都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた市街地開発事業の施行区域において適用される建築制限のこと。
(市街地開発事業の「施行区域」とは、市街地開発事業が実行される予定の区域という意味であり、市街地開発事業の「地理的な範囲」を指す言葉である(都市計画法第12条第2項)。この「施行区域」において実際に工事等が開始されるのは、都市計画事業の認可を受けた日以降である)。
1. 趣旨
都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により市街地開発事業の都市計画が正式に効力を生ずると、その市街地開発事業の施行区域内では、近い将来において市街地開発事業に関する工事等が実行されることとなる。
そこで、こうした将来の事業の実行に対して障害となる恐れのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、市街地開発事業の施行区域では下記2. から6. の建築制限が適用されるのである。
(なお、都市施設の区域でも下記2. から6. と同一の建築制限が行なわれる。「都市計画施設の区域内の制限」参照)
2. 建築制限のあらまし
都市計画の告示があった日以降、市街地開発事業の施行区域において、建築物を建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。
1)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。
2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。
3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3. へ)。
4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4. へ)。
5)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記ウ)が適用されない(下記5. へ)。
6)市街地開発事業の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6. へ)。
3. 建築が許可される要件
市街地開発事業の施行区域内の建築制限は、将来の事業の実行において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。
具体的には、次の1)または2)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。
1)都市計画に適合すること(市街地開発事業に関する都市計画に適合しているような建築は排除する必要がないので、許可される)
2)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること(木造・鉄骨造等とは「木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造」を指す。すなわち移転除却が容易な構造のことである)
4. 建築許可が不要とされる要件
管理行為、軽易な行為(※)、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)。
(※軽易な行為として「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築」「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の移転」が定められている)
5. 事業予定地について
4種類の市街地開発事業の施行区域内の土地はすべて「事業予定地」と呼ばれる(都市計画法第55条第1項)(※1)。この事業予定地では、上記3. の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。
(※1 4種類の市街地開発事業とは「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」「新住宅市街地開発事業」「工業団地造成事業」)
6. 施行予定者が定められている場合について
市街地開発事業の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。
都市計画
土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。
1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)
注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。
市街地開発事業
市街地を開発または整備する事業のこと。 具体的には、都市計画法第12条に掲げられた次の6種類の事業を「市街地開発事業」と呼ぶ。
