建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
特殊建築物
建築基準法において、一般の建築物よりも強い制限を課す建築物。「学校(専修学校及び各種学校を含む)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物」とされている。
特殊建築物に課す制限は、防火、衛生などの必要に応じて、その用途、床面積、階数などを特定して適用され、一律ではない。適用される制限の内容に即して、対象となる建築物や建築部分を確認する必要がある。
なお、耐火建築物等としなければならない特殊建築物の用途は、次のように分類されている。
(1)劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
(2)病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)
(3)学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場
(4)百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積が10平方メートル以内のものを除く)
(5)倉庫
(6)自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ
大規模建築物
建築基準法第6条第1項第2号と3号に定める一定の大規模な建築物のことを「大規模建築物」と呼んでいる。
具体的には次の2種類がある。 1.木造の建築物で次の要件のどれか一つを満たすもの 1)高さが13mを超える 2)軒高が9mを超える 3)階数が3以上 4)延べ面積が500平方メートルを超える 2.木造以外の建築物で次の要件のどれか一つを満たすもの 1)階数が2以上 2)延べ面積が200平方メートルを超える 例えば鉄骨造の2階建ての建築物であっても、建築基準法の上では「大規模建築物」となるので、注意が必要である。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。