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共有物の管理
読み:きょうゆうぶつのかんり

共有している土地や建物を管理すること。

民法は、共有物の管理について、

i)共有物に変更を加えるためには、共有者全員の同意を要する

ii)使用する共有者の決定など管理に関する事項は、各共有者の持分の価格の過半数で決する

iii)補修などの保存行為は、各共有者が単独ですることができる

と定めている。

しかしながら、相続等によって、共有者が多数となる、共有者の一部が所在不明となるなどの状況が目立っている。そこで、民法の改正によって、共有物の管理について次のようなルールが制定・明文化された(2023年4月1日施行)。 

(1)軽微変更(共有物の形状又は効用の著しい変更を伴わない行為)については、持分の価格の過半数で決定することができる。 

(2)短期の賃借権等の設定(借地借家法の適用のある賃借権を除く)は、持分の価格の過半数で決定することができる。

(3)共有物を使用する共有者がいる場合や賛否を明らかにしない共有者がいる場合には、一定の条件を満たすときには、持分の過半数で管理(狭義の)に関する事項を決定することができる。

(4)所在等不明共有者がいる場合には、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者以外の共有者全員の同意により共有物に変更を加えること、所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数により管理に関する事項(抵当権の設定等の所在等不明共有者が共有持分を失うことになる行為を除く)を決定することができる。

(5)共有物の管理者を選任できる(明文化)。

(6)遺産共有状態にある共有物に共有に関する規定を適用するときは、法定相続分(相続分の指定があるケースは、指定相続分)により算定した持分を基準とする(明文化)。

なお、区分所有建物の管理については、「建物の区分所有に関する法律(区分所有法)」の定めが適用される。

抵当権

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。 債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。

区分所有建物

区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことである。 区分所有建物となるためには次の2つの要件を満たすことが必要である。 1.建物の各部分に構造上の独立性があること これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることを指している。ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では足りない。 2.建物の各部分に利用上の独立性があること これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味している。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということである。 上記1.と2.を満たすような建物の各部分について、それぞれ別個の所有権が成立しているとき、その建物は「区分所有建物」と呼ばれる。区分所有建物については、民法の特別法である区分所有法が適用される。 代表的なものとしては分譲マンションが区分所有建物である。しかし分譲マンションに限らず、オフィスビル・商業店舗・倉庫等であっても、上記1.と2.を満たし、建物の独立した各部分について別個の所有権が成立しているならば区分所有建物となる。 なお区分所有建物では、建物の独立した各部分は「専有部分」と呼ばれる。 また、この専有部分を所有する者のことを「区分所有者」という。 廊下・エレベータ・階段などのように区分所有者が共同で利用する建物の部分は「共用部分」と呼ばれ、区分所有者が共有する。 また建物の敷地も、区分所有者の共有となる(ただし土地権利が借地権である場合には「準共有」となる)。このとき区分所有者が取得している敷地の共有持分は「敷地利用権」と呼ばれる。 従って区分所有建物においては、区分所有者は、専有部分の所有権、共用部分の共有持分、敷地の共有持分という3種類の権利を持っていることになる。

区分所有法

分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律。正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」。「マンション法」と呼ばれることもある。 区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高い。 このため、1962(昭和37)年に民法の特別法として区分所有法が制定された。これにより、専有部分・共用部分・建物の敷地に関する権利関係の明確化が図られ、規約・集会に関する法制度が整備された。 その後、分譲マンションが急速に普及したことに伴って、分譲マンションの管理運営に関するトラブルが生じたり、不動産登記事務が煩雑になるなどの問題点が生じたので、1983(昭和58)年に区分所有法が大幅に改正された。このときに、区分所有者が当然に管理組合を構成すること、集会での多数決主義、建替え制度、敷地利用権と専有部分の一体化などが定められた。 また、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災において被災マンションの建て替えが課題となったこと(同年に「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(「被災マンション法」)が成立」)、老朽化したマンションの建て替えや大規模修繕を円滑に行なう必要が生じたことから、2002(平成14)年には、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(略称「マンション建替え円滑化法」、「マンション建替法」」の制定に合わせて、復旧決議における買取り請求規定の整備、建替え決議要件の緩和、団地内建物の建替え承認決議の創設などが措置された。 なお、マンションの建て替え等に関しては、「マンション建替え円滑化法(2025(令和7)年11月より「マンション再生法」後述)、マンション管理の適正化等に関しては、2000(平成12)年に制定された「マンション管理法」、被災マンションの再建については「被災マンション法」において、合意形成や権利調整等についての特別の規定が定められている。 さらに、2025(令和7)年には、マンションが国民の1割以上が居住する重要な居住形態となったことに加え、建物と居住者の「2つの老い」が進行しており、外壁剝落等の危険や不在所有者の増加も伴っての集会決議の困難化等が課題となり、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化を図ることが必要であるとの認識から、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」が制定・公布され、マンション管理法、マンション建替え法(抜本改正により題名が「マンションの再生等の円滑化に関する法律(「マンション再生法」)に改正。一部を除き同年11月施行)等とともに区分所有法においても以下の改正が措置された。主な改正部分は2026(令和8)年4月施行予定である。 1.区分所有権の処分を伴わない事項(修繕等)の決議は、集会出席者の多数決(従前は全区分所有者の多数決)によることとし、集会決議の円滑化を図った。2.裁判所が認定した所在不明者をすべての決議の母数から除外するとともに、管理不全部分・共用部分等を裁判所が選任する管理人に管理させる制度が創設された。3.建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等が、建替えと同様に多数決議(4/5(耐震不足の場合3/4等)により可能となった。  


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