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マンション敷地売却制度
読み:まんしょんしきちばいきゃくせいど

マンション敷地を一括して買受人に売却する仕組みをいう。「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」に基づく制度である。

マンション敷地売却制度の概要は次のとおりである。
1)対象となるのは、耐震性が不足している旨の認定を特定行政庁から受けたマンション(要除去認定マンション)に限られる。
2)敷地の売却は、マンション敷地売却決議によって実施する。決議には、区分所有者、議決権および敷地利用権の持分価格の 各5分の4以上の同意が必要。
3)敷地の売却を実施する主体として、マンション敷地売却組合を設立する。
4)マンション敷地売却組合は、マンション敷地の権利を取得し、買受人(敷地の買受計画について都道府県知事等の認定を受け、敷地のディベロッパーとなる者)にその権利を売却する。また、同組合は、マンション敷地売却決議の不同意者からの敷地の買収、「分配金取得計画」に基づく区分所有者等に対する分配金の支払いなどの業務を担う。

マンション敷地売却制度による事業は、権利変換によるマンション建替え事業などと違って、建物除去後の土地利用については自由であり、敷地の売却価額は、敷地の最有効使用を想定して算定することとなる。一方で、買受人は、代替住居の提供や斡旋の計画について都道府県知事等の認定を受けなければならないとされている。

マンション

日本におけるマンションは、一般的には、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の分譲共同住宅・賃貸共同住宅を指している。ただし、賃貸共同住宅の場合にはPC造・重量鉄骨造であっても、マンションと呼ばれることがある。 本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。

敷地

建築物のある土地のことを「敷地」という。 なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。 例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。 ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。 1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可) 2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。 3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。 4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。

マンションの再生等の円滑化に関する法律

老朽化したマンションの建て替えを円滑に進めることを目的として、2002(平成14)年に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」として制定・公布・施行された。 マンションの建て替えや除去は、原則として区分所有法に基づいて進めるのであるが、老朽マンションの増加や、管理組合の担い手不足が進むというわが国の状況に鑑み、建替え等を一層円滑に進めるため、合意形成や権利調整について、以下の特別の措置を定めた。 1. 法人格を持つ組合を設立して建替事業を施行する制度を創設すること(マンション建替組合)2. 建替事業において、従前のマンションの所有権・敷地利用権・借家権を再建マンションの各権利に変換するための手続きを定めること(権利変換制度) その後、2011年の東日本大震災の発生を踏まえ、旧耐震基準により建設されたマンションが推計約100万戸以上存在する中で、巨大地震の発生に備えるため、2014(平成26)年に改正法が成立し、以下の制度が創設・追加された。なお、この際、法律の名称が「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に改正されている。 1.耐震性が不足していると認定されたマンション(要除却認定マンション)について、区分所有者等の4/5以上の賛成で、マンション及びその敷地を売却する旨の決議をすることができることとし、そのための手続きを定めること(除却する必要のあるマンションに係る特別の措置)2. 法人格を持つ組合を設立してマンション敷地を売却する事業を実施する制度を創設すること(マンション敷地売却組合・マンション敷地売却事業) さらに、2020(令和2)年には、マンションの老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や老朽化によって維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取り組みの強化のため、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布され、以下の改正が行なわれた。 1)除却の必要性に係る認定対象に、耐震性不足のものに加え、(1)外壁の剥落等により危害を生ずる恐れがあるマンション等(2)バリアフリー性能が確保されていないマンション等を加え、容積率の特例が認められるとともに、(1)については、区分所有者及び議決権の4/5以上の同意によりマンション敷地売却を可能とする。2)敷地分割が必要となる団地型マンションの敷地分割事業を円滑に推進するため、法人格を持つ組合を設立して実施する制度を創設する(敷地分割組合・敷地分割事業) 2025(令和7)年には、「建物と居住者の「2つの老い」の進行に対して、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を図ること」を目的として、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律」が制定・公布され、以下の措置が講じられるとともに、法律の題名も同年11月の施行に合わせて「マンションの再生等の円滑化に関する法律」に改められた。 1)再生の円滑化等(2026(令和8)年4月施行予定)(1)建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等を建替えと同様に多数決決議(4/5(耐震性不足の場合3/4等))により可能とする。(2)隣接地や底地の所有権等について建替え等の後のマンションの区分所有権に変換することを可能とする(容積率確保のための隣接地等の取込みに係る合意形成の促進)。(3)耐震性不足等で建替え等をする場合、容積率のほか、特定行政庁の許可による高さ制限の特例を適用することを可能とする。2)地方公共団体の取組の充実(2025(令和7)年11月施行)(1)外壁剥落等の危険なマンションに対する報告徴収、助言指導、勧告、あっせん等(2)合意形成等を支援する民間団体の登録制度の創設  

特定行政庁

建築基準行政において、建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長を、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。 人口が25万人以上の市の市長は原則として特定行政庁であるほか、それ以外の市町村長も建築主事を置くことによって特定行政庁となる。 建築主事は建築確認等の業務を行なうが、違反建築物に対する措置等は特定行政庁の業務とされている。

区分所有者

分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。 この区分所有建物において、建物の独立した各部分のことを「専有部分」という。 区分所有者とは、この専有部分を所有する者のことである(詳しくは「区分所有建物」参照)。

敷地利用権

分譲マンションのような区分所有建物において、区分所有者が持っている土地に関する権利のことを「敷地利用権」という(区分所有法第2条)。 区分所有建物では、その敷地は区分所有者全員の共有とされている。 従って、敷地利用権とは、区分所有者が持っている「土地の共有持分」といい換えることができる。

ディベロッパー

不動産開発業者。英語のdeveloper。 土地や建物を改変・建設し、その価値を高める事業に携わる。事業を実施するためには、宅地建物取引業の免許が必要なほか、企画、資金調達、工事管理などを統合する管理能力が重要となる。また、不動産開発事業は、一般に、ハイリスク・ハイリターンの事業とされていることから、ディベロッパーには相応の資力が求められる。  

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