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省エネ基準適合住宅の義務化
読み:しょうえねきじゅんてきごうじゅうたくのぎむか

新築住宅について省エネルギー基準への適合を義務化すること。2025年度から義務化することとされている。

建築物の省エネルギー化については、エネルギー基本計画(2021年10月)において、「住宅及び小規模建築物の省エネルギー基準への適合を2025年度までに義務化する」とされ、また、社会資本整備審議会は、「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)」(2022年2月)において、「2025年度以降に新築される原則全ての建築物を対象に、現行の省エネ基準への適合を義務付ける」必要があるとした。

このような方針を受けて、2022年6月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)が改正され、3年以内(2025年度)に、原則すべての新築住宅・非住宅について省エネルギー基準への適合を義務化することとされた。

2025年4月からは建築確認の手続きの中で適合性審査を行なうこととされており、基準に適合しない場合や必要な手続き・書面などの整備を怠った場合は、確認済証検査済証が発行されない。また、基準については、風土への適合、居住スタイルの自由の確保など、住宅に求められる特性に配慮する必要がある。

なお、住宅以外の一定規模以上の建築物については、2017(平成29)年4月から、エネルギー消費性能基準への適合が義務化されている。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

建築物省エネ法

「エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下「省エネ法」という。1979(昭和54)年制定)」に基づいて行なわれてきた省エネルギー(以下「省エネ」)施策のうち、建築物に関する部分について、わが国のエネルギー消費量の3分の1を建築物関連が占めること、および2013年の東日本大震災を経て一層エネルギーの使用の改善を図る必要が明らかになったことに鑑み、特に建築物について省エネ性能の向上を図り、抜本的な対策を行なうため、大規模な建築物について新築時等における省エネ基準への適合義務を課す等の措置を定めた法律。2015年7月に公布され、2017年4月(一部は2016年4月)に施行された。制定時の名称は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」であったが、2022(令和4)年改正(「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」による改正)により、「向上」の後に「等」が追加された。 同法に規定されている主な措置は、次の通りである。 1. 建築主に対する規制措置 (1)建築物省エネ法においては、一定規模以上の非住宅建築物について、届出義務を課していたが、本法施行により、省エネ基準(一次エネルギー消費量に関する基準)への適合が義務付けられた。さらに、2022(令和4)年改正により、原則として、住宅を含むすべての建築物に対して省エネ基準への適合が義務付けられた(2025(令和7)年4月施行)。 (2)建築主は、建築基準法第6条の建築確認の手続きの際に、「建築物エネルギー消費性能確保計画」を作成し、(1)の省エネ基準の適合について、所管行政庁の判定(建築物エネルギー消費性能適合性判定)を受けなければならない。 (3)住宅事業建築主が供給する建売戸建住宅や注文住宅に関する省エネ性能の向上のために省エネ基準を超える水準の基準(住宅トップランナー基準)を定め、一定戸数以上の住宅を新築する事業主に対して、努力義務を定め、必要に応じて、省エネ性能の向上を勧告することができることとする。2022(令和4)年改正により、分譲型住宅のトップランナー制度の対象を、分譲マンションにも拡大することとなった(2023(令和5)年4月施行)。2. 省エネ性能向上計画の認定 建物の新築および省エネ性能向上のための改修等に当たって、省エネ性能向上計画を作成し、誘導基準に適合するなどの認定を受ける制度を定める。また、認定を受けた場合には、容積率の特例を適用することとする。3. エネルギー消費性能の表示 建築物の所有者が、その所有する建築物について省エネ基準に適合する旨の認定を受け、エネルギー消費性能を表示する制度を定める。2022(令和4)年改正により、2024(令和6)年より販売・賃貸の広告に省エネ性能を表示する制度がスタートすることになった。4. 建築物エネルギー消費性能判定機関等の登録 建築物の省エネ基準等への適合を判定する業務を実施する機関または建築物のエネルギー消費性能を評価する業務を実施する機関が、それぞれ、国土交通大臣の登録を受ける制度を定める。登録を受けた機関は、それぞれ、「登録建築物エネルギー消費性能評価判定機関」または「登録建築物エネルギー消費性能評価機関」として、建築物省エネ法に基づく判定または評価の業務を実施できることとする。5.建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度の創設太陽光発電設備などの再生可能エネルギー利用設備の導入促進のため創設された(2022(令和4)年改正、2024(令和6)年4月施行)。市町村が促進計画を作成・公表することで、区域内には、建築士から建築主に対する再生可能エネルギー利用設備についての説明義務や建築基準法の形態規制の特例許可などが適用される。

建築確認

一定の建築物を建築(増改築を含む)しようとするときに、工事の着手前に、建築計画が法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準)に適合している旨の確認を受けなければならないとする制度、または当該確認行為をいう。 確認を申請する義務があるのは建築主で、確認を行なうのは建築主事等である。 建築主は、建築確認を受けた場合には確認済証の交付を受ける他、工事を完了したときには検査を受けること、一定の場合には工事の中間検査を受けることなどの義務を負う。また、建築基準に違反した建築物については、建築主、建築工事の請負人等に対して、工事施工の停止や違反を是正するための措置を命じることができる。ただし、特別な場合を除いて、従前から存在する基準に違反の建築物(既存不適格建築物)については、増改築をしない限りはそのまま使用できる。 建築確認制度において重要なのは、建築確認を受けなければならない建築物の建築工事に当たっては、その設計は建築士が当たらなければならず、また建築士である工事監理者を置かなければならないとされていることである。この条件を満たさない建築確認申請は受理されない。つまり、建築基準を確保する仕組みは、建築確認制度と建築士制度とが一体となって初めて実効あるものとなるのである。 なお、建築基準は、都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に対してはより厳しい基準が適用されるなど、建物の敷地場所、規模、構造、用途等に応じて詳細に定められているため、その内容については注意深く確認する必要がある。

確認済証(建築確認制度における~)

建築計画が建築基準関係規定に適合すると確認された場合に交付される書類をいう。 確認は建築工事に着手する前に受けなければならず、確認済証は確認した建築主事が交付する。 宅地建物取引業務においては、工事完了前の建物の売買等について、確認済証の交付を受けた後等でなければその広告をしてはならないとされている。 なお、建築工事完成後には、建築物が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を受けなければならず、検査により適合が認められたときに交付される書類が「検査済証」である。

検査済証

建築工事が完了した建築物について、建築主事等は、検査の申請を受理した日から7日以内に、当該建築物について工事完了検査を行なわなければならない。 この工事完了検査に合格した場合に、建築主事等が建築主に交付する書面が「検査済証」である。