三井住友トラスト不動産

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強制管理
読み:きょうせいかんり

債務を強制的に履行させるため、裁判所の決定に基づいて不動産に対する強制執行をする方法のうち、強制競売と異なり、不動産を売却せずに裁判所が選任した管理人に賃料等の不動産から生ずる収益を収取させ、債権者に配当する方法。売却するよりも収益を得る状態を継続した方が債権の回収に有利である場合などに採用される。

2004年4月以前までは。抵当権の実行方法としては、売却せずに収益から債権者が配当を受ける方法がなかったため、本制度に一定の存在意義があった。しかし、03(平成15)年の「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」の成立・公布により、「担保不動産収益執行」の制度が創設され、04(平成16)年4月の同法の施行により、抵当権者の申請に基づき、裁判所による管理人の選任、管理人による収益の収受、債権者への分配等の手続が利用できることとなった。そのため、本制度の利用の減少が見込まれている。

債務

私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。 債務を負っているのが債務者である。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。 定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

強制執行

債務者に給付義務を強制的に履行させる手続きのことを「強制執行」という。 強制執行を行なうには、公的機関が作成した確定判決などの文書(債務名義)が必要であり、またその債務名義に「執行文」が記載されていることが必要である。 強制執行は、金銭執行と非金銭執行に分類される。 金銭執行とは、債務者の財産を差し押さえて(さらには競売により換価して)、金銭を債権者に交付するような強制執行である。代表的な金銭執行としては「強制競売」と「債権差押」がある。 また非金銭執行とは、金銭債権以外の債権(例えば土地引渡請求権)を実現するために行なわれる等の強制執行である。 なお、債務者(または物上保証人)の不動産に抵当権を設定している債権者が、その抵当権にもとづき不動産を競売することは、「任意競売」と呼ばれる。しかし任意競売は、強制執行には含まれない。また、任意競売では「抵当権の存在を証する文書」は要求されるが、「債務名義」は必要ではない。

強制競売

債務の返済が滞り、債権者が支払いの督促や催告をしているにも関わらず債務者が義務を履行しない場合に、裁判所を通じて強制的な手段で債務者所有の資産を入札により売却し、債権の回収を図る手続き。 強制競売を行なうためには、まず、債権者は1)支払い命令の確定判決、2)裁判上の和解、3)調停、4)強制執行認諾文言付き公正証書、5)仮執行宣言付きの判決により、債務名義の獲得が必要である。その上で必要書類をそろえて強制競売の申立てを行なう。 裁判所は、申立書を審査した後、強制競売の開始を決定すると、対象となる資産の差押え登記、現況調査、評価を行ない、入札を公告する。落札者が代金を納付することで売却が確定し、法律上の優先順位に従って債権者へ配当が行なわれる。 債権者が債務者所有の不動産に対してすでに抵当権を有している場合には、その抵当権を実行した方が回収に有利であるため(担保不動産競売)、強制競売の手続きは利用されない。購入側への情報の提供が限定的であり、価格交渉の余地もほとんどないため、売却価格も低めとなる上、他の債権者との競合もあり、債務全額が回収されるとは限らず、そのため債務者側でも残債が残るというデメリットが生じ得る。債権者にとっても債務者にとっても経済的には必ずしも有利な方法ではないが、何らかの理由により不動産の任意売却等による債務の整理等ができない場合に、裁判所の強制力をもって債権回収の実現を図る手段である。

賃料

賃貸借契約によって賃借人が支払う対価をいう。 特約がない限り後払いである。また、地代・家賃については、事情変更による増減請求権が認められている。 なお、借主が実質的に負担するのは、賃料に保証金、預かり金等の運用益を加えた額(実質賃料)である。また、共益費など賃料以外の負担を求められることも多い。

債権

私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。 財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。

抵当権

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。 債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。

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