三井住友トラスト不動産

用語集からキーワードを検索する
住宅防火戸(防火戸)
読み:じゅうたくぼうかど(ぼうかど)

建築基準法上、防火設備としての防火戸の設置が義務付けられる建築物には、規模や用途、都市計画防火地域等として定められているか等、一定の条件があり、防火地域内に存在しない一般的な個人住宅は該当しないことも多い。マンションの場合は、火災発生時に高層階からの避難が困難であることや、避難が必要な人数が多いことから、11階以上の高層区画において、玄関ドア等を防火設備または特定防火設備である防火戸としなければならないことがある(建築基準法施行令第112条)。

このため、ドア、サッシ等のメーカーには、多様な住宅防火戸の遮炎性能について、国土交通大臣認定を取得している場合がある。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。 遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。 その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

防火設備

火災の延焼、拡大を防止するため建物に設置される設備。耐火・遮炎性能を備えていなければならない。 建築基準で定められている防火設備には、次の2種類がある。 ・特定防火設備:防火区画・防火壁・外壁の開口部、避難階段の出入口部分などに設置し、1時間以上の耐火・遮炎性能がある防火戸、防火シャッターなど・防火設備:外壁・防火区画の開口部に設置し、20分以上の耐火・遮炎性能がある網入りガラス、そで壁など 建築基準では、防火地域および準防火地域内の建築物について、その外壁開口部で延焼のおそれのある部分に、防火設備を設置しなければならないとしている。 なお、広い意味では、防火戸、防火シャッター等のほか、火災報知設備や消火設備を含めて「防火設備」ということもある。

防火戸

遮炎性能を有する戸のこと。火災発生時の延焼を防ぐ目的で設置される鉄製のドア等。 建築基準法上は、防火シャッターや耐熱性のガラスを用いたものも防火戸の一種としてされ、性能により「特定防火設備」としての防火戸と、それよりやや遮炎性能の低い「防火設備」としての防火戸に分けられる。 都市計画に防火地域又は準防火地域と定められた地域等において、規模等一定の条件に合致する建築物等、防火性能のある構造が求められる場合においては、外壁の開口部等に防火設備または特定防火設備の性能を有するものとして国土交通大臣の定めた基準に適合する防火戸を設けなければならない。  

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。 具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。 1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2) 2.都市再開発方針等(同法第7条の2) 3.区域区分(同法第7条) 4.地域地区(同法第8条) 5.促進区域(同法第10条の2) 6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3) 7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4) 8.都市施設(同法第11条) 9.市街地開発事業(同法第12条) 10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2) 11.地区計画等(同法第12条の4) 注: ・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。 ・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。 ・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

防火地域

防火地域は、都市計画で指定される地域であり、火災を防止するため特に厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法第61条)。 防火地域での建築規制は次の通りである。 1.すべての建築物は少なくとも「準耐火建築物」としなければならない。 2.次の1)または2)の建築物は必ず「耐火建築物」としなければならない。 1)階数が3以上の建築物 2)延べ面積が100平方メートルを超える建築物 ここで「階数が3以上」とは、地下の階数も含む。従って、防火地域内の地上2階地下1階の建物は耐火建築物とする必要がある。 延べ面積が100平方メートルちょうどであれば、上記2.には該当しないことにも注意したい。 なお、建築基準法第61条では、防火地域であっても次の建築物は「準耐火建築物」としなくてもよいという緩和措置を設けている。 ア.平屋建ての付属建築物で、延べ面積が50平方メートル以下のもの。 イ.門、塀 ただし上記ア.に関しては、外壁・軒裏を防火構造とし、屋根を不燃材料でふき、開口部に防火設備を設けることが必要とされている。

マンション

日本におけるマンションは、一般的には、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の分譲共同住宅・賃貸共同住宅を指している。ただし、賃貸共同住宅の場合にはPC造・重量鉄骨造であっても、マンションと呼ばれることがある。 本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。

特定防火設備

加熱開始後1時間の遮炎性能がある防火設備。防火区画を区切る設備の一つで、区画の開口部に設置し、火炎を感知したときに自動的に閉鎖する。 特定防火設備には、防火シャッター、防火扉などがあるが、これらは、国土交通大臣が定める構造方法を備え、または認定を受けたものでなければならない。  

遮炎性能

建築部材等が火炎を遮る性能。 都市計画に「防火地域」と指定された場合には、一定の建築物は、主要構造部が耐火構造であり、延焼の恐れのある開口部に防火設備を設ける耐火建築物としなければならない等の規制がある。「準防火地域」における「準耐火建築物」の場合も同様である。 こうした耐火建築物等の主要構造部の部材や防火設備については、一定時間火炎を遮る性能が求められる。具体的には、耐火建築物の防火設備については、「通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものであること」(建築基準法施行令第109条の2)等と定められており、建築物の属性ごとに防火設備に必要な遮炎性能が定められている。


ページ上部