分譲マンションの管理組合または賃貸住宅の賃貸人が、管理会社に対して、マンションまたは賃貸住宅の管理を委託する契約。
管理会社は、マンション管理適正化法に定める「マンション管理業者」または賃貸住宅管理業法に定める「賃貸住宅管理業者」として登録しなければならず、管理契約の締結に当たっては、次の義務がある。
1.管理会社は、管理委託契約の締結前に一定の重要事項を説明しなければならない。
2.管理会社は、管理委託契約を締結するときに、一定の事項を記載した書面(管理委託契約書)を遅滞なく交付しなければならない。なお、書面の交付は紙の書面交付または政令で定めるところにより電磁的交付を行なうこともできることになっている(マンション管理適正化法第73条)。
管理組合
分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者が建物および敷地等の管理を行なうために区分所有法にもとづいて結成する団体のこと(ただし区分所有法上では「管理組合」という言葉を使用せず、「区分所有者の団体」と呼んでいる)。
区分所有建物においては、区分所有者は区分所有法により、当然にこの「管理組合」に加入することとされているので、区分所有者の任意で管理組合から脱退することはできない(区分所有法第3条)。
このような管理組合は、集会(いわゆる管理組合の総会)を開き、管理に関するさまざまな事項を議決し、管理規約を定める。
また管理組合の通常業務を執行するために、管理規約にもとづいて複数の理事が選出され、この理事によって構成される理事会が業務を行なう。
また管理組合は、法人になることができる。法人になった管理組合は「管理組合法人」と呼ばれる。
管理会社
不動産所有者の委託により、その所有する不動産の管理業務を行なう企業をいう。
管理業務の内容は、大きく分けて、設備の保守・点検、防火・警備など(作業の実施)、賃料や共益費の徴収、諸料金の支払いなど(経理事務)、テナントの募集、賃料の改定、修繕計画の立案など(経営的業務)がある。このように幅広い業務があり、そのための技術も多様であることから、その一部を受託することが多い。 なお、管理会社は、管理の対象となる不動産の性格に応じて、マンション管理業、ビル管理業、賃貸住宅管理業に大別できる。このうちマンション管理業については、法律に基づき登録する義務がある。また、賃貸住宅管理業についても、一定以上の管理戸数の委託を受ける管理会社は法律に基づき登録する義務がある。
マンション
日本におけるマンションは、一般的には、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の分譲共同住宅・賃貸共同住宅を指している。ただし、賃貸共同住宅の場合にはPC造・重量鉄骨造であっても、マンションと呼ばれることがある。 本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。
マンション管理業者
マンション管理業を行なう者であって、国土交通大臣の登録を受け、マンション管理業者名簿に登録された者を「マンション管理業者」という(マンション管理適正化法第2条第8号)。 マンション管理業者は、その事務所ごとに、30の管理組合の事務を委託されるごとに1名の割合で、専任の管理業務主任者を置く義務がある(マンション管理適正化法第56条)。 マンション管理業者は、管理組合と管理委託契約を締結する際には、契約締結前の重要事項説明を管理業務主任者に行なわせる義務がある(マンション管理適正化法第72条)。 また契約成立時に交付する書面(通常は管理委託契約書を指す)には、管理業務主任者が記名する必要がある。なお、紙の書面に代えて政令で定めるところにより電磁的交付をおこなうこともできることになっている。(マンション管理適正化法第73条)。
マンション管理業者は毎年、管理組合等に報告を行なう義務がある(マンション管理適正化法第77条)。
賃貸住宅管理業法
賃貸住宅を管理する業務を適正に実施するための措置を定めた法律。正式な名称は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、2020年6月に制定された。
賃貸住宅管理業法が定める主な措置は次のとおりである。
(1)賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設
・委託を受けて賃貸住宅の管理業務を行う事業を営もうとする者について、 国土交通大臣の登録を義務付ける。(ただし、管理戸数が一定規模未満の者は義務ではなく任意登録。なお、管理業務とは、賃貸住宅の維持保全及びこれと併せて行う家賃、敷金、共益費等の管理である。)
・賃貸住宅管理業者の業務について、次のことを義務付ける。
a)事務所毎に、業務管理者(賃貸住宅の管理に関する知識・経験等を有する一定の資格者)を選任し配置すること
b)管理受託契約の締結前に、具体的な管理業務の内容・実施方法等(重要事項)について書面を交付して説明すること
c)管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理すること
d)業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告すること
e)名義貸しの禁止、知り得た秘密を守ること、標識の掲示など
(2)サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置
・サブリース業者及び勧誘者が特定賃貸借契約(住宅を転貸するための賃貸借契約/マスターリース契約ともいう)を勧誘する場合に、契約の相手方に誇大に広告する行為及び家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げずまたは不実を告げる行為を禁止する。
・特定賃貸借契約の締結前に、家賃、契約期間等(重要事項)を記載した書面を交付して説明することを義務付ける。
なお、法律は、(1)に関しては21年6月から、(2)に関しては20年12月から施行された。
関連用語
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中高層共同住宅標準管理委託契約書
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マンションの管理委託契約を締結する際の指針となる標準的な契約書の様式をいう。
1982(昭和57)年に、住宅宅地審議会(当時)の答申にもとづき建設省(現国土交通省)が策定した。
その後、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が施行されるなどの情況の変化を踏まえて、2003(平成15)年に大きく改定され、現在は名称を変更して「マンション標準管理委託契約書」として活用されている。