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住宅性能表示制度
読み:じゅうたくせいのうひょうじせいど

住宅の品質確保の促進等に関する法律品確法)により導入された、住宅の性能を表示するための制度のこと。

品確法では、住宅の性能が正しく表示されるように次のような仕組みを設けている。

1.評価する機関を大臣が指定する。
品確法にもとづき正式に住宅性能を評価することができる機関は、登録住宅性能評価機関だけに限定されている(品確法第5条第1項)。登録住宅性能機関とは、住宅性能評価を行なうことができる機材や能力等を持つものとして国土交通大臣により登録を受けた会社等のことである。

2.評価書の作成方法を大臣が定める
登録住宅性能評価機関は、依頼者の依頼を受けて、住宅の性能を評価した結果を表示する書面(住宅性能評価書)を作成する。
この住宅性能評価書を作成するにあたっては、登録住宅性能評価機関は、国土交通大臣が定めた基準(日本住宅性能表示基準)に準拠しなければならない。

このように国が関与することにより、住宅の性能が適切に表示される仕組みが設けられている。

なお、品確法では、住宅性能評価書が交付された新築住宅については、住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま請負契約売買契約の契約内容になる場合があると規定している。この規定により注文者保護・買主保護が図られている(詳しくは「住宅性能評価書と請負契約・売買契約の関係」へ)。

また建設住宅性能評価書が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関に対して、紛争処理を申請することができるとされている(品確法第62条)。

住宅の品質確保の促進等に関する法律

住宅の性能の表示基準を定めるとともに、住宅新築工事の請負人および新築住宅の売主に対して、住宅の一定部位について10年間の瑕疵担保責任を義務付けることにより、住宅の品質確保をめざす法律。「品確法」ともいう。 主な内容は次のとおりである。 1.住宅性能評価書 国土交通大臣により登録を受けた評価専門会社等(これを登録住宅性能評価機関という)に依頼することにより、住宅性能評価書を作成することができる(同法第5条)。住宅性能評価書には、設計図等をもとに作成される設計住宅性能評価書と、実際に住宅を検査することにより作成される建設住宅性能評価書がある。 登録住宅性能評価機関は、住宅性能評価書を作成するにあたっては、国土交通大臣が定めた正式な評価基準である「日本住宅性能表示基準」に準拠しなければならない。 住宅の建築請負契約書または新築住宅の売買契約書に、住宅性能評価書を添付した場合等には、請負人や売主はその評価書に表示されたとおりの性能の住宅を、注文者や買主に引き渡す義務を負うことになる。 2.弁護士会による紛争処理・住宅紛争処理支援センター 建設住宅性能評価書が交付された住宅について、請負契約または売買契約に関する紛争が発生した場合には、紛争の当事者は、弁護士会の内部に設置されている指定住宅紛争処理機関に対して、紛争の処理を申し立てることができる。紛争処理を申請する際に当事者が負担する費用は、原則として1万円である。 また、弁護士会による紛争処理を支援する等の目的で、住宅紛争処理支援センターを設置することとされ、「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター」が国土交通大臣により指定されている。住宅紛争処理支援センターは、弁護士会に対して紛争処理の業務に要する費用を助成するほか、登録住宅性能評価機関から負担金を徴収する等の事務を行なっている。 3.10年間の瑕疵担保責任の義務付け等 新築住宅の売買または建設工事における契約不適合責任(瑕疵担保責任)として、次の義務を定めた。 (1)新築住宅の「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」の契約不適合(瑕疵)について、売主・工事請負人は、注文者に住宅を引き渡した時から10年間、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う。 (2)契約によって、(1)の瑕疵担保期間を20年以内に延長することができる。 この特例は強行規定であり、特約によって責任を免れることはできない。

品確法

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の略称。住宅の性能の表示基準を定めるとともに、住宅新築工事の請負人及び新築住宅の売主に10年間の瑕疵担保責任を義務付けるなどを規定している。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」を参照。

登録住宅性能評価機関

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき住宅性能評価の業務を行なう機関であって、国土交通大臣の登録を受けた機関のこと。 住宅品質確保促進法第5条第1項では「登録住宅性能評価機関は住宅性能評価を行ない、住宅性能評価書を交付することができる」と定めている。 この規定により、正式な住宅性能評価書の交付を行なうことができる機関は、登録住宅性能評価機関だけに限定されているということができる。

