大規模なマンションや、複数のマンションが団地を形成する場合などは、管理員事務所などを団地の敷地内に別棟で設ける場合があり、これを管理棟と呼んでいる。
管理棟には、管理員の事務室のほかに、管理組合の会議や居住者のコミュニケーションを図るための共用施設、全体を統括する防災システム等が置かれる場合もあるほか、カフェやフィットネスジムのような厚生施設を営業させる場合もある。共用部分として、区分所有法上、居住者の共有となっていることがある。
マンション
日本におけるマンションは、一般的には、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の分譲共同住宅・賃貸共同住宅を指している。ただし、賃貸共同住宅の場合にはPC造・重量鉄骨造であっても、マンションと呼ばれることがある。 本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。
団地
同じ性質の建物が集団的に立地し、関連する施設が整備された一団の土地。住宅団地、工業団地などがあり、一般に計画的に建設される。
例えば住宅団地は、複数の住宅が計画的に配置されているほか、道路、広場、上下水道などが一体的に整備され、店舗、保育園、病院などの生活利便施設が備わっている場合が多い。また、施設等を維持管理し、居住の利便などを図るため、団地を運営する組織が設けられている場合が多い。
なお、都市計画で定める「一団地の住宅施設」は、50戸以上の集団住宅及びこれらに付帯する通路等の施設である。
管理組合
分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者が建物および敷地等の管理を行なうために区分所有法にもとづいて結成する団体のこと(ただし区分所有法上では「管理組合」という言葉を使用せず、「区分所有者の団体」と呼んでいる)。
区分所有建物においては、区分所有者は区分所有法により、当然にこの「管理組合」に加入することとされているので、区分所有者の任意で管理組合から脱退することはできない(区分所有法第3条)。
このような管理組合は、集会(いわゆる管理組合の総会)を開き、管理に関するさまざまな事項を議決し、管理規約を定める。
また管理組合の通常業務を執行するために、管理規約にもとづいて複数の理事が選出され、この理事によって構成される理事会が業務を行なう。
また管理組合は、法人になることができる。法人になった管理組合は「管理組合法人」と呼ばれる。
共用施設
マンションの住民が共同で使用する施設。建物区分所有法に定める共用部分に該当するが、躯体やベランダなどは共用部分であっても共用施設ではない。
共用施設は、管理規約等に基づき利用のルールが定められ、管理組合が管理する。
共用施設はすべてのマンションに設置されているわけではないが、主な設置例として、駐車・駐輪場、集会室、ゲストルーム、キッズルームなどがある。
共用部分
分譲マンションのような区分所有建物について、区分所有者が全員で共有している建物の部分を「共用部分」という。
その反対に各区分所有者がそれぞれ単独で所有している部分は「専有部分」と呼ばれる。
具体的には、次の3つのものが「共用部分」である(区分所有法第2条)。
1.その性質上区分所有者が共同で使用する部分(廊下、階段、エレベーター、エントランス、バルコニー、外壁など)
2.専有部分に属さない建物の付属物(専有部分の外部にある電気・ガス・水道設備など)
3.本来は専有部分となることができるが、管理規約の定めにより共用部分とされたもの(管理人室・集会室など)
このような1.~3.の共用部分は、原則として区分所有者全員の共有である(区分所有法第11条)。
また共用部分は共有であるため、各区分所有者はそれぞれ共用部分に関する共有持分を持っていることになる。
この共有持分の割合は、原則として、専有部分の床面積(専有面積)の割合に等しい(区分所有法第14条)が、この割合は規約により変えることができる。
また区分所有者は、その共用部分の共有持分のみを自由に売却等することはできない(区分所有法第15条)。
区分所有法
分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律。正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」。「マンション法」と呼ばれることもある。
区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高い。
このため、1962(昭和37)年に民法の特別法として区分所有法が制定された。これにより、専有部分・共用部分・建物の敷地に関する権利関係の明確化が図られ、規約・集会に関する法制度が整備された。
その後、分譲マンションが急速に普及したことに伴って、分譲マンションの管理運営に関するトラブルが生じたり、不動産登記事務が煩雑になるなどの問題点が生じたので、1983(昭和58)年に区分所有法が大幅に改正された。このときに、区分所有者が当然に管理組合を構成すること、集会での多数決主義、建替え制度、敷地利用権と専有部分の一体化などが定められた。
また、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災において被災マンションの建て替えが課題となったこと、老朽化したマンションの建て替えや大規模修繕を円滑に行なう必要が生じたことから、2002(平成14)年には、復旧決議における買取り請求規定の整備、建替え決議要件の緩和、団地内建物の建替え承認決議の創設などが措置された。
なお、マンションの建て替え等に関しては、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(略称「マンション建替え円滑化法」)」において、合意形成や権利調整についての特別の規定が定められている。
共有
私法上の概念で、複数の者が、同一の物を同時に所有している形をいう。 例えば、相続人が複数の場合の相続の際に、遺産が分割されるまでは相続人が遺産を「共有」することになる。また分譲マンションの共用部分は、区分所有者の「共有」に属している。 なお、共有物に対する各共有者の権利を「持分」または「持分権」と呼び、それぞれ単独で自由に持分を譲渡することができる。また、共有者の氏名を「共有名義」という。 共有物の変更・管理については、民法の改正(2023年4月1日施行)によって、共有物の「管理」の範囲の拡大・明確化、 共有物を使用する共有者がいる場合のルールの明確化・合理化、 賛否を明らかにしない共有者がいる場合の管理に関するルールの合理化、所在等不明共有者がいる場合の変更・管理に関するルールの合理化、 共有者が選任する共有物の管理者のルールの整備、 共有の規定と遺産共有持分に関するルールの整備などに関するルールが明文化された。