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遮炎性能
読み:しゃえんせいのう

建築部材等が火炎を遮る性能。

都市計画に「防火地域」と指定された場合には、一定の建築物は、主要構造部耐火構造であり、延焼の恐れのある開口部防火設備を設ける耐火建築物としなければならない等の規制がある。「準防火地域」における「準耐火建築物」の場合も同様である。

こうした耐火建築物等の主要構造部の部材や防火設備については、一定時間火炎を遮る性能が求められる。具体的には、耐火建築物の防火設備については、「通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものであること」(建築基準法施行令第109条の2)等と定められており、建築物の属性ごとに防火設備に必要な遮炎性能が定められている。

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。 具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。 1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2) 2.都市再開発方針等(同法第7条の2) 3.区域区分(同法第7条) 4.地域地区(同法第8条) 5.促進区域(同法第10条の2) 6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3) 7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4) 8.都市施設(同法第11条) 9.市街地開発事業(同法第12条) 10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2) 11.地区計画等(同法第12条の4) 注: ・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。 ・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。 ・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

防火地域

防火地域は、都市計画で指定される地域であり、火災を防止するため特に厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法第61条)。 防火地域での建築規制は次の通りである。 1.すべての建築物は少なくとも「準耐火建築物」としなければならない。 2.次の1)または2)の建築物は必ず「耐火建築物」としなければならない。 1)階数が3以上の建築物 2)延べ面積が100平方メートルを超える建築物 ここで「階数が3以上」とは、地下の階数も含む。従って、防火地域内の地上2階地下1階の建物は耐火建築物とする必要がある。 延べ面積が100平方メートルちょうどであれば、上記2.には該当しないことにも注意したい。 なお、建築基準法第61条では、防火地域であっても次の建築物は「準耐火建築物」としなくてもよいという緩和措置を設けている。 ア.平屋建ての付属建築物で、延べ面積が50平方メートル以下のもの。 イ.門、塀 ただし上記ア.に関しては、外壁・軒裏を防火構造とし、屋根を不燃材料でふき、開口部に防火設備を設けることが必要とされている。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

主要構造部

建築物の構造上、重要な役割を果たしている部分のこと。 建築基準法第2条5号では、主要構造部とは「壁・柱・床・梁・屋根・階段」であると定義している。 ただし、構造上重要でない最下階の床、間仕切り用の壁、間柱、つけ柱、局所的な小階段、屋外階段などは主要構造部から除外されている。

耐火構造

建築基準法において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、耐火性能に適合する建築物の構造をいう。 この場合の耐火性能とは、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊、および延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、各構造部分の種類や建物の階数に応じて定められる一定時間(おおむね1~3時間)の間、火熱を加えても、各構造部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。 例えば、鉄筋コンクリート構造やれんが造は、原則として耐火構造である。

開口部

壁・床・屋根に設けられた開口部分のこと。窓、出入口、天窓などを指す。

防火設備

火災の延焼、拡大を防止するため建物に設置される設備。耐火・遮炎性能を備えていなければならない。 建築基準で定められている防火設備には、次の2種類がある。 ・特定防火設備:防火区画・防火壁・外壁の開口部、避難階段の出入口部分などに設置し、1時間以上の耐火・遮炎性能がある防火戸、防火シャッターなど・防火設備:外壁・防火区画の開口部に設置し、20分以上の耐火・遮炎性能がある網入りガラス、そで壁など 建築基準では、防火地域および準防火地域内の建築物について、その外壁開口部で延焼のおそれのある部分に、防火設備を設置しなければならないとしている。 なお、広い意味では、防火戸、防火シャッター等のほか、火災報知設備や消火設備を含めて「防火設備」ということもある。

耐火建築物

建築基準法において、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。 この場合に、耐火性能を満たすというのは、 1.主要構造部が耐火構造であること 2.屋内で発生する火災、および周囲で発生する火災による火熱に、当該火熱が終了するまで耐えることができるとする技術基準で定める性能(構造耐力、上昇温度などに関する一定の要件)に適合すること である。 一定の特殊建築物や、都市計画で定められた防火地域内の一定の建築物は、耐火建築物としなければならない。

準防火地域

準防火地域は都市計画で指定される地域であり、火災を防止するために比較的厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法61条)。 準防火地域では、建築物は次のようなものとしなければならない。 1.地上4階以上の建築物 →必ず耐火建築物とする 2.地上3階の建築物 →延べ面積によって次の3通りに分かれる。 1)延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき: 必ず耐火建築物とする 2)延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき: 少なくとも準耐火建築物とする 3)延べ面積が500平方メートル以下のとき: 少なくとも3階建て建築物の技術的基準に適合する建築物とする 3.地上1階または地上2階の建築物 →延べ面積によって次の3通りに分かれる。 1)延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき: 必ず耐火建築物とする 2)延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき: 少なくとも準耐火建築物とする 3)延べ面積が500平方メートル以下のとき: 通常の建築物でも構わない ポイントを2つ挙げておく。 まず、最近多い地上3階建ての一般住宅は、上記2.の3)に該当するので、少なくとも「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要がある。 次に、通常の地上2階建ての一般住宅は、上記3.の3)に該当するので、原則的に特別な防火措置を講じなくてよい。ただし上記3.の3)の場合に、その建築物を木造とするためには、外壁・軒裏を「防火構造」とする必要がある。 なお、準防火地域では上記の規制のほかに、次の規制があることに留意したい。 ア.屋根の不燃化 建築物が耐火構造や準耐火構造でない場合には、その屋根は不燃材料で造り、または不燃材料でふくことが必要である。 イ.延焼の恐れのある開口部の防火措置 建築物が耐火構造や準耐火構造でない場合には、外壁の開口部(すなわち玄関や窓)で延焼を招く可能性のある部分に、防火戸など防火設備を設けなくてはならない。  

準耐火建築物

建築基準法において、耐火建築物以外の建築物のうち、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が準耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物をいう。 この場合、準耐火性能を満たすというのは、 1.主要構造部が準耐火構造であること 2.準耐火構造と同等の準耐火性能を有するための技術的基準(準耐火性能を確保するための方法としては、外壁を耐火化する手法、または、主要構造部を不燃材料化する手法が認められていて、それぞれの要件が定められている)に適合すること である。 一定の特殊建築物や、都市計画で定められた準防火地域内の一定の建築物は、準耐火建築物でなければならない。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。 遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。 その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。


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