住宅性能評価書

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき、住宅性能の評価結果を表示した書面のこと。 品確法では、住宅性能評価書を作成することができる機関を登録住宅性能評価機関だけに限定しており、評価の方法に関して日本住宅性能表示基準と評価方法基準という2種類の基準を法定している(品確法第5条)。 住宅性能評価書には、設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の2種類が存在する。 さらに後者は新築住宅の建設住宅性能評価書と既存住宅の建設住宅性能評価書に区分される。 これらの住宅性能評価書は、すべて国土交通大臣が定めた日本住宅性能表示基準に従い、かつ評価方法基準に準拠して作成される必要がある。 住宅品質確保法では、このような住宅性能評価書を交付された新築住宅については、住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま請負契約や売買契約の契約内容になる場合があると規定しており、この規定により注文者保護・買主保護が図られている(詳しくは「住宅性能評価書と請負契約・売買契約の関係」へ)。 また、建設住宅性能評価書が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関に対して、紛争処理を申請することができるとされている(品確法第62条)。

日本住宅性能表示基準

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき、国土交通大臣が定めた住宅性能の表示に関する基準のこと。 登録住宅性能評価機関はこの基準に従って、住宅性能評価書に住宅性能の評価の結果を表示しなければならない(品確法第3条、第5条)。 この日本住宅性能表示基準は、国土交通大臣が必要に応じて公聴会を開催し、社会資本整備審議会の議決を経て、告示したものである(同法第3条)。 具体的には、2000(平成12)年7月19日の告示により、この日本住宅性能表示基準が定められた。その後、住宅性能評価の対象として既存住宅(建設工事完了後1年以上が経過した住宅や、建設工事完了後1年以内に人が住んだことがある住宅のこと)が追加されたことにより、日本住宅性能表示基準は2002(平成14)年8月20日に大幅に改訂されている。 この日本住宅性能表示基準の内容は次の1.2.のとおりである。 1.新築住宅に関する表示基準 日本住宅性能基準では、新築住宅に関する住宅性能評価書に表示すべき事項を下記の9分野(29項目)と定めている(同基準別表第1)。 1)構造の安定に関すること 2)火災時の安全に関すること 3)劣化の軽減に関すること 4)維持管理への配慮に関すること 5)温熱環境に関すること 6)空気環境に関すること 7)光・視環境に関すること 8)音環境に関すること 9)高齢者等への配慮に関すること 新築住宅に関する住宅性能評価書には「設計住宅性能評価書」と「新築住宅の建設住宅性能評価書」という2種類が存在するが、どちらの評価書においても表示すべき事項の範囲と表示方法はまったく同一である(ただし上記6)のうち「室内空気中の化学物質の濃度等」に関しては「建設住宅性能評価書」だけで表示すべき事項とされている)。 新築住宅に関する住宅性能評価書には、原則として上記1)から9)のすべての事項を記載するべきである。ただし、依頼者の要望により上記8)のうちの「重量床衝撃音対策」「軽量床衝撃音対策」「透過損失等級(界壁)」「透過損失等級(外壁開口部)」と、上記6)のうちの「室内空気中の化学物質の濃度等」に関しては、性能評価を実施しないことができる(同法施行規則第3条第2項および国土交通省告示「住宅性能評価を受けなければならない性能表示事項を定める件」より)。 2.既存住宅に関する表示基準 既存住宅に関する住宅性能評価書は「既存住宅の建設住宅性能評価書」である。この既存住宅の建設住宅性能評価書に表示すべき事項は、次の1)および2)である(同基準別表2-1より)。 1)現況検査により認められる劣化等の状況 2)個別性能に関すること このうち2)の個別性能については「構造の安定」「火災時の安全」「維持管理への配慮」「空気環境」「光・視環境」「高齢者等への配慮」という6分野(21項目)の表示事項が定められているが、どの分野について評価を行なうかは依頼者の自由意思に委ねられている。 また、新築住宅に関する表示事項のうち「劣化の軽減」「温熱環境」「音環境」という3分野については、既存住宅の表示事項からそもそも除外されている。 このため、既存住宅の建設住宅性能評価書においては「劣化の軽減」「温熱環境」「音環境」という3分野に関する表示を行なうことができない。ただし、登録住宅性能評価機関が法律外の独自のサービスとしてこれら3分野の査定を実施することは可能である。

