家の確定申告にかかる手続負担を軽減するために設けられた制度が「特定口座」である。 1.特定口座の概要 個人投資家は、自己の取引口座のある証券会社に「特定口座開設届出書」を提出することによって、自己の取引口座を「特定口座」として指定することができる(ちなみに、特定口座に指定されていない取引口座は「一般口座」と呼ばれる)。 特定口座は、証券会社に一つだけ開設することができる。複数の証券会社に取引口座がある場合には、それぞれの証券会社でそれぞれ一つずつ開設することができる。 こうして個人投資家が特定口座を持つと、証券会社は個人投資家の上場株式・店頭株式・上場不動産投資信託の売却益(または売却損)を毎月末締めで自動的に計算する。さらに、1年間の取引結果が「年間取引報告書」にまとめられて、翌年1月末頃に個人投資家の手元に届けられることになる。 2.「特定口座(源泉徴収あり)」の特徴 このような特定口座は、所得税額・住民税額の天引きをするかどうかによって、「特定口座(源泉徴収あり)」と「特定口座(源泉徴収なし)」という2種類に分かれている。 「特定口座(源泉徴収あり)」とは、証券会社が毎月の取引から生じた売却益に係る所得税額・住民税額(現行では税率10%)を、毎月末締めで自動的に顧客口座から天引きするという方式である。ただし、ある月に売却損が生じた場合には、その売却損は翌月以降に持ちされて翌月以降の売却益と相殺される仕組みとなっている。 この月末締めで天引き(源泉徴収)された金銭は、証券会社が翌月10日までに税務署に納税する。この納税により、証券会社が個人投資家の確定申告を代行することになるので、個人投資家自身は税務署で申告手続をする手間を省くことができるというメリットがある。 個人投資家は「特定口座開設届出書」を提出する際に、「特定口座源泉徴収選択届出書」を併せて提出することによって、この方式の適用を受けることができる。 なお、個人投資家がその年において売却損を被り、「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」の適用を希望する場合には、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択している場合であっても、自分自身で確定申告をしなければならないことに注意したい。 3.「特定口座(源泉徴収なし)」の特徴 個人投資家が「特定口座(源泉徴収なし)」を選んだ場合には、上記のような天引き(源泉徴収)の仕組みが適用されないため、個人投資家は自分自身で税務署にて確定申告の手続きを行なわなければならない。 ただし「特定口座(源泉徴収なし)」では、1年間の取引結果が「年間取引報告書」にまとめられて、翌年1月末頃に個人投資家の手元に届けられるので、この「年間取引報告書」によって簡便な方法で確定申告手続を行なうことができるというメリットがある。 なお、「特定口座(源泉徴収なし)」で確定申告を行なう場合、上場株式等の売却益は「配偶者控除等を適用するための所得金額」に加算されてしまうというデメリットがある。 例えば、パート収入のある妻の給与所得が、配偶者控除を受けられる範囲内の給与所得であったとしても、その妻が株式売買で多額の利益を上げたならば、その利益が配偶者控除の適用の判定にあたっての妻の所得金額に加算される結果、配偶者控除の適用外と判定されることがある。 (これに対して、「特定口座(源泉徴収なし)」を選べば、株式売却益は「所得金額」に加算されないので上記のようなデメリットは生じない)

先物(先物取引)

将来の一定時期に現実の受渡しをする条件のもとで売買し、受渡しまでの間に反対売買(転売または買い戻し)をしたときには差金の授受で決済することができる取引が「先物取引」であり、そのような取引の対象となる商品等を「先物」という。 反意語は「現物取引」「現物」。 先物取引は、価格変動リスクを回避するためのヘッジ機能、仮需要を導入することによる価格発見機能などを担う。一方で、差金決済によって売買代金よりも非常に小額で買付けでき、あるいは現物を持たないまま売付けできるなど、投機性が強く、現物取引に比べてより大きな危険を伴う。 先物取引を行なう施設として認められているのは、法律で定められた取引所のみである。取引所で取引される先物には、商品、有価証券、通貨等のほか、その指数等およびそれらのオプションがある。 なお、土地(その指数等を含む)を対象にした先物取引や、それに類似する取引をする施設の開設は認められていない。