1.都市再開発法 による「市街地再開発事業」 2.大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法による「住宅街区整備事業」 3.土地区画整理法による「土地区画整理事業」 4.新住宅市街地開発法による「新住宅市街地開発事業」 5.首都圏の近郊整備地帯および都市開発区域の整備に関する法律による「工業団地造成事業」または近畿圏の近郊整備区域および都市開発区域の整備及び開発に関する法律による「工業団地造成事業」 6.新都市基盤整備法 による「新都市基盤整備事業」 1)市街地開発事業の決定主体 市街地開発事業は、市街地を開発・整備する事業であり、原則として都道府県知事が主体となって都市計画として決定する(ただし比較的小規模な「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」「土地区画整理事業」については市町村が決定する(都市計画法施行令第10条)。 2)市街地開発事業を定めることができる土地 市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)においてのみ定めることができる(都市計画法第13条第1項第13号)。 3)建築等の制限 市街地開発事業が都市計画として決定されると、その市街地開発事業が実行される土地(これを「市街地開発事業の施行区域」という)では、その事業の妨げになるような建築物の建築等が厳しく制限される(詳しくは市街地開発事業の施行区域内の制限へ)。 4)施行予定者を定めたとき 上記4.5.6.の市街地開発事業については、都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第12条第5項)。 「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。 また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第12条第6項)。
都市計画法
都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。
この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。
主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。
都市計画の告示
都市計画の効力を発生させるための告示のこと。都市計画法第20条第1項の規定に基づく告示である。「都市計画決定の告示」とも呼ばれる。
都市計画の告示は、詳細な都市計画の決定手続を経た後に最終的に告示されるものである。
都市計画の告示のあった日から、都市計画が効力を生ずることとされている(都市計画法第20条第3項)。
また、この都市計画の告示のあった日から、都市計画施設の区域内の制限、市街地開発事業の施行区域内の制限、市街地開発事業等予定区域の区域内の制限などが適用されるという効果が生ずる。
都市計画施設の区域内の制限
都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた都市施設の区域(※)において適用される建築制限のこと。 (※「都市計画で定められた都市施設の区域」は、「都市計画施設の区域」と呼ばれる(都市計画法第4条第6項)。例えば、新たに道路を作るという都市計画が告示された場合、その予定されている道路の敷地が「都市計画で定められた都市施設の区域」に該当し、「都市計画施設の区域」と呼ばれる) 1. 趣旨 都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により都市施設の都市計画が正式に効力を生ずると、その都市施設の区域内では、近い将来において都市施設を実際に整備する工事等が実行されることとなる。 そこで、こうした将来の整備事業の実行に対して障害となる恐れのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、都市施設の区域では下記2. から6. の建築制限が適用されるのである。 (なお、市街地開発事業の区域でも下記2. から6. と同一の建築制限が行なわれる。「市街地開発事業の施行区域内の制限」参照) 2. 建築制限のあらまし 都市計画の告示があった日以降、都市計画で定められた都市施設の区域において、建築物を建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。 1)建築物の建築には許可が必要。ここでいう建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。 2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。 3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3. へ)。 4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4. へ)。 5)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記3)が適用されない(下記5. へ) 6)都市施設の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6. へ) 3. 建築が許可される要件 都市計画で定められた都市施設の区域で適用される建築制限は、将来の都市施設の整備の事業において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。具体的には、次の1)または2)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。 1)都市計画に適合すること(都市施設に関する都市計画に適合しているような建築は排除する必要がないので、許可される) 2)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること(木造・鉄骨造等とは「木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造」を指す。すなわち移転除却が容易な構造のこと) 4. 建築許可が不要とされる要件 管理行為、軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)(軽易な行為として、「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築」「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の移転」が定められている(都市計画法施行令第37条))。 5. 事業予定地について 都市施設の区域内において、知事(指定都市等では市長)が指定した土地を「事業予定地」という(都市計画法第55条第1項)。この事業予定地では、上記3. の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。 6. 施行予定者が定められている場合について 都市施設の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