請負契約

当事者の一方がある仕事を完成することを、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことをそれぞれ約束する契約。例えば、住宅の建築工事、洋服の仕立て、物品の運搬などの契約がこれに該当する。 請負契約の目的は、仕事の完成であって労務の供給ではないから、仕事の目的物が定まっていて、通常は、目的物を引き渡すことで仕事が完成する。 請負契約については民法に一般的な規定がある。また、たとえば建設工事の契約に関しては建設業法、運送契約については商法等のような特別法の適用がある。 民法は、 1)請負契約による報酬は目的物の引渡しと同時に支払わなければならないこと 2)引き渡した目的物が契約不適合の場合には、注文者は、補修等の追完請求、報酬減額請求、損害賠償請求、契約解除をすることができること(ただし、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図等によって生じた不適合を理由にすることはできない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。) 3)契約不適合による請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から一年以内にその事実を通知しなければならないこと 4)請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できること などを定めている。 なお、民法には、請負人の担保責任の存続期間について特別の定めがあったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって削除された。ただし、住宅の新築工事の請負に関しては、特定の部位についての契約不適合責任の存続期間は10年とされている(住宅の品質確保の促進等に関する法律)。

売買契約

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。 売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。 また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。 さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。 当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

住宅性能評価書と請負契約・売買契約の関係

住宅の品質確保の促進等に関する法律 (品確法)第6条では、住宅性能評価書を交付された新築住宅については、住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま請負契約や売買契約の契約内容になる場合があると規定している。この規定により注文者保護・買主保護が図られている。 この品確法第6条の具体的な内容は、次の1.から5.のとおりである。 1.請負契約を締結したとき 請負人が、設計住宅性能評価書(またはその写し)を請負契約書に添付した場合には、請負人はその評価書(またはその写し)に表示された性能を有する住宅の建設工事を行なうことを注文者に対して契約したものとみなされる(同法第6条第1項)。 なお、設計住宅性能評価書(またはその写し)を請負契約書に添付しないで、注文者に設計住宅性能評価書(またはその写し)を交付しただけの場合であっても同様である。 2.新築住宅の建設工事の完了前に、新築住宅の売買契約を締結したとき 売主が、設計住宅性能評価書(またはその写し)を売買契約書に添付した場合には、売主はその評価書(またはその写し)に表示された性能を有する住宅を買主に引き渡すことを契約したものとみなされる(同法第6条第2項)。 なお、建設住宅性能評価書(またはその写し)を売買契約書に添付しないで、買主に設計住宅性能評価書(またはその写し)を交付しただけの場合であっても同様である。 3.新築住宅の建設工事の完了後に、新築住宅の売買契約を締結したとき売主が、建設住宅性能評価書(またはその写し)を売買契約書に添付した場合には、売主はその評価書(またはその写し)に表示された性能を有する住宅を買主に引き渡すことを契約したものとみなされる(同法第6条第3項)。 なお、建設住宅性能評価書(またはその写し)を売買契約書に添付しないで、買主に建設住宅性能評価書(またはその写し)を交付しただけの場合であっても同様である。 4.事例による検討 例えば、新築住宅の建設工事の請負人が、設計住宅性能評価書の写しを注文者に渡したにもかかわらず、その評価書の性能よりも劣るような住宅を建設した事例を想定しよう。 この事例では、住宅品質確保法第6条第1項の規定により、評価書の性能を持つ住宅を建設することを請負人が契約したのと同じである。従ってこの事例では、請負人は明らかに請負契約に違反したことになるので、請負人には民事上の責任(具体的には瑕疵担保責任など)が発生する。よって注文者は民事訴訟を提起して、請負人の責任を追及できることになる。 5.反対の意思表示を契約書に記載した場合の取扱い ただし、こうした住宅品質確保法第6条(第1項から第3項)の規定は、請負人や売主が契約書において反対の意思表示を文章で明記した場合には適用されないことになっている(同条第4項)。 例えば、請負契約書において「請負人は、交付した設計住宅性能評価書に表示された性能を有する住宅を建設する義務を負うものではない」と記載されている場合には、品確法第6条第1項は適用されない扱いとなる。 なお、こうした品確法第6条(第1項から第3項)の規定は、既存住宅の売買契約については適用されない扱いとなっていることに注意したい(既存住宅とは、建設工事完了後1年以上が経過した住宅や、建設工事完了後1年以内に人が住んだことがある住宅のことである(品確法第2条))。

