新築分譲マンション購入時に、将来の大規模修繕に備えて、管理組合(設立前の準備組合等も含む)が購入者から数十万円~数百万円を徴収し、基金として管理するもの。
将来の修繕費に向けては、毎月の管理費とともに「修繕積立金」が徴収されているが、実際にはこれだけでは修繕工事の費用が賄えないことが多い。住民の高齢化等も進む中、修繕工事に直面してさらに高額な一時金を徴収するについてはトラブルが予想され、現に多く発生もしていることから、むしろ購入時にあらかじめ基金として徴収し、基金として管理する方式が普及してきた。
大規模修繕
分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、計画的に行なわれる修繕であって、多額の費用を要する修繕のことである(これに対して多額の費用を要しない計画的な修繕は「小規模修繕」という)。 具体的には、鉄部塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の修繕工事を指している。 これらの修繕工事を適切に行なうためには、分譲マンションの管理組合が「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を積み立て、大規模修繕を実施することが不可欠である(修繕工事の実施時期・費用等について詳しくは長期修繕計画へ)。 なお、大規模修繕を実施するためには、管理組合の集会で大規模修繕の実施を可決しなければならない。一般に、大規模修繕はマンションの形状や効用の著しい変化を伴わないため、区分所有者数の過半数かつ議決権の過半数の賛成で可決される。
管理組合
分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者が建物および敷地等の管理を行なうために区分所有法にもとづいて結成する団体のこと(ただし区分所有法上では「管理組合」という言葉を使用せず、「区分所有者の団体」と呼んでいる)。
区分所有建物においては、区分所有者は区分所有法により、当然にこの「管理組合」に加入することとされているので、区分所有者の任意で管理組合から脱退することはできない(区分所有法第3条)。
このような管理組合は、集会(いわゆる管理組合の総会)を開き、管理に関するさまざまな事項を議決し、管理規約を定める。
また管理組合の通常業務を執行するために、管理規約にもとづいて複数の理事が選出され、この理事によって構成される理事会が業務を行なう。
また管理組合は、法人になることができる。法人になった管理組合は「管理組合法人」と呼ばれる。
修繕積立金
管理組合が長期修繕計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
区分所有者は、管理組合に対して、通常、管理費と特別修繕費を納入するが、この特別修繕費を毎月積み立てたものが「修繕積立金」である。
この修繕積立金は、管理費と混同しないように、管理費とは別に経理することが管理規約において定められていることが多い。
修繕工事
建物を元の状態に回復する工事。劣化・損傷した設備や建築部材を修理・取り替えして、その性能や機能を回復する。大規模修繕は、定期的に建物を診断し、総合的に修繕する工事であるが、これも修繕工事である。
なお、修繕工事に対して、建物の性能・機能の向上を図る工事を「改修工事」という。