建築
「建築物を新築し、増築し、改築し、または移転すること」と定義されている(建築基準法第2条第13号)。
新築
建物を新たに建築することをいう。これに対して、従来の建物を建て直すことを「改築」という。両者を併せて「新改築」ということもある。 法令上は、一般的に、新築と改築とで取扱いが異なることはないが、新築の場合は敷地の整備を伴うことが通例であるのに対して、改築の場合は敷地整備を行わないことが多い。
なお、広告で新築と表示できるものは建築後1年未満で未入居の建物とされている。
増築
建物の床面積を増す建築工事。一般に、1棟の建物についてその床面積を追加する工事をいうが、敷地内に別棟の建物を追加する工事も増築ということがある。
なお、建物に追加する工事は「増築」であるが、建物を建て直す工事は「改築」になる。
改築
建築物の全部もしくは一部を除却すると同時に、これと同様の規模・構造の建築物を建てることをいう。
建築基準法では、改築も「建築」の一種とされており(建築基準法第2条第13号)、改築についても建築確認を申請する必要がある(建築基準法第6条)。
宅地造成
土地を宅地としての機能を備えたものとするために、切り土・盛り土等による斜面の平坦化などの工事、擁壁の設置工事、排水施設の設置工事、地盤の改良工事などを行なうこと。こうして形成された宅地は「造成地」と呼ばれる。
宅地造成のための工事のうち一定のものは、「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」に基づき、着手前に都道府県知事の許可を得なければならない。(詳細は「宅地造成等工事規制区域」を参照)
工作物
土地に定着する人工物のすべてを指す。従って、建物だけでなく、広告塔なども「工作物」である。
工作物のうち、建築物は当然建築基準法の対象になる。 広告塔などは、本来建築基準法の対象外のはずだが、一定以上の規模のものは、建築確認の申請が必要であり、建築物と同じように扱われる。
具体的には次の工作物である(建築基準法第88条・施行令第138条)。
1.高さが2mを超える擁壁(ようへき) 2.高さが4mを超える広告塔 3.高さが6mを超える煙突 4.高さが8mを超える高架水槽 5.高さが15mを超える鉄柱 など
木造
建物の主要な部分を木材とした建築構造のこと。
木造の工法は、大きく分けて「在来工法」「伝統工法」「枠組壁工法」に分類されている。
鉄骨構造(鉄骨造)
鉄骨造、S造とも。
柱と梁を「鉄骨」で作り、壁・床に「木質系パネル」「軽量気泡コンクリートパネル」「窯業系パネル」など使用した構造のこと。
主要な構造を形成する鉄骨の種類により「軽量鉄骨構造」と「重量鉄骨構造」に分けることができる。
地階
次の2つの条件を満たす階をいう。
1.床が地盤面下にあるような階であること
2.床から地盤面までの高さが、床から天井までの高さの3分の1以上であること
(建築基準法施行令第1条第2号)
事業予定地内の制限
知事の指定等により定められた事業予定地において適用される制限のこと。 1. 事業予定地の定義 事業予定地とは、次の2種類の土地を指す(都市計画法第55条第1項)。 1)都市計画で定められた都市施設の区域の内で、知事(指定都市等では市長)が指定した土地 2)4種類の市街地開発事業(市街地再開発事業、住宅街区整備事業、新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業)の施行区域内のすべての土地 2. 事業予定地内の制限の趣旨 事業予定地については、通常の都市施設・市街地開発事業の建築制限(「都市計画施設の区域内の制限」「市街地開発事業の施行区域内の制限」参照)よりも厳しい建築制限が課せられる。また、土地の先買い制度が適用される場合がある。 これらの制限は、事業予定地では比較的大規模な事業が実行され、または迅速に事業を実行に移す必要性が高いためであると考えられる。 3. 建築制限のあらまし 事業予定地では、建築物を建築するには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項、第55条第1項)。この許可について次の点が重要である。 1)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。 2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。 3)容易に移転除却ができる建築物等(すなわち都市計画法第54条の基準を満たす建築物)であっても、知事等は建築を不許可にすることができる(下記4. へ)。 4)上記3)で建築が不許可とされたとき、土地所有者には救済措置が設けられている(下記5. 6. へ)。 5)軽易な行為などを行なう場合、知事等の許可はそもそも不要である(下記7. へ)。 6)都市施設や市街地開発事業に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記9. へ)。 