建設住宅性能評価書

登録住宅性能評価機関が、実際に住宅を検査することにより作成した住宅性能評価書を「建設住宅性能評価書」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第6条、同施行規則第5条)。 品確法では、建設住宅性能評価書を交付された新築住宅については、建設住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま売買契約の契約内容になる場合があると規定しており、この規定により買主保護が図られている(詳しくは「住宅性能評価書と請負契約・売買契約の関係」へ)。 新築住宅について建設住宅性能評価書が作成されるには、「設計住宅性能評価書の作成」「建設住宅性能評価書の作成の申請」「検査の実施」「建設住宅性能評価書の作成」という過程を経る必要がある(詳しくは「新築住宅の建設住宅性能評価書」へ)。 また、既存住宅について建設住宅性能評価書が作成されるには、「建設住宅性能評価書の作成の申請」「現況検査」「個別性能評価」「建設住宅性能評価書の作成」という過程を経る必要がある(詳しくは「既存住宅の建設住宅性能評価書」へ)。 これらの建設住宅性能評価書に記載されるべき事項については、国土交通大臣が基準を定めている(詳しくは「日本住宅性能表示基準」へ)。 なお、建設住宅性能評価書が交付された住宅については、原則として1万円の費用負担で弁護士会に紛争処理を申請することができる(詳しくは「指定住宅紛争処理機関」へ)。

指定住宅紛争処理機関

建設住宅性能評価書が交付された住宅について、建設工事の請負契約または売買契約に関する紛争が発生した場合に、紛争の当事者の双方または一方からの申請により、紛争のあっせん・調停・仲裁の業務を行なう機関を「指定住宅紛争処理機関」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第67条)。 指定住宅紛争処理機関になることができるのは、各都道府県の弁護士会又は一般社団法人若しくは一般財団法人に限定されている(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)法第66条)。 このような指定住宅紛争処理機関の利用に関して次の点が重要と思われる。 1.建設住宅性能評価書が交付されている住宅であることを要する。 住宅性能評価を受けていない住宅は、指定住宅紛争処理機関による紛争処理を申請することができない。 また、住宅性能評価書には設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書の2種類が存在するが、設計住宅性能評価書だけが交付されている場合にはこの紛争処理を申請することができない。 2.紛争処理を申請する際の費用は原則として1万円。 住宅品質確保法第69条および同法施行規則第104・105条により、紛争処理を申請する際の手数料は1万円とされている。ただし、鑑定等に要する費用を紛争の当事者が別途負担するように指定住宅紛争処理機関が定めることも可能とされている。 3.紛争処理の対象は、評価書に記載された事項に限定されない。 指定住宅紛争処理機関が扱う紛争の範囲は、建設住宅性能評価書に記載された事項に限定されない。例えば、住宅の欠陥を原因として居住者に健康被害が発生したような場合には、その住宅の欠陥の物的損害だけでなく、健康被害による損害についてもあっせん・調停・仲裁を申請することができる。 また例えば、共同住宅の建設住宅性能評価書において、重量床衝撃音などの「音環境に関すること」を全く検査せず、音環境の評価結果が存在していない事例であっても、上階からの衝撃音が大きく生活に支障をきたすような場合には、その住宅の欠陥に対してあっせん・調停・仲裁を申請することが可能である。 4.民事裁判への移行も可能。 あっせん・調停には和解契約としての効力が発生し、仲裁には民事訴訟の確定判決と同じ効力が発生するとされている。 しかし、そもそも紛争当事者の双方の合意がなければ、あっせん・調停・仲裁を行なうことはできない。 従って、紛争当事者の双方が合意に至らない場合には、紛争当事者は通常どおりの民事訴訟を提起することができる。また、指定住宅紛争処理機関による紛争処理を申請しないで、初めから民事訴訟を提起することも当然可能である。