4. 建築許可の基準 通常の都市施設や市街地開発事業では、都市計画法第54条の基準を満たす建築物(主要構造部が木造・鉄骨造等で階数が2以下、地階がなく容易に移転除却できる建築物、都市計画に適合した建築物)については、知事等は必ず建築を許可する(「都市計画施設の区域内の制限」「市街地開発事業の施行区域内の制限」参照)。 しかし事業予定地では、都市計画法第54条の基準を満たす建築であっても、知事等は不許可とすることができる。ただし下記5. 6. の救済措置が設けられている。 5. 不許可とされた場合における「土地の買取りの申出」 都市計画法第54条の基準を満たす建築について知事等が不許可とした場合に、土地所有者がその土地の利用に著しく支障をきたしたならば、土地所有者は知事(または知事が指定した相手)に対して、その土地を買い取るよう申し出ることができる(都市計画法第56条)。これは不許可に対する救済措置である。このとき知事(または知事が指定した者)は、特別の事情がない限りその土地を買い取る。 6. 買取りがされない場合 上記5. において、知事(または知事が指定した者)がその土地を買い取らない場合がありうるが、買い取らない場合には、土地所有者は、都市計画法第54条の基準を満たす建築物の建築許可を知事等に申請できる。このとき知事等は、その建築を許可しなければならない(都市計画法第55条第1項但書)。 結局のところ、都市計画法第54条適合の建築が不許可にされたことで著しい支障をきたした土地所有者は、上記5. または6. のどちらかで救済されることとなる。 7. 許可不要の行為 管理行為、軽易な行為(※1)、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為は、建築の許可がそもそも不要である(都市計画法第53条第1項)。従って、これらの行為には上記5. 6. の救済措置は適用されない。 (※1)軽易な行為としては「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築又は移転」が定められている(都市計画法施行令第37条) 8. 土地の先買い制度の適用について 知事(指定都市等では市長)が、事業予定地において「先買い制度を適用する旨」を公告したときは、先買い制度が適用される(都市計画法第57条第1項)。 この場合には、事業予定地内の土地の有償譲渡(※2)をしようとする者は、事前に、一定の相手方(知事等が公告した相手方)に対して届出をしなければならない。相手方は届出のあった土地を優先的に買い取ることができる。 (※2)「土地の有償譲渡」のみが先買い制度の対象である。従って「土地と建築物等を一体とした有償譲渡」、「建築物のみの有償譲渡」には先買い制度は適用されない。 9. 施行予定者が定められている場合について 都市施設や市街地開発事業において「施行予定者」が定められている場合には、上記3. 4. 5. 6. 7. 8. は適用されない(都市計画法第57条の2)。これらに代わって、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。
住宅街区整備事業
都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、大都市地域で住宅や住宅地を供給するために実施される事業をいう。
都市計画で指定された住宅街区整備促進区域内において施行され、土地の区画形質の変更、公共施設の整備、共同住宅の建設などによって住宅の供給を促進する役割を担う。
事業手法の特徴は、従前の権利者に対して、土地区画整理事業と同様に事業によって整備した相応の土地を与える(換地、このとき減歩を伴う)ほか、事業によって建設する共同住宅の相応の持分を与える(権利変換、これにより宅地が立体化される)方法を併用することである。
また、区域内に集合農地地区を整備し、そこへ換地することによって従前の権利者が農業を継続できるようにすることも可能である。
住宅街区整備事業は、土地区画整理事業よりもさらに住宅建設への誘導効果が高いと考えられているが、事業の仕組みはより複雑なものとなるなどの理由により、実際の施行例は数例に留まっている。
なお、事業の仕組みは、「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法」に規定されている。
新住宅市街地開発事業
都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、住宅に対する需要が著しく多い地域において良好な住宅市街地の開発を目的として実施される事業をいう。 宅地の造成、公共施設の整備、造成された宅地の処分などによって、住区(住宅市街地の単位で、1ha当たり80人から300人を基準として6,000人から1万人が居住することができる地区)を形成することにより、住宅地を供給する役割を担う。 事業手法は、事業区域の土地を全面的に買収し(最終的には収用できる)、造成した宅地を住宅の需要者に売却する方法であるが、売却する際に、原則として譲受人を公募すべきこと、譲受人に住宅の建築義務を課すこと、義務違反等の場合の買い戻し特約を付すことなどが必要とされていることが特徴である。 これは、最終的には収用することになる土地を別の私人に譲り渡すことになるため、宅地処分の公共性を確保する必要があるとされる。 大都市圏の近郊に大規模な住宅市街地を建設するために活用され、多摩ニュータウン、千葉ニュータウンなどはこの事業によって建設された。 なお、事業の仕組みは「新住宅市街地開発法」に規定されている。
工業団地造成事業(市街地開発事業としての~)
工業団地造成事業は、一般的には工場が立地するのにふさわしい土地を造成する事業をいう。
しかし、都市計画で定められる市街地開発事業の一つとされるのは、そのうちの特定の事業である。
市街地開発事業とされる工業団地造成事業は、首都圏の近郊整備地帯内または都市開発区域内、近畿圏の近郊整備区域内または都市開発区域内において、工場敷地の造成、道路、排水施設等の整備などによって、首都圏や近畿圏の秩序ある工業立地を図る役割を担う。
事業は、事業区域の土地を全面的に買収し(最終的には収用できる)、造成した工場敷地を工場経営者に売却する方法で行なわれる。
敷地の譲り渡しに当たっては、譲受人の公募、工場建設計画の承認、権利処分の制限などが必要である。
事業の仕組みは、「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」または「近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律」に規定されている。
市街地開発事業等予定区域の区域内の制限
都市計画の告示があった日から、市街地開発事業等予定区域において適用される制限のこと。 なお、「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業についても同一の制限が適用される(詳しくは下記7. へ)。 1. 趣旨 市街地開発事業等予定区域の都市計画が告示されると、その告示の日から3年以内に都市施設または市街地開発事業に関する「本来の都市計画」が決定される。さらにその後2年以内に、都市計画事業の認可が申請されなければならない。 従って、市街地開発事業等予定区域では早い時期に、都市施設整備事業・市街地開発事業に係る工事等が実際に開始される。 そこで、市街地開発事業等予定区域では、こうした近い将来の事業の実行に対して障害となる恐れのある行為を厳しく制限することにしているのである。 2. 制限のあらまし 都市計画の告示があった日以降、次の1)および2)の制限が課せられる。その反面、次の3)により土地所有者は土地の買い取りを要求することができる。 1)建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限(下記3. 4. へ) 2)施行予定者による「土地建物等の先買い」(下記5. へ) 3)土地所有者から施行予定者に対する「土地の買取請求」(下記6. へ) 3. 建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限 都市計画の告示があった日以降、建築・建設・土地の形質変更を行なうには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第52条の2第1項)。この許可について次の点が重要である。 1)建築物の建築には知事(指定都市等では市長)の許可が必要。なお、ここでいう「建築」とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。 2)工作物の建設、土地の形質変更(宅地造成等)にも知事(指定都市等では市長)の許可が必要。 3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物であっても、知事(指定都市等では市長)は建築を不許可とすることができる。 4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4. へ)。 4.許可が不要とされる要件 管理行為・軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、許可が不要である(都市計画法第52条の2第1項但書)。 管理行為・軽易な行為としては、「車庫、物置その他これらに類する附属建築物(木造で2階以下かつ地階を有しないものに限る)の改築又は移転」などが定められている(都市計画法施行令第36条の2)。 5. 土地建物等の先買い 土地建物等の有償譲渡(※)をしようとする者は、事前に施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に届出をしなければならない。施行予定者は、この届出のあった土地建物等を優先的に買い取ることができる。 この先買い制度は、施行予定者が先買い制度に関する公告を行なった日の翌日から10日を経過した日から適用される(都市計画法第52条の3)。 (※)ここでいう「土地建物等の有償譲渡」とは「土地の有償譲渡」または「土地と建築物等を一体とした有償譲渡」を指す。従って、建築物のみを有償譲渡する場合には、先買い制度は適用されない。また有償譲渡とは「売却」「交換」を指す。 6. 土地の買取請求 土地所有者は、施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に対して、土地を時価で買い取るべきことを、いつでも請求できる。 ただし、その土地に建築物・工作物・立木法により登記された立木がある場合には、この買取請求ができない。また、その土地に他人の権利(地上権・賃借権・抵当権など)が設定されている場合にも、この買取請求ができない(都市計画法第52条の4)。 7. 「施行予定者」が定められている都市施設・市街地開発事業について 「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業については、都市計画法第60条の2第1項の規定により、都市計画の告示から2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない。このため、厳しい制限を課す必要があるので、上記2. から6. とまったく同一の制限が課せられている(都市計画法第57条の2から第57条の5まで)。 (なお、施行予定者が定められていない都市施設・市街地開発事業については「都市計画施設の区域内の制限」「市街地開発事業の施行区域内の制限」を参照のこと)